第277号(2010.10.10)
日本酒を初めて飲んだ西洋人は?
 9月中ごろまでの暑い日々がまるで嘘のように、下旬に入ったら雨天続きで一気に涼しくなりました。10月3日には、早くも白鳥の第一陣が酒田に飛来したとのテレビニュースが流れていました。
 10月は平年に比べてかなり暖かいとの予報が出ていましたが、今年の冬はどうなりますことやら・・・。
 さて、先日、『つい誰かに話したくなる雑学の本』を読んでいたら、思わず話したくなる記事が載っていたので紹介します。・・・エヘヘ。

日本酒を初めて飲んだ西洋人はだれ
 フランシスコ・ザビエルは、1549年に日本にキリスト教をもたらした初めての人ですが、また多くの日本人が初めて見たヨーロッパ人でもありました。
 何もかも初めてづくしのような、このキリスト教の宣教師は、おそらく初めて日本酒を飲んだヨーロッパ人ではないかとも思われます。
 彼はぶどう酒をキリストの象徴としたキリスト教の宣教師であり、日本にぶどう酒をもたらした初めてのヨーロッパ人でもありましたから、日本の酒にも深い関心をもったのです。
 数多くのヨーロッパ文化をもたらし、約二年間日本に滞在したザビエルは、この間に、多くの日本の風習に接し、日本の味を知りました。
 そしてインドのゴアにあったイエズス会本部あてに日本についての手紙を、いくつも書いたのです。
 彼は、その中で、「食物は麦もあり、野菜もあり、その他あまり力のない食物があるけれども、主食物としては米しかない。米から酒をつくる。その他に酒はない。酒は少なくて高価だ」と書き送っています。
 また、その他の手紙には、「日本はいままで発見された国民の中で、最良のものであり、親切で善良かつ名誉を尊重する。日本人は食を節するが、飲酒のこととなるとそれほどでもない」とも書いています。
 また、1560年ごろ日本にいたヴィレラ神父は、よほど日本酒が口に合ったものか、ポルトガルの修道院あてに「酒は米からつくる(中略)。この酒は強いけれども、はなはだ良い酒で、寒い土地や性質に合っている」などと、日本酒についてあれこれ書き送っています。

彼岸花はなぜひっそり咲いているのか
 秋のお彼岸が近づいてくると、墓地や田舎の土手堤などに、ひょっこり姿を現わすのが「曼珠沙華」と呼ばれる彼岸花です。
 その咲いている場所から見ると、雑草のように、いかにも勝手に生えてきたような感じがしますが、もともとは、遠くその昔の誰かが、飢饉のときを考えて、わざわざ植えたものなのです。その証拠に、人里離れた自然の原野の中では、この彼岸花を見ることは、ほとんどありません。
 昔の人は、飢饉のときは、漬け物、塩辛などの塩蔵食品や「信玄味噌」で有名な燻製食品などを食べて飢えをしのぎました。それが底をついてくると、松の皮でつくった団子や、昆虫の幼虫など、自然のものを採って食べました。
 それも採りつくすと、壁を崩して、泥といっしょに塗りこめてあったワラを水洗いし、もう一度そのワラをつぶして、汁のように煎じて飲んだのです。
 もちろん、芋がらなどの植物でつくった敷物などは、それをといて、みそ汁の中に入れて飢えをしのぎました。
 とにかく、なんでも食べたのですが、最後の最後の備えとしてとってあったのが、この彼岸花でした。
 彼岸花はもともとセイタカアワダチソウなどと同じように渡来植物ですが、雄株は日本の酸性土壌にあわずに、結局、雌株だけが残ったのです。
 彼岸花は球根なので、タンポポのように種子が遠くまで風に飛んで増えるということはありません。せいぜい10年間で1メートルぐらいしか自分のテリトリーを広げることはできないのです。
 こうした習性を昔の人はよく知っていたのか、「彼岸花は毒だからさわってはいけない」と厳しく言い伝えて、自然増殖できるように配慮したのです。
 たしかに彼岸花の球根には、アルカロイド毒が含まれていますが、水にさらすと溶けて無毒になるのです。しかも、この球根には多量のデンプン質が含まれているので、これを食べたのです。
 しかし、最後の最後まで残しておいたということは、かなりの毒性があるためでしょう。
 彼岸花を食べつくすと、もう残っている植物はありません。あとは人間の肉しかないのです。
 そこで、彼岸花という名前の由来は、秋の彼岸のころに咲く花というだけではなく、最後の最後の食品でもあるという意味で「彼岸花」と名づけられたのではあるまいかという説があります。
 きっと昔の人のこうした苦しい生活の記憶が私たちの心の中に残っていて、彼岸花にさびしげな風情を見いだすのでしょう。



商  品  紹  介
東光 『純米吟醸 ひやおろし』
 山形県の酒造好適米「出羽の里」を使用して醸した酒をひと夏熟成させた、やや甘口のやさしい口当たりと喉越しの酒です。冷やしてお召し上がりください。
 数量限定につき、お早めにお求めください。
  内容 原料米:出羽の里100%  精米歩合:60%
     日本酒度:−4  酸度:1.7  アルコール度:15%
                    1.8L 2730円
                     720ml  1365円
出羽桜 『純米吟醸 雄町』
 酒造好適米「雄町」は、1859年に岡山市雄町の岸本甚造氏により発見されました。大粒で心白(米の中心部の真っ白いデンプン質)が大きく、最高の酒米と称されました。
 生まれながら優れた酒米の特性を持つため、各地で新品種開発の交配種として使用され、「山田錦」「出羽燦々」など現存する酒米の半数以上にその血統が流れています。まさに、現代の日本酒を築き上げた酒米の原種です。
 米の栽培、酒の仕込みは共に困難を極めますが、できあがる酒は独特の優しい味わいに満ちています。冬までゆっくりと大切に熟成させてきた、まろやかな「雄町」独特の味わいをぜひお試しください。
 なお、出羽桜『純米吟醸 雄町』は、昨年、「第1回純米酒大賞 2009」(主催:純米酒大賞制定委員会)にて、最高賞の「純米酒大賞」に選ばれました。
  内容 原料米:雄町100%  精米歩合:50%
     日本酒度:+5  酸度:1.6  アルコール度:16〜17%
                     1.8L 3500円
                     720ml 1750円



……… 編 集 後 記 ………
○どういう風の吹き回しか自分でもよく分からないのですが、このところ映画鑑賞にすっかりハマっています。といっても現在、新庄市には映画館がありませんので、DVDを借りてきての鑑賞ですが。妙に涙もろくなってしまったのは歳のせいか、はたまた秋のせいか・・・。じつに映画はいいですね。

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