第240号(2007.9.10)
240号 ・・・ん? 20年!
 今年もまた、8月24日からの新庄祭りのあたりから空気が秋色に変わりました。まだ時折暑い日が混ざるものの、空を飛び交うトンボの数が目立って増えたりして、日ごとに秋の気配が強くなっています。
 ところで、富田通信、今月で240号なんですね。月一回の発行ですから、240号ッちゅうことは、まる20年ということになります。我ながらよく続いたものだと半ば感心、半ば呆れています。そこで、今回の富田通信は思いつくままに20年の歩みを振り返ってみたいと思います。

昭和62年10月20日
 この日、富田通信がB5版用紙の片面一面だけの形で産声を上げました。記念すべき第1号の題名は『柿のしぶ抜きの方法(富田酒店の場合)』。
 幸か不幸か、第1号から、商品の宣伝をメインとするチラシの形ではなく、情報紙の形での発行だったんですね。これはある偶然から生まれました。
 当時私は750ccのバイクに乗っていたんですが、体力に限界を感じバイクを手放しました。そしてそのお金で当時出始めのワープロを買いました。ディスプレイは電卓並みの1行12文字だけ。文章の保存にはワープロに接続したテープレコーダーを使うという代物でした。
 そこまでしてワープロを買ったのはもちろん、まだ生まれてもいない「富田通信」を書くためではありません。何を隠そう、じつは日記というものを書きたかったのです。日記というものにはどういうわけか、小さい頃から憧れがありました。すべて三日坊主で終わっていたのですが、愚かにもワープロで書けば日記が続くかもしれないと思いこんでしまったのです。
 で、結果は。・・・言うまでもありませんね。日記帳に書けないものがワープロで書けるはずもないですものね。
 でも、バイクを売ってまでして買ったワープロ。このままうち捨てるわけにも行かず。。。と思い悩んでいたところ、時は秋、店には柿のしぶを焼酎で抜く方法を尋ねるお客さんが時折いました。ハタと思い当たって「富田通信」と銘打って柿のしぶ抜きの方法を書いたのです。お客さんに大好評でした。
 これが富田通信が情報紙の形を持って生まれた理由で、その時、お客さんに大変喜んでいただけたことは、その後の富田通信の性格を決定づけました。
 えっ? で、日記はその後どうなったかですって? 恥ずかしながらワープロからパソコンになった今も、日記のソフトは入っているのですが・・・。

平成8年11月15日
 この日、富田通信が第3回『吟功績賞』を受賞しました。受賞理由は富田通信が100号を超えたことによるものです。
 『吟功績賞』とは「飲んでしまえばなにも残らないもの、吟醸酒。それを慈しみ、愛し、育てた人々の功績を称えて授与するもの。選考、授与は、幻の日本酒を飲む会が吟醸酒研究機構の協力によって実施している。」という賞です。
 この賞の過去の受賞者は酒販店においては全国に名の知れたすごい方々でした。受賞の知らせを聞いたときには、嬉しさよりも、こんな私が本当に頂いてしまってもいいのかという恐れにも似た気持ちで体の震えが止まらなかったのを今でも覚えています。
 そしてその年の暮れ、大阪のTさん(今は結婚してYさん)からとても素敵な贈り物を頂きました。彼女は富田通信存続の恩人なのですが、その彼女が『吟功績賞』のお祝いに『富田さんの「功績」が私のほんの回りだけでもこんなにあるのだと知って欲しくて寄せ書きをまわしてみました。』で始まる手紙と共に、私の知らないたくさんの方々の暖かい言葉の寄せ書きの色紙を2枚、額に入れて贈ってくれたのです。
 思わず目頭が熱くなりました。酒のこと、酒にまつわるいろんな楽しい話を知って欲しくて富田通信を書いている私にとって、本当に嬉しい贈り物でした。

平成15年6月24日、平成17年1月21日
 富田通信を100号までまとめた『富田通信第1巻』、101号から200号までまとめた『富田通信第2巻』ができました。北海道紋別市の株式会社ソーゴーに勤める畏友・山市喜雅君が、ぐうたらな私の尻を叩き、儲け抜きで本にしてくれたのです。毎月読み捨てられていた富田通信が一冊の本にまとまって後世に残ってしまうっていうのはちょっと気恥ずかしかったのですが、出来上がって、「面白かったよ」という読者の声を聴くとき、本にしてよかったと心から思っています。
 ただ、そのおかげでネタが切れたとき、コソッと遙か昔の富田通信を使い回すということができなくなってしまいましたが・・・。エヘヘ。

 この20年を振り返ってみると、富田通信がこれまで続いたのは私の力というよりも、じつに多くの方々の支えによるものだということをあらためて思いしらされます。これまで、本当にありがとうございました。そしてもしできましたなら、今後ともよろしくお願いいたします。



商  品  紹  介
出羽桜『桜花吟醸酒 山田錦』
 今年も山田錦100%のプレミアム桜花吟醸酒が発売されました。
 桜花吟醸酒の華やかな香りに加え、山田錦由来の奥行きのある深い味わいが楽しめます。火入れ作業はお燗の要領で瓶火入れしており、「秋あがり」のまろやかな熟成をお楽しみいただけます。
 例年同様、今年もこの時期だけの出荷です。
  内容 日本酒度:+5  酸度:1.4  アルコール度:16度〜17度
     原料米:山田錦100%  精米歩合:50%  酵母:小川酵母
                            1.8L 3050円
                            720ml  1525円
竹の露『白露垂珠(はくろすいしゅ)大吟醸』
 山形県の羽黒町にある竹の露。この蔵は全国新酒鑑評会に山田錦ではなく、蔵人が栽培した「出羽燦々」を原料米にした大吟醸を出品し続け、5年連続金賞受賞に輝く酒蔵です。
 この酒は平成17酒造年度の金賞受賞酒を一年間氷温貯蔵したものです。やわらかな香りと巾のある豊かな旨みが口中いっぱいにふくらんだかと思うと、心地よい喉ごしと清々しい余韻が引いてゆく「芳醇淡麗」美酒です。
  内容 原料米:羽黒産出羽燦々100% 精米歩合:40%
     日本酒度:+1 酸度:1.1 アルコール度:16.5度
                            1.8L 3465円
東光『純米吟醸 ひやおろし』
 去年、大好評だった米沢市にある東光の『純米吟醸 ひやおろし』が今年も発売されます。
 今年も去年同様に山田錦を40パーセントまで精米した米でつくって純米大吟醸。なんでこんなに安くできるのかわかりませんが、夏を涼しい蔵で越して熟成してさらに旨くなりました。
 数量限定につき、お早めにお求めください。(入荷予定日 9月下旬)
  内容 原料米:山田錦100%  精米歩合:40%
     日本酒度:+7  酸度:1.2  アルコール度:15.5度
                            1.8L 2730円
                            720ml  1365円




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