第221号(2006.2.10)
松尾と亀
 この冬の新庄の降雪量は12月が294cm、1月が248cmで2月6日現在の積雪は157cmです。ちなみに昨冬の12月の降雪量は126cm、1月が367cmで積雪は去年の同日で159cmでした。
 現在の積雪は大雪だった去年とほぼ同じくらいなのですが、なにせ12月の雪がすごかった。1月よりも多いんですものね。暦ではまだ2月上旬なんですが、雪にもてあそばれていた時間が長いだけあって、身体の感覚としてはもう2月下旬のような疲れ方です。春が感じられる3月まであまり雪が降らなければいいのですが・・・。
 さて、酒蔵では寒仕込みも終盤を迎えていますが、蔵には必ず酒の神様が祀ってあります。今回は酒の神様について坂倉又吉氏の『酒おもしろ語典』より書いてみましょう。

松尾と亀
 年末年始はちょうど酒造りの最盛期で、酒造家につとめる倉人たちにはお休みがありません。その全国二千余の酒倉の中には必ず酒造守護の神が祀ってありますが、その中で最も多く祭られているのが「松の尾さま」です。松尾さまは三輪神社、梅宮(うめのみや)と共に日本三大酒神の一つになっていて、京都嵐山の麓にあるそのお社には、私も毎年秋(酒造に入る前)春(酒造が終わった後)の二回杜氏と共にお願いとお礼に参っております。
 松尾神社は元官幣大社で、その社格も伊勢の神宮を除きますと、全国九万の神社のうち、第四番に当たる由緒深いお社ですが、その祭神は大山咋神(オオヤマクイのカミ)と市杵島姫神(イチキシマヒメのミコト)の二神です。大山咋尊は、大国主尊の子に当たる国つ神で国都鎮護開拓の神、土木の守護神、寿命守護の神でもありますが、同時に豊かに収穫された穀物に大杉谷の霊泉を和して酒造を初めいろいろの醸造の技を指導されたというので「醸造の祖神」ともされています。
 もっとも大山咋尊と酒造との関係については、社伝には以上のように伝えられてはいるものの、その他の古記録中には見当たりません。
 そもそも今の地に松尾神社が祭られたのは、文武天皇の大宝元年(701)秦忌寸都理(ハタのイミキトリ)が、勅を奉じて松尾山大杉谷の地からうつり奉ったのですが、この秦氏というのは帰化人の長たる大豪族で、朝廷に酒造りの新しい技術を伝授して、禹豆麻佐(うずまさ)という姓を賜わりましたが、今もなおその姓が撮影所で有名な太秦(うずまさ)の地名に残されています。
 秦都理(はたとり)の族、知満留女(チマルメ)が斎女として奉仕して以来、現代まで秦氏が連綿として、神官の任に当たっていました。松尾神社が酒神といわれるようになったのは、実はこのせいかもしれません。この松尾さまのお使いは「亀」です。元正天皇の和銅七年(714)に、松尾御手洗谷から首に三台を戴き背に七星を負い、尾に緑毛金色毛のまじった、長さ八寸の亀が現われたので、天皇に奉ったところ、おめでたいというのでこの亀に酒を飲ませて御手洗に帰し、年号を霊亀と改められたとの故事によります。
 亀が酒の神さまのお使いとは、後世、飲むこと際限なしの酒仙を亀というようになったのも、あるいはこれに関係があるのかもしれません。



商  品  紹  介
麓井 『生 も と 純 米 吟 醸』 生酒
 すっきりした味わいと喉ごしの良さを持ちながらも、生もとつくりから来るものなのかしっかりとした風味です。
 なお、生酒は今回だけの出荷ですので品切れの際はご容赦ください。
  内容 麹米:山田錦 掛米:美山錦 精米歩合:50%
      度数:15〜16度 日本酒度:+2 酸度:1.6
                     1.8L 3060円
麓井 『生 も と 純 米 吟 醸 雄 町』 オリがらみ
麓井『生もと純米吟醸 雄町』オリがらみ
 やわらかく味のある雄町ならではの味わいの純米吟醸生酒。今回は特別にオリがからんだ薄濁りの酒が入荷しました。
 少量入荷ですので品切れの際はご容赦ください。
  内容 原料米:雄町 精米歩合:50% 度数:16〜17度
      日本酒度:+3 酸度:1.6
                      1.8L 3150円
お 知 ら せ
第18回 「名 酒 を 楽 し む 集 い」 ご案内
 この冬は、12月からまるで寒中のような天気が続き、雪にはもういい加減うんざりしている今日この頃ですが、皆様いかがお過ごしでしょうか。
 さて、第18回「名酒を楽しむ集い」を下記要領で開きます。今回もまた、私の独断と偏見で集めた大吟醸を取りそろえて、つたや本店の素晴らしい懐石料理とともに楽しみたいと思っております。ぜひ、ご参加下さい。
 なお、定員になりしだい締め切らせて頂きますのでご了承下さい。
日時 平成18年2月18日(土)
       受付/午後6時  開宴/午後6時30分
会場 つたや本店
会費 10000円
定員 40名
主催 富田酒店
協賛 つたや本店
※参加申し込みは富田酒店までお願いします。
「山 形 県 新 酒 歓 評 会」 開催のご案内
 全国初の試みとして2年前より開催、全国150余りの蔵元からご協力をいただき、全国新酒鑑評会の前哨戦を行います。
 全国150蔵元真剣勝負!
 最高峰の日本酒が山形に集います!
 是非、ご参加ください。
  日 時  平成18年3月24日(金)午後6時30分〜8時30分
  場 所  ホテルメトロポリタン山形 4F 霞城
  参加料  5千円
  定 員  先着500名様
※大吟醸酒飲み比べ・立食パーティ
※出品予定蔵 山形県内全蔵元・東北、新潟、北海道から九州までの友情出品蔵
★お申込・お問い合わせ★
 山形県酒造組合 023−641−4050

 上記案内のように、今年も楽しみにしていた「山形県新酒歓評会」が開催されます。「全国新酒鑑評会の前哨戦」とありますが、それはあくまで蔵元たち酒のプロの話。私たちにとっては料理と話しを楽しみながら150種類もの今年最高峰の大吟醸酒が飲めるというまさに夢のような企画です。時間に都合のつく方はぜひ参加してみて下さい。楽しいですよ。乾杯!



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