第258号(2009.3.10)
篠笛のはなし
 雪が解けて屋根から滑り落ちる音がだんだん頻繁に聞こえるようになり、窓越しに小鳥のさえずりが聞こえはじめ、いままで生命の気配すら感じられなかった戸外に、かすかに、しかしはっきりと春の足音が響き始めました。
 今冬の新庄は2月20日に積雪が1メートルになりましたが、それでも例年に比べればはるかに少なく、屋根の雪下ろしもせずに済みました。5日現在の積雪量は50センチです。
 3月に入り、雪の脅威からほぼ解放されて心底ホッとすると同時に頭の中も解放されて、すっかり空っぽになってしまいました。
 これではいかんと、必死になって富田通信のネタを考えたのですが、どうしても浮かばず、で、ふと聞こえた、おひな様の「♪五人囃子の笛太鼓♪」にあやかって、今回の富田通信は過去に何回か顔を出している篠笛のおはなし。。。

篠笛とは
 篠笛(しのぶえ)とは、篠竹という女竹からつくられた横笛のことをいいます。構造はいたって簡単で、篠竹に唄口という息を吹き込んで音を出すための孔(あな)と音階をつくるための指孔があり、管の内側に漆を塗っただけのものです。
 音階をつくるための指孔の数は六つや七つが一般的ですが、中には二つとか四つしかないものもあります。
 篠笛がいつ頃からあったのか、また、大陸から伝わってきたものか日本古来のものか、はっきりしたことは分かっていませんが、かなり古くからあったもののようです。
 日本の横笛には神楽笛(かぐらぶえ)、狛笛(こまぶえ)、竜笛(りゅうてき)、能管(のうかん)、篠笛などがあります。神楽笛、狛笛、竜笛は雅楽に、能管は能に用いられ、篠笛はおもに祭り囃子など各地の民俗芸能に使われていたようです。
 篠笛は大正時代ころまではただ単に竹笛と呼ばれていました。長唄の福原流の五世福原百之助が篠竹でできたこの笛を篠笛と呼んだことが始まりです。
 また、篠笛には昔ながらの民俗芸能に使われている「古典調」あるいは「お囃子調」と呼ばれるものと、ドレミの音階に近い音が出せる「唄用」と呼ばれるものがあります。
 この「唄用」の篠笛もまた、五代目福原百之助と六代目福原百之助(現、人間国宝・四代目寶山左衛門(たからさんざえもん))が戦後に古典調に改良を加えてつくったものです。

篠笛との出会い
 私と篠笛の出会いといったら、生まれたときから聞いている新庄祭りのお囃子でしょう。でも、それはウキウキするものではあっても、あくまでもお囃子の中の笛であり、篠笛単体として意識したことはありませんでした。
 私が篠笛の音色に恋い焦がれるようになったのは、いまから三十数年前にさかのぼります。当時、LPレコードからCDへの移行期で、デジタル録音によるLPレコード、いわゆるPCM録音のLPレコードなるものがありました。オーディオに凝っていた私はこのシリーズの「笛の世界」という日本の横笛のレコードを試しに買って聴いてみたのです。スピーカーから流れ出る笛の音に身動きができなくなっていました。奏者は中川善男さんという方ですが、なかでも「黒髪」という篠笛の独奏曲の音色にガッシリと心をつかまれてしまったのです。
 無性にこの篠笛という楽器が吹いてみたくなり、すぐさま、楽器店に買いに走り、新庄祭り用の篠笛を手に、レコードを何度も聴いて曲をおぼえ、まったくの自己流で笛を鳴らし続けました。結果はなんとか吹けるようにはなったものの恋い焦がれる音色とはほど遠く、一年ほどで挫折してしまいました。
 その当時は、篠笛が民俗芸能で使われる楽器故に、篠笛教室などという一般的な指導所は無く、誰に教わることもできず、自己流でやる以外、方法がなかったのです。

篠笛との再会
 三年前の桜の季節にテレビで篠笛の音が流れたのを聞いて昔を思い出し、インターネットで篠笛のことを調べてみました。
 驚いたことに実にたくさんの篠笛に関するホームページがあり、ネットを通じて、プロの篠笛奏者の狩野泰一さんや朱鷺たたらさんと知り合うことができ、さらには、素晴らしい篠笛とも巡り会うことができました。なんとも便利で、ありがたい世の中になったものだとつくづく思います。
 もし、インターネットのような情報収集方法が無かったら、片田舎に住む身としては、二度と篠笛を吹くことはなかったかもしれません。
 自分なりの「黒髪」をいつか吹ける日を夢見つつ、毎日、心のおもむくままに、笛に息を通しています。



商  品  紹  介
山形の生酒 限定醸造頒布会
 山形県内18社の蔵元が腕によりを掛けて仕込んだ生酒を300mlのビンに詰めて、毎月6種類×3カ月、お届けします。
 今年も、上記頒布会をお買い上げいただいた方だけお申込いただけるプレミアム頒布会として、7月に720ml×2本の頒布会をご用意しました。
 なお、限定数に達した段階で締め切らせていただきます。(注:プレミアム頒布会のみの申し込みはできません。

 頒布期間/平成21年4月・5月・6月まで毎月各1回、計3回
      プレミアム頒布会:7月1回
 会  費/毎回3150円×3回(税込) プレミアム頒布会:3150円(税込)
 申込締切/平成21年3月19日
 頒布酒(いずれも300ml瓶詰め生酒)
  4月 和田酒造 大吟醸  あら玉
     麓井酒造 大吟醸  麓井の圓
     秀鳳   純米吟醸 恋おまち
     奥羽自慢 吟醸酒  奥羽自慢
     錦爛   純米吟醸 きんらん
     寿虎屋  本醸造  山田錦 無濾過槽前原酒
  5月 東光   大吟醸  東光
     月山酒造 純米吟醸 銀嶺月山
     栄光冨士 吟醸酒  吟しぐれ
     男山   吟醸酒  つららぎ
     初孫   吟醸酒  初孫吟醸生
     千代寿  吟醸酒  吟造り生酒
  6月 米鶴   大吟醸  盗み吟醸
     六歌仙  純米吟醸 六歌仙
     東の麓  純米吟醸 テツ
     花羽陽  純米吟醸 花羽陽
     杉勇   純米吟醸 杉勇
     大山   本醸造  大山
 プレミアム頒布酒(720ml×2本)
  7月 出羽桜  純米吟醸 出羽桜 限定品
     東北泉  吟醸酒  吟醸 出羽燦々
※発送の場合は送料が加算されます。ご了承ください。




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