第298号(2012.7.10)
陣中見舞いの由来
 新庄は6月9日に梅雨入りしました。平年より3日、去年より12日早い梅雨入りだそうです。
 そんな中、8月24、25、26日の新庄まつりで去年、一昨年と2年連続最優秀山車を獲得している我が町内の若い連中は、3年連続を目指して6月に入ると間もなくから山車制作に取りかかり始めています。
 長丁場になりますから、制作期間中は応援してくださる方々からさまざまな差し入れ、いわゆる陣中見舞いをいただきます。これによって士気は益々高まり、見事な山車が出来上がっていくのです。
 今回の富田通信はこの陣中見舞いの由来を『酒おもしろ語典』よりご紹介しましょう。
 なお、この本は今から約25年ほど前に出版された本ですので、今では禁止されている選挙運動期間の選挙事務所への酒の陣中見舞いが書かれていますが、ご容赦下さい。

軍陣に酒を送るは法也(陣中見舞由来)
 衆参両院選挙をはじめとして、いろいろな選挙がありますが、それらの選挙事務所へ、「陣中御見舞」に酒が贈られることが多いようです。現在では陣中見舞にもいろいろ思惑があって、そのためか選挙法でも特定候補のみに贈ることは違反になるとかならぬとか、掟がなかなかむつかしいのだそうですが、そもそも昔戦場に酒を贈ったのは、軍陣の最中にも、敵方に対する誠に奥床しい武人としての思いやりがあったからです。
 源平盛衰記では、衣笠合戦で金子十郎家忠は一門を引き連れ、三百余騎入り交じって戦っている中に、人は退いても家忠は退かず、敵は代わっても十郎は代わらず、一の木戸二の木戸と打ち破って、死生をも考えず只いちずに攻め入ってきました。城中より散々に射ってるので、甲冑に矢が立つこと実に二十一にも及んだが、更々引き下がろうともしない。すると城の中なる老将義明は、その奮戦ぶりをいたく感じ入り、城中より提子(ひちげ)に酒を入れ、杯と共に持たせた使者を家忠の許まで派して申し送ることに、「貴殿の振舞殊に目を驚かせ侍り、老後の見物今日にあり。さりては定めし疲れ給いぬらん、この酒飲み給いて今一際興ある様に軍し給え」と・・・。すると家忠は、冑振り仰ぎ弓を杖にし、杯を取って三杯飲み、「この酒飲み侍りて力を附けぬ。城をば只今攻落し奉るべし。その意を伝え給え」と言って使者を返した。さてその場の光景を盛衰記は、「軍陣に酒を送るは法也。戦場に酒を請るは礼也。義明の所為と言い家忠の作法と言い、興有り感有りとぞ皆人申しける」と讃しています。
 敵陣に酒を送るということは、戦国時代にもあり、秀吉が小田原城を囲んだときも、二十幾樽の酒を城中に送って籠城の鬱を慰めたとか。「小田原評定」が長びいたのもそのせいかもしれません。
 維新の戦でも函館に榎本武揚が立て籠もったとき、官軍の将黒田清隆は帰順をすすめたが、武揚はこれに応じず「死守」の返答をしました。清隆は「それでは快く一戦しましょう。しかし籠城は定めしご不自由だったでしょうから」と灘酒十駄と鮮魚十籠を贈りました。結局後に開城降伏しましたが、それは城兵がこの清隆の美学に感動したからといいます。
 選挙もこのようなフェアプレーでやって貰いたいものです。

 いやぁ、昔の日本人は素晴らしい民族だったんですね。余談ですが、選挙運動期間中の陣中見舞いについて調べてみました。
 差し入れて良い物
 ・現金(年間150万円以内)
 ・せんべい、まんじゅう、などの茶菓子
 ・みかん、りんご程度の果物
 ・パソコン・机・ソファなどの物品
 ・胡蝶蘭など縁起物の鉢植え
 差し入れてはいけないもの
 ・料理、弁当、サンドイッチ、お酒、ビール、ジュースなどの「飲食物」
ただし、選挙後の当選祝として酒を贈ることは何ら問題ないそうです。



商  品  紹  介
出羽桜 微発泡にごり酒
       『とび六』吟醸生酒
 『微発泡 とび六』は吟醸生酒の奥深くも優しい味わいに加え、微発泡の爽やかなのど越し、甘すぎない風味が絶妙です。
 吟醸にごり酒『とび六』をキーンと冷やして、炭酸の刺激とともに爽やかなのど越しをぜひご賞味ください。
  内容 原料米:山形県産米 精米歩合:50% 度数:15〜16度
     日本酒度:−3 酸度:1.5 酵母:小川酵母
  ※取り扱い注意点
  ・必ず冷蔵庫で保管してください。
  ・開封の際は噴き出す恐れがありますので、冷たいまま、ビンを振らずに、   王冠を少し開けたり締めたりを繰り返し、ビン内部のガスを十分抜いて   から開封してください。
  ・沈んだ「オリ」は、開封後、王冠を締め直した後に、軽くゆすって混ぜ   てください。
                     300ml 630円
出羽桜 山廃 特別純米
 出羽桜初の山廃(やまはい)の純米酒。7号酵母を山廃仕込みで育て、五味豊かな複雑な味わいと、出羽桜らしい美しいキレ味の酒に仕上がりました。
  内容 原料米:山形県産米 精米歩合:55% アルコール度:16度
     日本酒度:+2 酸度:1.6 酵母:7号酵母
                     1.8L 2730円
                     720ml 1365円
麓井 純米吟醸『フモトヰ 夏純吟』
 細身でスマート、かつ、やわらかさを併せ持つ味わいが得られる山形の酒米「出羽燦々」の特質を生かした、夏向けのすっきりと味わえる生もと仕込みの純米吟醸酒です。
  内容 原料米:出羽燦々 精米歩合:55% アルコール度:16度
     日本酒度:+2〜+4 酸度:1.5〜1.7 酵母:山形酵母
                     1.8L 2730円
                     720ml 1365円



……… 編 集 後 記 ………
○先日山形県の水産試験場のホームページを見たら加茂港の海水温が20度を超えていたので、もうそろそろ黒鯛が釣れるだろうと、今年になって初めて酒田の堤防に釣りに行ってきました。着いてみたらここ久しく雨が降っていないせいか、はたまた連日の東風のせいか、海は澄んでいました。嫌な予感がしたのですが、せっかく来たのだからと30分ほど歩いて堤防の先端へ。いつもだったら釣り糸を垂らしている地元のお年寄り達も誰もいません。無人の堤防上で釣りエサを採取し、竿に糸を通し、いざ釣り開始。思いつく限りの釣法で挑んだのですが結果は惨敗。海を眺めて心を広げて帰ってきました。

E-mail:tomita@vega.ne.jp ->メール