第294号(2012.3.10)
酒粕でダイエット
 3月に入り、記録的な寒さと積雪量だった冬にもようやく出口が見え始めました。これまでは降れば雪と決まっていたのに雨の日が混じり始め、屋根から落ちる雪解けの雨だれの音が日に日に大きくなっています。まだ積雪は130センチを超え、我が家の裏庭にいたっては屋根から下ろした雪でまだ3メートル近くもありますが、それでも雪の脅威からまもなく解放されるという安堵感で心が軽くなります。
 さて、この頃、巷では塩麹なるものが健康に良いとか美容にいいとかと何かともてはやされていますね。麹を主原料のひとつとする日本酒の健康と美容に関するすごい効果については富田通信212号に書きましたので、今回は日本酒をつくった時の副産物である酒粕の健康と美容効果について、『お酒テラピーで健康になる本』滝澤行雄著よりご紹介いたしましょう。

酒粕でダイエット
 人が健康を保つ上で改善しなければならないことの一つが肥満です。肥満は単に外見だけでなく、さまざまな生活習慣病を誘発する要因となるものだけに、努力して減量に努めることが大切です。
 そこで多くの人がいろいろなダイエットに挑戦しています。中には首をひねりたくなるような無謀なものまであって、ダイエットをすることでかえって体をこわすケースもあります。どの方法をとるかは十分注意が必要です。
 そのような中、最近にわかに注目を集めているのが酒粕ダイエットです。酒粕は粕漬けや粕汁などの料理の素材として古くから用いられていますが、ダイエットにすぐれた食品であることはこれまであまり知られていませんでした。
 酒粕は、もろみを圧搾して酒を分離したあとに残るもので、木綿豆腐を板状にしたような形で市販されていますから、目にされた方も多いでしょう。
 酒粕は文字通り酒をとったあとに残るカスですが、日本酒の成分がたっぷり残っていて栄養価が大変高いのが特徴です。アルコール分も5〜8%あります。
 酒粕の栄養成分は醸造した日本酒から残留します。たんぱく質が約30%、脂質が約5%、糖質が約50%含まれています。効果的なダイエット食品の条件である低脂肪、高糖質の条件をそなえています。
 その上、酒粕がダイエットに適しているのは、でんぷんの分解を妨げる物質が含まれるからです。ダイエットをする上でこれは大変大きな力となります。食物中にあるでんぷんは消化されてブドウ糖に分解されるのですが、その時のスピードが速ければ速いほど太りやすくなり、反対に、遅ければ遅いほど太りにくくなります。つまり、でんぷんがゆっくり分解されれば太らずにすむのです。いいかえれば、その作用をする、つまりでんぷんの分解を遅らせる物質をとればダイエットにいいわけで、それを含んでいるのが酒粕なのです。酒粕がダイエット食品として注目を集めている理由の一つがここにあります。
 ただし、酒粕はアルコール度数もけっこうあるため、お酒に弱い人にはあまりお薦めできないことはつけ加えておきたいと思います。

酒粕パックで美人になる
 酒粕の利用法はダイエットだけではありません。酒粕パックも今、女性の間で流行しています。パックをしたあとは一様に肌がつるつるして、しかも潤いを感じます。それは保湿が高められたからです。
 みずみずしい肌の決め手はなんといっても保湿力にあります。コラーゲンが十分にいきわたっていて、水分と油分がバランス良く保たれていれば、肌は潤いを維持できます。ところが紫外線やストレス、加齢などによって肌は代謝を抑えられ保湿作用が低下する結果、かさかさになったり、シワやシミなどができやすくなります。
 そこで若々しい肌を保つには保湿作用を高めることがなによりも大切になってきます。皮膚の保湿は、角質層に含まれるアミノ酸や有機酸、グリセロールなどによってもたらされ、なかでも保湿能力がもっとも高いのがアミノ酸中のプロリンです。このプロリンを含むのが日本酒で、酒粕も同様です。そこで酒粕パックをすることで、皮膚の内側にプロリンが蓄えられ肌の保湿力が高まるというわけです。
 つくり方について簡単にご説明しましょう。
 15cm四方くらいの板粕であれば3枚くらいをすり鉢に入れ、粒々がなくなるまでゆっくりすります。滑らかになったら酒粕の量の10分の1程度の水を加え、再びすります。小麦粉を少々加え、さらにすって仕上げます。人によって日本酒を加えることもあるようです。酒粕にはアルコールが残っているので、普通は板粕の表面を軽く火であぶり、アルコールを飛ばしてから使います。
 こうしてすりあがった酒粕を顔全体に塗り、10〜15分パックしたら水で洗い流します。なお皮膚が弱くて心配の方は、先に少量をパッチテストすることから始めましょう。
 保存する時は密封できる瓶に詰めてから冷蔵庫に入れます。取りだす時はスプーンを使い、また一週間くらいで使い切るようにします。



商  品  紹  介
        出羽桜 純米大吟醸
             『一路』 無濾過生原酒
 出羽桜酒造は明治25年(1892年)11月1日に創業しまして、今年の秋に120周年を迎えます。
 その創業120周年を記念して、「一路 無濾過生原酒」が限定発売されます。通常の一路は火入れされたお酒ですが、それとは違う原酒が持つ強い味わいをぜひお試しください。
 なお、価格は嬉しいことに通常の一路と同じになっています。
  内容 原料米:山田錦 精米歩合:45% アルコール度数:17%
     日本酒度:+4 酸度:1.3 使用酵母:小川酵母
  入荷予定 3月中旬          720ml 2800円
出羽桜 しぼりたて生原酒『純米吟醸 雄町』
 昨年、「純米吟醸 雄町」は、英国の品評会「IWC 2011」の「純米吟醸・純米大吟醸」部門にて、最高金賞「トロフィー賞」を受賞しました。
 その受賞を記念して「しぼりたて生原酒 雄町」が発売されました。なにとぞご賞味下さい。
  内容 原料米:雄町 精米歩合:50% アルコール度数:17%
     日本酒度:+5 酸度:1.6 使用酵母:山形酵母
                     500ml 1300円
お詫びとお礼
 2月18日に開催を予定していました第24回「名酒を楽しむ集い」ですが、母が2月8日に永眠したために、やむなく中止とさせていただきました。
 集いに申し込んでいただいた大勢の日本酒ファンの方々には大変ご迷惑をおかけしました。心からお詫び申し上げます。
 また、多くの方にあたたかい励ましのお言葉を掛けていただきました。本当にありがとうございました。



……… 編 集 後 記 ………
○母が亡くなってから早1か月。おそらく自分が亡くなったことさえ気づいていないのではないかと思うくらいの穏やかな死に顔の大往生でした。生前皆さまにお世話になり有り難うございました。亡き母に代わってお礼申し上げます。

E-mail:tomita@vega.ne.jp ->メール