第224号(2006.5.10)
酒税法改正について
 4月20日に雪が積もるなど、先月の天候不順で桜の開花が遅れ、去年に引き続き新庄は今年もゴールデンウイークに桜が見頃になりました。おかげで新庄の春の行事である「カド焼き大会」も大賑わいだったようです。
 「カド焼き大会」を知らない人のために一言。「カド」というのは魚のニシンのことで、新庄では春になると脂の乗ったカドを焼いて食べ、花を眺め、酒を飲みながら春の訪れを謳歌します。ちなみにニシンの卵を数の子というのは、カドの子から転訛したものだといわれています。
 ところで、酒税法が改正され5月1日から施行されました。今回の改正はどうも内容がよく分からないのですが、理解できた範囲で書いてみたいと思います。

酒類の分類及び定義等の改正
 酒類をその製法や性質等により大きく4種類に分類し、原則としてその分類によって税率を適用することとされました。
 また、改正前の酒税法(以下「旧酒税法」といいます。)の10種類11品目(清酒・合成清酒・しょうちゅう・みりん・ビール・果実酒類・ウイスキー類・スピリッツ類・リキュール類・雑酒の10種類に粉末酒を加えて11品目)の分類については17品目に整理され、各品目の定義についても改正されました。
 なお改正後の酒税法(以下「新酒税法」といいます。)における種類・品目の概要は以下のとおりです。

4種類の分類と定義の概要
発泡性酒類:ビール、発泡酒、その他の発泡性酒類(ビール及び発泡酒以外の酒類のうちアルコール分が10度未満で発泡性を有するもの)
醸造酒類:清酒、果実酒、その他の醸造酒
蒸留酒類:連続式蒸留しょうちゅう、単式蒸留しょうちゅう、ウイスキー、ブランデー、原料用アルコール、スピリッツ
混成酒類:合成清酒、みりん、甘味果実酒、リキュール、粉末酒、雑酒

17品目(定義の概要は省略します)
清酒・合成清酒・連続式蒸留しょうちゅう・単式蒸留しょうちゅう・みりん・ビール・果実酒・甘味果実酒・ウイスキー・ブランデー・原料用アルコール・発泡酒・その他の醸造酒・スピリッツ・リキュール・粉末酒・雑酒

 以上は4月に税務署から発行された「酒税法等の改正のあらまし(酒類販売業者向け)」というパンフレットから抜き書きしたものですが、読んで分かりましたか?
 ここに書かれてあるとおり、もしほんとうに酒類をその製法や性質で分類するとしたなら、4種類ではなく3種類になるはずです。つまり、醸造酒・蒸留酒・混成酒の3種類です。
 醸造酒とは穀類や果実等を主原料として醗酵させてつくった酒、蒸留酒は醸造酒を蒸留してアルコール分を高めた酒、そして混成酒は醸造酒や蒸留酒をベースにして糖類、草根木皮、有機酸等さまざまな原料が混ぜられてつくられる酒で、醗酵の工程をともなわない酒です。酒類はすべてこの3種類に分けることができます。
 では、残りの発泡性酒類とはどこから出てきたんでしょうか。発泡性酒類の概要を見るとビールや発泡酒などの醸造酒の他に、アルコール分が10度未満で発泡性のあるものが含まれるということはリキュールに分類されていた缶酎ハイなどの混成酒や、ウイスキーの炭酸割り缶などの蒸留酒も入ることになるんですね。つまり、発泡性酒類の中身は醸造酒、蒸留酒、混成酒がごちゃ混ぜなんですね。なんでこんな分けのわからない分類をつくったんでしょう。
 あっ、すみません、見落としてました。ここには製法や性質等と「等」の文字がありました。ほんとうは製法や性質はどうでもよくてこの「等」がすべてだったんですね。
 つまり、今までの分類では第三のビールのように分類の隙間をついて酒税の安い商品を開発されてしまう。そこで隙間を無くして酒税の編み目をくぐる商品の開発を阻止し、なおかつ、いますでにある第三のビールの酒税を合法的に上げる手だては、ってんでこんな分けのわからない分類の酒税法を考え出したんでしょうね。
 おかげで、酒類の分類というときは、その製法上の分類、すなわち醸造酒・蒸留酒・混成酒と、酒税法上の分類、すなわち醸造酒類・蒸留酒類・混成酒類・発泡性酒類という、非常にまぎらわしい二つの分類ができてしまいました。しかも悪いことに、それぞれ言葉は似通っていながら、中身はまるで違うという混乱の極みをつくってしまいました。
 でもまあ、考えてみれば酒税法はその名の通り税金を取る法律なんですから、酒造の理屈や理念なんかは微塵もないのは当たり前なんでしょうね。



商  品  紹  介
        出羽桜 微発泡にごり酒
                 『夏祭り とび六』吟醸生酒
 微発泡にごり酒『夏祭り とび六』、去年はどんな酒か想像もつかず、恐る恐る仕入れたのですが、あっという間に売り切れてしまって、皆さまには大変ご迷惑をお掛けしました。すみませんでした。
 今年もまた『夏祭り とび六』の季節がやってきました。去年の『とび六』は微発泡という言葉とは裏腹にまるで吟醸サイダーとでもいった方がいいくらいのガス圧でした。出羽桜に問い合わせたのですが、今年も去年と同様にガス圧が高いようです。
 吟醸にごり酒『とび六』をキーンと冷やして、強い炭酸の刺激とともに味わえば夏の暑い日に最適です。
 今年は去年よりもかなり多めに注文しましたので去年のように入荷、即、売り切れっていうようなことはないかと思いますが、季節限定、数量限定酒ですのでお早めにお求めください。
 入荷予定日 6月6日以降
  原料米:麹米・美山錦 掛米・雪化粧 精米歩合:50%
  度数:15〜16度 日本酒度:−3 酸度:1.5 酵母:小川酵母
  ※取り扱い注意点
  ・必ず冷蔵庫で保管してください。
  ・開封の際は噴き出す恐れがありますので、冷たいまま、ビンを振らずに、王冠を少し開けたり締めたりを繰り返し、ビン内部のガスを十分抜いてから開封してください。
  ・沈んだ「オリ」は、開封後、王冠を締め直した後に、軽くゆすって混ぜてください。
                     300ml 630円



……… 編 集 後 記 ………
○ふと日本古来の横笛である篠笛を吹いてみたくなって、この4月から独学で始めました。佐渡在住のプロの篠笛奏者の狩野泰一さんに頼んで笛を選んでもらい、彼のDVD教材を見ながらの練習です。吹けば吹くほどに音が澄んできて「竹田の子守歌」やら「さくら」「荒城の月」はては「笛吹童子」なんていうのまで吹いて楽しんでます。

E-mail:tomita@vega.ne.jp ->メール