第232号(2007.1.10)
乾杯のはじめ
 新年明けましておめでとうございます。今年もよろしくお願いいたします。
 この冬は今のところ雪が非常に少なく楽な冬です。なにせ、12月中に雪が積もっていた日は10日しかなく、しかも積雪が14cm止まり。その雪も1月7日にはついにすべて消えてしまいました。8日朝現在、新庄の積雪は0cmです。大雪だった一年前の今日は積雪が121cmもあったんですから、まさに今年は天国です。できればこのまま春までいってくれればいいのですが。
 さて、忘年会、新年会とこの季節、飲み会が続きますよね。会の始めに挨拶があり、それが終わると「乾杯!」。ところでこの「乾杯」、日本ではいつ頃から始まったのでしょうか。
 亥年最初の富田通信はこの乾杯の始まりについてを『つい誰かに話したくなる雑学の本』日本社 講談社+α文庫よりご紹介します。

「乾杯」という習慣はいつごろから
 酒席では「乾杯」が常識です。いまでは日常生活の中に、あたり前のようにとけこんだ「乾杯」の習慣は、いつごろから、われわれの中に根づいたのでしょうか。
 これについては、おもしろい話があります。
 安政元年(1854年)の日英和親条約の協定の後、英国は特派使節のエルギン伯を来日させました。通商の約款を補足するためでした。
 一行は、日本側との交渉のため、井上信濃守(いのうえしなののかみ)等6人の幕府の条約委員を招きました。そして会談が終わり、晩餐となりました。
 食事がすむと、エルギン伯は、日本側の人々に向かって、イギリスでは元首の健康を祝して杯を交わす習慣があるので、ここでひとつ、そうしたいのだがと提案したのです。
 当時の日本人にとって、これはまるで初めての体験だったのです。しかし、礼を失しないように、幕臣たちは、これを理解しようとしました。
 そして、一行の中でもきわめて謹厳で大まじめな井上信濃守が、会話が切れて座が静まり返ったときいきなり立ち上がり、高い声で「乾杯」をし、おごそかに着席したのです。
 これには、エルギン伯はじめ参会者も耐えきれず、どっと笑い出しました。
 これはイギリス側の感想ですから、厳粛に儀式を行なった日本側が、どういう受け止め方をしたかはわかりません。
 しかし、このかなりこっけいな「乾杯」の後で、日本の酒席に「乾杯」が根づいたことだけは確かです。

 へえぇぇ〜、日本における乾杯の習慣はそんなところから始まったんですねェ。
 ちなみにヨーロッパにおける乾杯の起源は坂倉又吉氏の『酒おろしろ語典』によると、「古代において、神または死者のために神酒を飲んだ宗教的儀式がはじまりであろう、とされています。ギリシャ・ローマでは食事どきには神酒を神に捧げ、宴会の折にはその神酒によって列席者ならびに死者のために乾杯しました。
 キリスト教の時代になって、キリスト、聖母、聖人たちに乾杯する風習にかわり、それがイギリスでは中世期以後まで宗教的祈りと酒盛りで死者を追憶する風習として伝わり、それがいつの間にか生きた人間の健康を祝福する乾杯になったのであります。
 それから、乾杯のとき杯を触れあうのは、昔は客にすすめるとき、毒の入っていないことを証明するため客の杯と同時に主人の杯にも酒を注いで、主客が同時に杯をとって飲む習慣でありました。それがいつの間にか親しい者同士の間でいっしょに杯を手にし、それを触れ合わせて飲みほす習慣になったものだといわれています。」ということだそうです。



商  品  紹  介
上喜元『超辛純米吟醸 完全発酵』
 超辛口酒というと味が薄っぺらになりがちなんですが、この酒はフルーティな香りとしっかりとした味わい、それに何より抜群のキレの良さを持った酒で、スイスイと喉を滑り落ちていきます。
 食中酒としてお薦めの一品です。
  内容 原料米:五百万石 精米歩合:50% 度数:16〜17度
     日本酒度:+15 酸度:1.2
                     1.8L 2835円
麓井『吟醸 圓 新酒生酒』
 12月中旬に出荷された麓井の新酒です。フレッシュな味わいをお楽しみください。
 数量限定につき、売り切れの際はご容赦ください。
  内容 原料米:麹米 山田錦 掛米 美山錦 精米歩合:50%
     度数:15.5度 日本酒度:+2〜+4 酸度:1.3〜1.5
                     1.8L 2755円
麓井『純米吟醸 雄町 おりがらみ生酒』
 1月下旬に入荷予定の純米吟醸新酒です。雄町独特の線の太さをお楽しみください。また今回はオリが絡んだにごり酒を仕入れました。
 数量がわずかですので品切れの際はご容赦ください。
  内容 原料米:雄町 精米歩合:50% 度数:16.5度
     日本酒度:+2〜+4 酸度:1.4〜1.6
                     1.8L 3150円
出羽桜『出羽燦々 無濾過生原酒』
 搾ったままの純米吟醸原酒です。出羽桜らしい北国の女性を想わせる繊細で美しい味わいの中に原酒が持つ重厚な旨みが加わった純米吟醸無ろ過生酒をお楽しみください。
  内容 原料米:出羽燦々 精米歩合:50% 度数:17〜18度
     日本酒度:+4 酸度:1.4 酵母:山形酵母
                     1.8L 3150円
                    720ml 1575円



……… 編 集 後 記 ………
○本編でも紹介した『つい誰かに話したくなる雑学の本』に「お正月に門松を立てるのはなぜ」というのがありました。
 それによると、古来日本人は八百万の神という言葉もあるように、いろいろな神さまを祭っていて、その中に五穀を守る「年神」という神さまがいるんだそうです。
 この年神は春の始まりの第一日目である元日にやってくるといわれ、昔の人々は門松を立ててこの年神を迎えたんだそうです。つまり門松は年神が宿る安息所だったわけなんです。で、飾ったのは、松にかぎらず、榊、栗、楢などの木を立てたりもしていたそうです。いまのように、松に竹を加えるようになったのは、鎌倉時代以降だそうですよ。
 さすがに『つい誰かに話したくなる雑学の本』ですね。読んだそばから話したくなります。エヘヘ。

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