第242号(2007.11.10)
ぐでんぐでんとべろんべろん
 赤く色づいた裏庭の柿の葉が風に舞い始め、家々の玄関もあちこちで雪囲いが目立ち始めました。新庄はすっかり晩秋です。
 先日、新聞の広告欄に「ぐでんぐでんとべろんべろんはどう違うのか」という意味のキャッチコピーで『日本語オノマトペ辞典』小野正弘編・小学館が紹介されていました。以前から擬音語や擬態語を表わすオノマトペというものに少し関心があったことと、常に富田通信のネタに悩まされている身としては即座に注文しました。
 というわけで、今回の富田通信は『日本語オノマトペ辞典』に載っている酒や酔いに関するオノマトペを紹介します。

オノマトペとは
 この本によると、オノマトペとは、これまで、擬音語(または擬声語)、擬態語などとも呼ばれてきた言葉の総称だということです。
 オノマトペという言葉の語源はフランス語で英語だとオノマトピーアのような感じになるそうです。おおもとは古代ギリシア語にまでさかのぼり、造語すること、名前を造ることという意味があったそうです。
 前置きはこのくらいにして早速オノマトペを見てみましょう。

ぐでんぐでん/べろべろ/へべれけ/ほろり
 どれも皆、酒に酔うようすを表わすオノマトペですが、
ぐでんぐでんは、正体がなくなるほど酔っているようす。
「ぐでんぐでんに酔って、歩けない」。
べろべろは、ろれつが回らないほど酔っているようす。
「べろべろに酔って、何を言っているかわからない」。
へべれけもひどく酔った場合に使うが、ぐでんぐでん、べろべろほどではない。
「二人で一升びんの酒を空け、へべれけになった」。
ほろりは、軽く酔うようす。
「アルコールに弱く、さかずき一杯の酒でほろりとなる」。

 っていうことは、一番酔いの程度のひどいのが「ぐでんぐでん」で次いで「べろべろ(べろんべろん)」、次に「へべれけ」で程度の軽いのが「ほろり」ということになるのでしょうね。
 常に飲み始めるときには「ほろり」を思っているのですが、いざ酒が入ると「ぽわん」となり、気づいたときには「ぐでんぐでん」になっている自分がコワい。。。
 さて、気を取り直して酒を飲むときに使われるオノマトペを見てみましょう。

きゅーっ・きゅっ 酒などをひと息に軽やかに飲むさま。「焼酎をコップで一ぱいきゅっとやって」<三とせの春は過ぎやすし・杉浦明平>

くい
 酒などを軽くひと息に飲むさま。「イキな飲んべえは、酒屋の店先でクイッとキメる粋」<都市の風景・毎日新聞・91.5.27>

ぐい 酒などをあおるようにひと息に飲むさま。「大きな湯呑み茶碗を?んでぐいと飲み干して」<助左衛門四代記・有吉佐和子>

ぐいぐい 酒などを勢いよく続けて飲むさま。「二三杯ぐいぐい飲んでホッと嘆息をしたが」<節操・国木田独歩>

くっ・ぐっ ひと息に飲みくだすさま。「一名これを唐茶といふ。くっと飲てはくっとゆき、ずっと酔てはすっと寝る」<洒落本・売花新駅>

ぐっぐっ 飲み物を息もつかずに勢いよく飲む音。また、そのさま。「ちゃわんについで、いきなしにぐっぐっとやらかし」<東海道中膝栗毛・十返舎一九>

ぐびっ・ぐびり 酒などを一気に飲む際に、のどが鳴る音。また、そのさま。「あはれなるつらでぐびりと迎ひ酒」<雑俳・芽出柳>

ぐびぐび 酒などをうまそうに、息もつがずに飲む音。また、そのさま。酒のくるのを待って、のどを鳴らしているさま。ぐびりぐびり。くびくび。「酒の香の芬々(ふんぷん)たるを嗅するごとく、喉をぐびぐび致させ」<艶魔伝・幸田露伴>

ちびりちびり 酒を少しずつ飲むさま。「ちびりちびりのみながら何やら本をよみゐたるが」<西洋道中膝栗毛・仮名垣魯文>

とっちり 酒をじゅうぶんに飲むさま。酒に酔って思慮がなくなっているさま。「こころやすい一座のざしきでとっちり飲んで、とろんこ目にちどり足で」<洒落本・傾城買花角力>

ひっく 息を短く吸いこみながら泣く声。しゃっくりの音。また、そのさま。「『さあ、それはどうかな、ヒック』 悪魔は、シャンパンの飲みすぎか、げっぷの連発」<ブンとフン・井上ひさし>

 まだまだたくさんあるのですが、どうやら酒の飲みすぎでしゃっくりが出ましたのでここらでお開きということで。・・・乾杯!



商  品  紹  介
出羽桜・純米吟醸『雄町』
 酒造好適米「雄町」は、1859年に岡山市雄町で発見されました。大粒で心白(米の中心部の真っ白いデンプン質)が大きく、最高の酒米と称されました。
 生まれながら優れた酒米の特性を持つため、各地で新品種開発の交配種として使用され、「山田錦」「出羽燦々」など現存する酒米の半数以上にその血統が流れています。まさに、現代の日本酒を築き上げた酒米の原種です。
 米の栽培、酒の仕込みは共に困難を極めますが、できあがる酒は独特の優しい味わいに満ちています。冬までゆっくりと大切に熟成させてきた、まろやかな「雄町」独特の味わいをぜひお試しください。
  入荷予定:11月下旬
  内容 日本酒度:+5 酸度:1.6 度数:16〜17%
     原料米:雄町(岡山県産) 精米歩合:50% 酵母:山形酵母
                  1.8L 3500円
                  720ml 1750円
初孫・発泡性純米にごり酒『雪恋花』
 アルコール分9%のおだやかな酔い心地の『雪恋花』。微発泡性ながら瓶内で二次発酵させたためその泡立ちは非常にこまく、クリーミーな口当たりとも相まって、上品な風味を醸し出しています。
 乾杯酒として、そして料理に合わせた食中酒として、素敵なグラスでお楽しみください。
 内容 精米歩合:70% アルコール度:9〜10%
                       500ml 693円
初孫『山田錦熟成純米酒』
 この酒は、「おでんに合う酒」を目指して、仕込みの設計を行ないました。
 原料米に山田錦を使い、和風のだし、醤油などの調味料の旨さに相性がよい幅のある味わいを出すために生もとつくりをし、さらに深みのある旨さに仕上げるために、約2年半の間、低温で熟成させました。
 お燗をすると、まろやかな旨さとしまりのある酸味でさらに酒の味が上がります。ぜひ、お燗をして召し上がってみてください。
 内容 精米歩合:70% アルコール度:15.5% 酒度:+3 酸度:1.6
                    1.8L 2481円
                     720ml 1244円




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