第222号(2006.3.10)
ひな祭りと白酒
 12月中旬から大雪に見舞われた今冬はどうなることやらと気をもんでいましたが、早く降り出した分、早く治まったのか、2月中旬を過ぎるあたりからほとんど雪が降らなくなり、暖かな日が続いています。おかげで8日現在の新庄の積雪は約70cmにまで減りました。去年の3月8日の積雪は約140cmですから半分ですね。今も屋根から雪解け水がひっきりなしに音を立てて落ちてます。この分だと春が早そうです。
 さて、3月3日はひな祭りですね。新庄では雪もほとんど消えて暖かくなり始める月遅れの4月3日にやりますが、それにしてもひな祭りにはなぜ白酒を飲むのでしょうか。今回の富田通信は独断を交えながらその辺に迫ってみましょう。

ひな祭りの起こり
 なぜ白酒を飲むようになったかを書く前に、まず、ひな祭りの起こりから始めましょう。いろいろ調べてみると、ひな祭りは多くの風習や伝説が合体してできた祭りなんですね。
 以下に主だったものを紹介してみましょう。
1.中国の風習
 古代中国には三月の初めの巳の日を悪日として、川辺にでて水で清めるという風習がありました。(上巳の祓い)
 そのいわれは、漢の時代、徐肇という人に女の三つ子が生まれましたが、三日後に三人とも死んでしまいました。村人はこれは何かのたたりに違いないとして、水浴をして忌み汚れを流しミソギを行ないました。その日が三月初めの巳の日だったそうです。
 この上巳の祓いの日は時代が下がって三月三日になったということです。なんで三日になったかというと、おそらく、中国では陽数(奇数)が重なる日は悪いことが起こるという信仰があったため、この日になったのでしょう。更にいえば、「上巳」は後からの付け足しであって、ほんとうは初めから三日だったのではないかと疑っています。三が重なる日、つまり「重三」が「上巳」になったんじゃないでしょうか。このお祓いのいわれも、あまりにも三が重なっていますものね。
2.日本の風習
 日本には古来から人形(ひとがた)に身の穢れやわざわいを託して、川や海に流すという風習がありました。
 農耕民族の日本では、旧暦の三月は農作業の始まる大切な季節です。そこで農耕の神さまをお迎えするにあたり、身を清めるために、人形をつくりそれで身を撫でて穢れを移して流したのです。
3.貴族の遊び
 平安時代の中ごろ、宮中や公家たちの間で「雛遊(ひいなあそび)」が盛んになり、やがて貴族の子女たちの間に広まりました。今のままごと遊びのようなものでしたが、違う点は「ひいなあそび」は必ず男女対の人形を使っていた点です。

 これら1、2、3の風習が重なりひな祭りができていったと考えられています。つまり、1と2の中国と日本の風習が合わさって三月三日の流し雛が生まれ、やがて「雛遊」と合体して「ひな祭り」になっていきました。
 室町時代に入ると、豪華な男女一対の人形を贈る風習ができ、三月三日の夜は枕元に置き、翌日には寺、神社でお祓いをお願いし、雛収めを済ませ、また翌年には三月に取り出すと言う習慣が定着しました。
 江戸時代に入ると京都(公家の世界)から江戸に雛遊が伝わり、寛永の末ごろ(1640年)には民間でも三月三日に定期的に行なわれるようになりました。
 「雛遊」から「ひな祭り」に呼び方が変わったのは享保(1716年)以前と言われています。

白酒の由来
 やっと白酒がなぜ飲まれるのかという話しにこぎ着けました。
 いままで見てきたように「ひな祭り」は元々は女性に限った祭りではなかったのですが、身の穢れを洗い流すという性格から女性とのかかわりが深くなり、女性の祭りとなりました。(今では考えられないでしょうが、昔は女性は不浄のものという考えがあった)
 白酒がひな祭りに飲まれるようになった由来は、昔、大蛇を宿してしまった女性が三月三日に白酒を飲んだら胎内の大蛇を流産させることができたとの言い伝えから、胎内に悪い子が宿らないように白酒を飲むのだそうです。
 余談ですが、中国では三月三日の上巳の祓いには、「邪を裂く力」があるという桃の花を浮かべた酒「桃花酒」を飲む風習がありました。上巳の祓いが日本に伝わったとき当然この「桃花酒」も伝わり、白酒とともに飲まれていました。
 また、三月三日のひな祭りを「桃の節句」と呼ぶのも、ここから出ています。



商  品  紹  介
出羽桜 『桜花吟醸酒 さらさらにごり』
 今年も『桜花吟醸酒さらさらにごり』の季節がやってきました。桜花吟醸酒らしい繊細な味わいと香り、芳醇な「にごり」のオリ酒です。口に含むと豊かな香りとさらさらとした口当たり、深い余韻が流れていきます。
 本生オリ酒の品質管理の都合上、今回限りの入荷です。
  内容 麹米:美山錦 掛米:雪化粧 精米歩合:50%
     日本酒度:+5 酸度:1.2 アルコール度:16度〜17度
                     720ml 1550円
栄光冨士 『雪の降る町を』 袋吊りうすにごり
 栄光冨士さんの純米吟醸酒『雪の降る町を』の袋吊りのオリ酒が入荷しました。口に含むとメロンのような風味があります。
 超限定品ですので、売り切れの際はご容赦ください。
  内容 麹米:山田錦 掛米:美山錦 精米歩合:50%
     日本酒度:+5 酸度:1.0 アルコール度:15度〜16度
                     720ml 1800円
最上川 『純米吟醸 出羽の里』
 山形県の酒造好適米「出羽の里」を使った純米吟醸です。飲んでみましたがなかなか味があって、バランスの良い酒に仕上がってました。
  内容 原料米:出羽の里 精米歩合:55% 日本酒度:−2〜0
     酸度:1.2〜1.4 アルコール度:15度〜16度
                     1.8L 2700円
山形の生酒 限定醸造頒布会
 県内18蔵元の生酒の頒布会です。内容は吟醸が8、純米吟醸が8、原酒が1、にごり酒が1とかなりお買い得です。
内  容 毎月300ml×6本の3カ月(5・6・7月)
会  費 毎回3150円×3回(発送の場合は送料が加算されます)
申込締切 平成18年4月20日
参加蔵元
 あら玉 新藤酒造店 最上川 月山酒造 菊勇 寿虎屋酒造
 上喜元 山栄遠藤酒造店 米鶴 竹の露 千代寿 初孫
 東光 羽陽錦爛 六歌仙 鯉川 栄光冨士 出羽桜



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