第247号(2008.4.10)
バッカス
 今年の新庄は3月8日に3センチほどの降雪があって以来、ほとんど雪らしい雪も降らず、3月25日には気象庁発表のデータでは積雪量はゼロということになりました。
 といっても、まあ、実際には雪も全市均一に積もるはずもなく、その時点では田んぼは白い部分がかなりあったのですが、それも4月に入り、ほとんど消えてしまいました。この分で行くと、桜もかなり早そうです。
 陽気もこう良くなってくると釣りの虫が冬眠から目覚めてそわそわと動き出し、今年の初釣りはいつがいいかと天気予報とカレンダーを眺めている毎日なんですが、そうなると肝心要の富田通信がさっぱり進みません。困ったものです。
 さて、年度初めの4月ということもあり、今回の富田通信は西洋の酒の神様である「バッカス」について坂倉又吉氏の『酒おもしろ語典』より書いてみましょう。

バッカス
 西洋の酒の神様にもいろいろいますが、その中で一番有名なのはなんと言ってもバッカスでしょう。
 バッカスは、ギリシャ神話の中にある神様で、父ジュピター(別名ゼウス大神)、母セーメレ姫の間にできたのですが、その生まれ方がすこぶるふるっています。ゼウス大神は、太陽神で、常には炎をあげているのですが、ときに普通の人間しかも美男子の姿となって世にあらわれるうち、セーメレ姫と知り合い相愛の仲になりました。ところがあるとき、誤って出した僅かな炎によって姫を焼き尽くしてしまいましたが、幸か不幸か、子宮だけが残りました。大神は、なげき悲しみそれを大切に肌であたため育てているうちに、月満ちて生まれたのがバッカスだという話であります。このバッカスは、はじめて葡萄の栽培をやり、葡萄酒の製法を発明し、これを一般に伝授したところから、酒の始祖といわれています。そのバッカスも、若い頃には親父ジュピターと同じように、熱烈な恋をしました。
 ここは波静かなナキリスの海岸、散歩をしていたバッカスと、バッタリ出会った一人の美しい少女! それが、ミノース王の娘で、アリアド姫という人です。そして、二人の恋は燃え上がり、やがて、黄金の冠を贈って結婚しましたが、美人薄命、姫は間もなく病気で亡くなってしまい、魂が天に帰ってしまいましたので、断腸の思いに堪えかねたバッカスは、今は悲しき思い出の金冠を天に投げうちましたのが、そのまま天の星になりました。
 ギリシャ神話では、このように、おしまいに星になるお話がよくありますが、このバッカスがつくった星は、牛飼い座のすぐ東に、今も輝く金冠星座なのです。
 ともかく、バッカスのおかげで人々はお酒を手に入れることができました。そこで、バッカスをたたえるお祭りをしようと、紀元前五世紀の頃、アテネに大ぜいの人が集まって、呑めや唄えの大騒ぎをやったそうです。この騒ぎのことを、ギリシャ語で、コーモーディア(Komoidia)と呼びました。このことばが、やがて英語のコメディ(Comedy)と変わったのだそうです。
 ついでに西洋の他の神様も見てみましょう。
 エジプトの酒の神はオリシスといい、ビールの始祖だといわれています。がそればかりではありません。土木、農耕、倫理の神様でもあります。この神もまたギリシャとは違う別の太陽神がつくりたもうた天地の洋中に漂う睡蓮の花から自然に生まれ出た神が、その睡蓮から男女二神をつくり、この二人が兄妹婚をし、その間にできた神がまた兄妹婚をして、そのまた間にできた神様です。
 どうにも不思議な話ですが、その不思議なのが神様のいいところ。「蓮から神様をつくるなんて、そんなはずないよ」などといちいち理屈を言ったんでは神話になりません。
 ローマではブンブリヌスがビールの神様とされていますが、これはもう時代がだいぶ新しく、ビール醸法に大改良を加えたジャンブリムスという実在の人だとの説があります。



商  品  紹  介
山形の生酒 限定醸造頒布会
 山形県内18社の蔵元が腕によりを掛けて仕込んだ生酒を300mlのビンに詰めて、毎月6種類×3カ月、お届けします。
 今年はさらに、上記頒布会をお買い上げいただいた方だけお申込いただけるプレミアム頒布会として、8月に720ml×2本の頒布会を600口限定でご用意しました。なお、限定数に達した段階で締め切らせていただきます。(注:プレミアム頒布会のみの申し込みはできません。)

 頒布期間/平成20年5月・6月・7月まで毎月各1回、計3回
      プレミアム頒布会:8月1回
 会  費/毎回3150円×3回(税込) プレミアム頒布会:3150円(税込)
 申込締切/平成20年4月20日

 頒布酒(いずれも300ml瓶詰め生酒)
  5月 男山酒造 吟醸酒  つららぎ
     和田酒造 大吟醸  あら玉
     月山酒造 純米吟醸 銀嶺月山
     菊勇   吟醸酒  吟醸生酒菊勇
     錦爛   純米吟醸 きんらん
     樽平   特別純米 雪むかえ美山錦
  6月 寿虎屋  本醸造  山田錦無濾過槽前原酒
     六歌仙  純米酒  六歌仙 アベリア酵母(花酵母)使用
     最上川  純米吟醸 ワーコム米 最上川
     竹の露  純米吟醸 竹の露
     初孫   吟醸酒  初孫吟醸生
     東光   大吟醸  無濾過大吟醸
  7月 出羽桜  純米吟醸 出羽桜
     千代寿  吟醸酒  吟造り生酒
     古澤酒造 吟醸酒  澤正宗
     酒田酒造 純米吟醸 上喜元
     鯉川   純米酒  鯉川
     米鶴   大吟醸  盗み吟醸

 プレミアム頒布酒(720ml×2本)
  8月 亀の井   純米吟醸 純米吟醸辛口
     新藤酒造店 吟醸酒 旬・泉氷鑑 峰雪

※発送の場合は送料が加算されます。ご了承ください。



……… 編 集 後 記 ………
○3月19日、山形県工業技術センターで、春の全国新酒鑑評会のための大吟醸の一般公開がありました。会場には山形県内はもとより、北海道から九州までの蔵自慢の大吟醸が200点以上、ずらりと並んでいます。順にきき酒していったのですが、今年の山形県の酒の出来は、香り、味ともにバランスが良く、去年をしのぐ素晴らしいものに仕上がっているように感じられました。
○ついこの前まで雪囲いに隠れて姿を見せなかった池の鯉たちも水が温んできたためかゆったりと泳ぎ回っています。春ですねぇ。何ともいえず心がなごんできます。今月下旬には新庄の桜も見頃となることでしょう。花見酒が待ち遠しい。・・・乾杯!

E-mail:tomita@vega.ne.jp ->メール