第265号(2009.10.10)
未成年者飲酒禁止法について
 10月1日に酒田市の最上川河口に白鳥の第一陣が飛来しました。去年より8日も早く、昭和41年に観測が始まって以来、最も早い記録だそうです。
 気象庁が発表している今年の冬の予想では、東北地方の気温はやや高く、降雪量は平年並みかやや少ないとなっていますが、白鳥がこれだけ早く飛んできたということは今年の冬の到来は早いのでしょうか。
 さてさて、まだ来てもいない冬のことを今からあれこれと考えてもせんないこと、さっさと富田通信に参りましょう。

未成年者飲酒禁止法について
 先日、三年に一度受講しなければならない酒類販売管理研修に行ってきました。その中で未成年者飲酒禁止法があり、未成年者の飲酒の害、つまり、体ができてないためアルコールの影響を強く受けるとか、飲酒が覚醒剤などの薬物の入り口になるなど、未成年者の飲酒を禁止しなければならない理由がいろいろ並べてありました。
 いちいちもっともな理由でしたが、どれもこれもなんだか後から付け足した理由のような気がして、この法律がいつ頃どのような理由でつくられたのかを調べてみることにしました。ちなみに未成年者飲酒禁止法とは四条からなる下記の法律です。

第一条 満二十年ニ至ラサル者ハ酒類ヲ飲用スルコトヲ得ス
2 未成年者ニ対シテ親権ヲ行フ者若ハ親権者ニ代リテ之ヲ監督スル者未成年者ノ飲酒ヲ知リタルトキハ之ヲ制止スヘシ
3 営業者ニシテ其ノ業態上酒類ヲ販売又ハ供与スル者ハ満二十年ニ至ラサル者ノ飲用ニ供スルコトヲ知リテ酒類ヲ販売又ハ供与スルコトヲ得ス
4 営業者ニシテ其ノ業態上酒類ヲ販売又ハ供与スル者ハ満二十年ニ至ラザル者ノ飲酒ノ防止ニ資スル為年齢ノ確認其ノ他ノ必要ナル措置ヲ講ズルモノトス

第二条 満二十年ニ至ラサル者カ其ノ飲用ニ供スル目的ヲ以テ所有又ハ所持スル酒類及其ノ器具ハ行政ノ処分ヲ以テ之ヲ没収シ又ハ廃棄其ノ他ノ必要ナル処置ヲ為サシムルコトヲ得

第三条 第一条第3項ノ規定ニ違反シタル者ハ五十万円以下ノ罰金ニ処ス
2 第一条第2項ノ規定ニ違反シタル者ハ科料ニ処ス

第四条 法人ノ代表者又ハ法人若ハ人ノ代理人、使用人其ノ他ノ従業者ガ其ノ法人又ハ人ノ業務ニ関シ前条第1項ノ違反行為ヲ為シタルトキハ行為者ヲ罰スルノ外其ノ法人又ハ人ニ対シ同項ノ刑ヲ科ス

 まあ簡単にいうと、20歳未満の者は酒を飲んではいけない。親権者もしくは親権者のかわりに監督する者は未成年者の飲酒を制止しなければならない。営業者も責任があり、違反した場合には罰金に処す。という法律です。

 この法律は大正11年4月1日に施行され、その後4回改正されて現在に至ってます。『日本酒おもしろ雑学事典』によると
【この法律は、茨城県出身の政治家で、尋常小学校の授業料全廃案を通過させたりもした根本正という政治家の熱心な主張によって成立したもの。
 この法律のそもそもの趣旨は、たとえ成年でも飲酒の習慣はよくないが、かといって全面的な禁止というわけにはいかないから、せめて未成年のうちは禁酒にして、将来、飲酒の習慣がつかないようにしよう、というところにあった。
 ところで、この法律の成否をめぐっての当時の議会では、酒の功徳をとうとうと述べて、この法律に反対した代議士もいた。また、議会での質疑応答では、「芸妓など(当時は未成年者が多かった)が、酒席で飲まされるのはどうするのか」「いや、業務用は、やむを得ない」「では、神事用の御神酒は?」「それも特別の場合ゆえ、未成年者でもよろしい」というようなことが代議士たちによって真剣に質疑応答されていた。まア、こうした内容からみると、最初から抜け道を認めた、ザル法であったようだ】
と、あります。
 ザル法であるかどうかは別にして、この法律の本来の趣旨は、未成年者の飲酒を禁止することにより成人になってからの飲酒の習慣を防ぐことにあったんですね。当時の日本酒は今に較べて非常に高価でしたから親父の酒代が家計を圧迫し、娘の身売りにつながることも多々あったようです。
 ひるがえって現在、酒が安くなり、成人の飲酒習慣の経済的負担の害よりは、交通事故や家庭内暴力などの社会的な害の方が大きくなっています。
 であるなら、未成年者に飲酒を禁止すると同時に、酒が持っている文化的な背景や酒の楽しい飲み方、美味しい飲み方などを教え、成人になった時に酒と楽しくつきあえるような飲酒教育こそ必要なのかもしれません。・・・乾杯!



商  品  紹  介
出羽桜 三年低温熟成『枯山水』
 今年も本醸造三年低温熟成古酒『枯山水』の季節になりました。古来、旧暦の9月9日重陽(ちょうよう)の節句から、お燗で飲み始めたそうです。上品に枯れた味わいはお燗をするとますますその本領を発揮します。
 ぬるめのお燗(40度〜45度)がお勧めですが、ぜひいろんな温度をお試しください。
 入荷予定 10月中旬
  内容 麹米:美山錦 掛米:雪化粧 精米歩合:55% 度数:15.5%
     日本酒度:+5 酸度:1.3 使用酵母:小川酵母
                    1.8L 3093円
                     720ml 1544円
初孫 生もと純米酒『出羽の里』
 この純米酒は、ふっくらとしたやさしい旨さをイメージして仕込みました。米の特長が良く出た口当たりはなめらかで、旨みがじわっとふくらんでいく味わいに仕上がりました。
 15度〜18度の冷や、お燗は42度がおすすめです。(杜氏 後藤英之)
  内容 原料米:出羽の里100% 精米歩合:55% 度数:15.5%
     日本酒度:±0 酸度:1.4
                    1.8L 2310円
                     720ml 1155円



……… 編 集 後 記 ………
○先日、運転免許証を更新した時に申請していたSDカードが届きました。昭和47年4月28日から平成21年10月5日まで37年間の無事故無違反。無事故はともかく、よくぞ無違反で生きながらえてきたものですね〜。我ながら感心、感心。って、ただ単にラッキーなだけでした。・・・お巡りさん、ゴメン。
○今年は松茸が豊作なのか、あろう事か別々のお客さんから二度も松茸をいただきました。一度目はちょっと小さな松茸が三本。さっそく炭をおこし、焼いて食べました。香り、歯触り、最高ですね。二度目は大きな松茸が二本。で、さっそく松茸ご飯にしていただきました。うまかったぁ。こんどはお吸い物もいいなぁ〜。(^O☆)\(-_-;)



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