第264号(2009.9.10)
国指定重要無形民族文化財
       新庄まつりの山車行事

 9月1日の気象庁発表によると、やはり今年の東北地方の梅雨明け時期は特定できなかったとのことです。新庄は7月の日照不足に続き、8月は日照不足に低温まで加わりました。特に8月下旬からはもうすでに秋本番を迎えたかのような涼しさで、今もジャンパーを着込んで富田通信を書いています。1か月予報によると今後1か月、北海道・東北地方は気温の低い確率が50%だそうです。何とか状況が変わって暖かくなってくれるといいのですが。
 さて、8月の24日、25日、26日と新庄まつりでしたが、今年は国の重要無形民族文化財に指定されたためか、各地からの視察が多かったように感じました。宮城県栗原市から視察に来られた方々が当店に立ち寄られ、そのお話の中で、今まであまり意識することのなかった新庄まつりの素晴らしさを教えられた気がして嬉しくなって、今回の富田通信は「新庄まつり」について書いてみたいと思います。

新庄まつりの始まり
 その起源は新庄まつり委員会によると、宝暦6年(1756)、時の藩主・戸沢正ェ(とざわまさのぶ)が、前年の大凶作にうちひしがれている領民に活気と希望を持たせ、豊作を祈願するために、戸沢氏の氏神である天満宮の祭典を領内あげて行なったのが起源とされています。
 現在は、各町内でつくった21台の山車(やたい・新庄では、山車と書いてやたいと呼びます)が、囃子の腹に響く太鼓や郷愁を誘う笛の音を引き連れ、24日の宵祭りにはライトアップで暗闇に浮かび上がる幻想的な姿で、25日の本祭りには陽の光の中で艶やかさと迫力に満ちた姿で町中を練り歩きます。

新庄まつりの特色
 先に書いた栗原市の方々が私に「北国は夏休みが短いけれども、新庄は長いですね。」と話しかけました。彼らのいっている意味が分からずしばし考え込んでいると、「山車を引いている子供たちはまだ夏休みなんでしょう?」と再び質問されました。
 私「子供たちの夏休みはもう終わっているんですが、市内全域の小中学校がまつりの三日間、休みになるんですよ。いや、学校ばかりか地元の会社も休みになるところが多いんですよ。」
 彼ら「ええっ、学校ばかりか会社もですか。それはすごいですね。」
 そういわれて、まつりに学校が休みにならない地域もあるのかと逆に私がビックリしてしまいました。
 で、あらためて新庄まつりの特色を考えてみました。まず第一に、山車に特定のスポンサーがいないということではないでしょうか。山車の制作費はわが北町の山車を例にとると諸経費すべて込みで二百万円台前半です。その制作費すべてが、市民の御祝儀でささえられているのです。
 山車は各町内毎に若連という組織があって彼らがつくりますが、つくり始めにはもちろんお金はありません。山車制作資材はお祭りが終わるまで市内のどこの店でもツケで調達できます。ですから、お祭り当日は山車運行にかかわる人員以外の若連は市内の各家々から御祝儀をくまなくいただいて歩きます。この時ばかりは無礼講と民家ばかりでなく税務署や警察署にも入りますが、きちんと御祝儀が用意してあります。(署長のポケットマネーとのことです)
 第二は山車はすべて若連の手づくりだということがあげられます。わが北町若連の話で恐縮ですが、例年山車つくりは7月初旬から始まります。開始時間は毎晩7時。制作時間は2時間半ぐらいでその後は飲み会。毎晩20名くらいの若連がワイワイやっています。なぁ〜んだ、制作より飲む時間の方が長いんじゃないかというなかれ。酒を飲みながら山車をつくる上での仕事の段取りや工夫から、人生相談までいろんな話しが飛び交います。若連の年齢は20歳〜60歳代と広範囲なためコップだしなどの飲み会準備や後片づけなどは新しく入ったものが率先してやるなど、地域としての人間教育の場でもあるのです。
 第三は山車制作は市中心部の町内、山車につく囃子は市周辺部の集落と担当が分かれている点でしょう。各山車はそれぞれの集落の囃子と契約を結び、形としては山車が囃子を雇ってパレードを行ないます。
 まだまだまつりの特色はあるのでしょうが、今上げた特色だけでもこのまつりが市民全体を巻き込んでいく仕組みを持っていることがよく分かります。
 わが北町若連は昭和51年に町名変更に伴い茶鍛若連から名前を変えたのですがその歴史は古く、記録に残っているものでは安永五年(1776年)に『風流・孔明』の題で山車をつくっています。
 新庄で生まれ育ったものは多かれ少なかれ、このまつりの歴史と伝統を無意識のうちに心と身体に刻んでいるのでしょう。
 今回、栗原市から来られた方々の質問によって今まで当たり前と思っていた新庄まつりの素晴らしさを初めて知ったような気がします。・・・乾杯!



商  品  紹  介
出羽桜 『桜花吟醸酒 山田錦』
 今年も山田錦100%のプレミアム桜花吟醸酒が発売されます。
 桜花吟醸酒の華やかな香りに加え、山田錦由来の奥行きのある深い味わいが楽しめます。火入れ作業はお燗の要領で瓶火入れしており、「秋あがり」のまろやかな熟成をお楽しみいただけます。
 例年同様、今年もこの時期だけの出荷です。
 入荷予定日 9月中旬
  内容 原料米:山田錦100%  精米歩合:50%  酵母:小川酵母
     日本酒度:+5  酸度:1.4  アルコール度:16度〜17度
                    1.8L 3045円
                     720ml  1523円
東光 『純米吟醸 ひやおろし』
 今年も『純米吟醸 ひやおろし』は原料米に出羽の里を使い、秋の熟成をねらって酸度を高めに仕込みました。
 昨年同様、春先にはちょっときつめだった酸も落ち着き、旨みの乗った酒に仕上がりました。
 数量限定につき、お早めにお求めください。
 入荷予定日 9月中旬
  内容 原料米:出羽の里100%  精米歩合:60%
     日本酒度:−4  酸度:1.7  アルコール度:15度〜16度
                    1.8L 2730円
                     720ml  1365円
上喜元 『生もと 特別純米 美郷錦』
 酒米「美郷錦」は「山田錦」を母、「美山錦」を父に持つ、秋田県の認定品種です。その希少な酒米、美郷錦で仕込んだ特別純米酒が夏を越え、今まさに飲み頃! といえる味に仕上がりました。
 爽快感と、旨味がバランス良く感じられる、一押しの一本です。
  内容 原料米:美郷錦100%  精米歩合:60%
     日本酒度:+4  酸度:1.5  アルコール度:15度〜16度
                    1.8L 2625円
                     720ml  1313円




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