第293号(2012.2.10)
酒量問答
 今年の冬も去年に負けないぐらい寒いですね。数えてみたら、新庄の1月の真冬日(最高気温が0度に達しない日)の日数が13日ありました。積雪が2メートルになった去年は16日でしたから、それより幾分ましと言えば言えなくもないのですが・・・。ちなみに今年の立春の日の積雪は180センチでした。
 しかし、こうも寒い冬が続くと二酸化炭素の増加による地球温暖化説は本当だろうかと思ってしまいます。最近見たNHKテレビで、太陽の黒点の数が減っていてそれが地球を寒冷化に向かわせるんじゃないかということをいっていました。
 それによると、太陽活動は正確に11年周期で変動しているそうなんです。活動が活発な時は黒点の数が増え、停滞すると黒点の数が減る。今度の活動のピークは2011年に来るはずだったのですが、いっこうに黒点の数が増えない。現在の予測では2013年中頃にずれ込むのではないかということです。
 黒点の数がなんでそれほど問題なのか。黒点は太陽から磁力線が飛び出している場所です。この磁力線は太陽系全体を覆っていて宇宙線の侵入を防ぐバリアの役割を果たしています。太陽活動が停滞すると、つまり黒点の数が減ると磁力線が弱まり、太陽系に多量の宇宙線が降り注ぎます。当然、地球にも。
 すると、大気中の分子に宇宙線が当たり電気を帯び、それがお互い引きつけ合って大きくなり、それが核となって水蒸気が集まり、雲ができます。雲が増えれば当然、地上に降り注ぐ太陽光が減り、寒冷化に向かうということらしいです。なんだか、風が吹けば桶屋が儲かるみたいな話ですが、宇宙線と雲との関係は実験ですでに実証されています。
 さらにここからが恐ろしい話ですが、過去1000年の太陽活動の様子を樹齢1000年を超える屋久杉の年輪に含まれる炭素14という物質から調べた人がいます。それによると過去1000年の間に太陽活動の数十年に渡る長期停滞期が3回あって、そのいずれも直前に活動周期が11年から13年に延びているんだそうです。
 去年ピークを迎えるはずだった太陽活動が予測では2年後の2013年にピークを迎える。つまり、活動周期が11年から13年になるわけです。このまま周期が延び続ければ、ひょっとして本当に寒冷化に向かうかもしれません。こうなったら地球温暖化同盟を結成しなくちゃなりませんね。
 とまあ、ぼやいてばかりいても仕方がないので、富田通信と参りましょう。今回は芝田晩成著「酒鑑(さけかがみ)」より、酒量問答をご紹介します。

酒量問答
 中国、戦国時代の初め、斉(せい)の威王のころ(前405)、淳という小男のおもしろい才人がいた。淳は斉の使者として趙(ちょう)に行き、首尾上々、十万の精兵を借りうけて帰ってきた。今や斉の大奥では祝賀の宴がたけなわ、斉王は時のヒーロー淳に尋ねた。
「あんたは、どのくらい飲むとお酔いかな?」
「私は一斗(日本の一升)を飲んでも酔いますし、一石(日本の十升)飲んでも酔います」
 淳はクイズの好きな斉王に、謎めいた答えをした。と、
「一斗を飲んで酔う人が、どうして一石も飲めるのだ? ぜひ話をききたい」
 淳はまじめに、
「まず、大王よりお酒を頂き、私の横に法官吏がおり、後には裁判官がおるとします。この時私は恐れつつしんで飲むので、一斗も飲まないで酔うことでしょう。
 もし私の親戚で、いかめしい客の相手をする時は、身なりを正して飲み、杯を捧げることになりますから、二斗も飲まないで酔いましょう。
 あるいは久しく会わない友人と、突然会って歓談しながら、腹を割って飲むのなら、五、六斗ほどで酔いましょうか」
 淳の調子はだんだん熱をおび、
「もし、村里の会合などがあって、男女入り乱れて座り、酒を飲んで色々の遊びをして、手を握ってもいいし、目をじっと見つめてもいいし、私のそばにイヤリングだのかんざしだのが落ちているとしたら、私はうれしくなって八斗ほど飲んで、酔いが二、三度廻るでしょう。
 更に、夕暮れとなり、酒宴は今やクライマックスともなれば、酒樽を片づけ、男女は膝を寄せ合い、はき物は入り乱れ、杯盤狼藉(はいばんろうぜき 杯や皿が散らばるさま)となり、家中の灯が消える、そのような時、主人が私だけを残して客を帰し、私のそばで、うすものの襦袢のえりがひらけ、ほのかに色っぽい香りがすれば、私は有頂天になって一石の酒を飲むことでしょう」
 こうして酒と女の好きな斉王を喜ばせておいて、たくみにいさめるのだった。
「酒が極まると乱れ、楽しみが極まると悲しむといいますが、極めてはいけません。極まると国が衰えます」
 これから斉王は長夜の宴をやめ、淳を諸侯の接待役として、宴会の時は必ず自分のそばにおいたという。

 ・・・、極めてはいけない。なるほど深い話ですね。乾杯!



商  品  紹  介
初孫 『純米辛口 魔斬(まきり)生原酒』
 マキリとは本来漁師が魚を捌いたり、網の修理を行なう時に使ったりする鋭い切れ味の万能小刀です。この魔斬生原酒もその名に恥じずキレ味鋭い純米本辛口のしぼりたて風味と飲みごたえのある旨さが特長です。
  内容 原料米:美山錦 精米歩合:55% アルコール度:17.5%
     日本酒度:+10 酸度:1.5
                     1.8L 2625円
                     720ml 1313円
麓井 『純米吟醸 雄町 おりがらみ生酒』
 純米吟醸新酒にごり酒です。雄町独特の線の太さがお楽しみいただけると思います。おりがらみの雄町は注文分だけの生産ですので、売り切れの際はご容赦ください。
  内容 原料米:岡山県産雄町100% 精米歩合:50%
     アルコール度:17%
                     1.8L 3150円
出羽桜 しぼりたて生原酒 『純米吟醸 雄町』
 昨年、「純米吟醸 雄町」は、英国の品評会「IWC 2011」の「純米吟醸・純米大吟醸」部門にて、最高金賞「トロフィー賞」を受賞しました。その受賞を記念して「しぼりたて生原酒 雄町」が発売されます。なにとぞご賞味下さい。
  内容 原料米:雄町 精米歩合:50% アルコール度数:17%
     日本酒度:+5 酸度:1.6 使用酵母:山形酵母
  入荷予定:2月中旬以降
                    500ml 1300円




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