第292号(2012.1.10)
日本酒おもしろ言葉
 あけましておめでとうございます。本年もよろしくお願いいたします。
 冬に入る前、去年ほどの豪雪はつくづく勘弁願いたいと思っていたのですが、12月末には積雪が1メートルを超え、8日現在は125センチメートル。毎日毎日、うんざりするほどの雪が降っています。
 雪氷防災研究センターのデータによると新庄の現在の積雪荷重は1平方メートル当たり236キログラム。富田通信を書き終え次第、屋根の雪下ろしをしなければ・・・。
 さて、今年最初の富田通信、日本酒にまつわる面白い言葉を篠田次郎氏の『日本酒ことば入門』無明舎より、ご紹介いたしましょう。

【あみだ】
 酒づくりの過程で酒蔵の建物の梁(はり)部分に滑車を設け、これにロープを通し、重量物を引き上げた。滑車が、あみだ仏の後光のような形に見えるので、滑車を「あみだ」と呼んだ。

【かがみびらき 鏡開き】
 結婚式などの祝い事で、酒樽の上蓋の部分を打ち破るのを鏡開きという。鏡とは、円筒状の容器の平たい蓋をいう。姿などを写す鏡は、ガラス製になる前は銅製など金属製であった。円形で平らなので、酒樽などの蓋も鏡と呼ぶようになったのであろう。
 この儀式で注意しなければならないことは、結婚式では決して「鏡割り」とは言わないこと。
 ちなみに、鏡開きにはもうひとつの習わしがある。年の始めの武術の習練の後、鏡餅を砕いて、あずき粥などにして食うことである。

【きんぎょざけ 金魚酒】
 薄い酒をいう。水を割って、金魚が泳げるほど薄い酒という説と、飲んでも顔が赤くなるだけという説がある。

【ぎんじょうしゅ 吟醸酒】
 吟醸という言葉は、明治時代後期から大正時代にかけて、日本の酒造業界で生まれた用語である。
 「謹製」という言葉があった。お菓子などの食品に使われ、やんごとない身分の方々のご用達品という意味で使われていた。それにならって、「謹」という字を冠して、「謹醸」という言葉が生まれたのであろう。
 一方、吟味という言葉があった。原材料の内容や製造方法をよく選ぶ意味合いがある。これと「醸造」を組み合わせ、いい酒をつくる意味合いで「吟醸」という言葉が新たに生まれた。ここから、吟味する意味合いで、原料や工法の内容や方法を丹念に選んでつくった酒を「吟醸」とか「吟醸づくり」と呼んだ。
 「謹醸」「吟醸」を比較し、言葉の響きがいい「吟醸」が通用するようになった。「吟醸」は、厳選された酒を表わす用語として使われたが、やがて、酒の品質を競う品評会に出品するクラスの酒をいうようになった。
 広島県あたりでは、「吟造」というところもある。

【さんむい 三むい】
 蔵人の間で酒づくりの辛さを表わすのにひそかにささやかれた言葉。寒い、煙い、眠いの「三むい」である。二番目の「煙い」は、まだ煙突が発明される前のことで、かまどから出る煙が蔵の中に漂っていたのだろう。

【しちごさん 七五三】
 米洗いの方法。酒づくりの米は大量だから足で踏み洗いした。平桶に米と水を入れ、初めに七十回踏んですすぎ、次が五十回、仕上げが三十回で七五三。寒風が吹き込む洗い場で、素足で米を踏む。辛い仕事であった。

てづくり 手造り】
 酒は道具や容器を使ってつくられる。
 さて「手造り」とは? 昭和50年、日本酒造組合は「甑(こしき)」と「麹蓋(こうじぶた)」を使ってつくった酒を「手造り」の表示をしてもよいと定めた。酒は「造り」であり、一方、機械化せずに手でつくるのは「手作り」である。筆者(篠田次郎氏)は「手づくり」という用法を用いている。

【やわらぎみず 和らぎ水】
 酒を飲みながら、途中で飲む水をいう。通は「追い水」という。チェーサーのこと。

 いやぁ、日本酒の世界にはいろいろな言葉がありますね。・・・乾杯!



商 品 紹 介
           出羽桜 『出羽燦々 無濾過生原酒』
 「搾りたて」の槽口を、手を加えずにそのままビン詰めにした純米吟醸原酒。
 出羽桜らしい北国の女性を想わせる繊細で美しい味わいの中に原酒が持つ重厚な旨みが加わった香味が楽しめます。
  内容 原料米:出羽燦々 精米歩合:50% 度数:17〜18%
     日本酒度:+4 酸度:1.4 酵母:山形酵母
                     1.8L 3150円
                    720ml 1575円
上喜元 『純米にごり酒』
 大好評の搾りたて純米にごり酒。今年の酒も非常に美味しく仕上がっていました。
 注意:酵母が生きていますので栓を開けるときには強く振らないでください。お酒が噴きこぼれます。また、必ず冷蔵庫で保管してください。
  内容 原料米:出羽燦々 精米歩合:55% 度数:16〜17%
     日本酒度:+3 酸度:1.3 使用酵母:山形酵母
                     1.8L 2625円
                     720ml 1313円



……… 編 集 後 記 ………
○1月1日、午前11時から町内の消防団の火伏せ祈願がありました。10時に消防ポンプ小屋の前に集まり、皆でワイワイと神社まで歩いていき、神様に酒をお供えし、ご祈祷を受け、帰ってからポンプ小屋の二階の公民館で御神酒にて乾杯。今年の御神酒は出羽桜『出羽燦々無濾過生原酒』。持ち帰った御神酒はあっという間に空になり、続いては上喜元の『純米にごり酒』。これもあっという間に空になり、続いては別の旨酒・・・。気がつけばあたりはすでに暗く、どの位飲んだのかも、いま何時なのかもわからないまま・・・。仲間たちとの毎年恒例の楽しい年明け行事です。
○今年は辰年。気がつけば来年には還暦を迎える歳になってしまいました。若い頃、赤いちゃんちゃんこを着た人はえらく年寄りに見えたものですが、端から見れば私もそうなのかもしれませんね。でも、体組織計の体年齢37歳をせめての慰めに今年も景色を楽しみながら歩いていこうと思っています。

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