第218号(2005.11.10)
1粒30ミリリットル?!
 今年は季節の進みが遅いのか、わりと暖かな日が続いています。それでもようやく紅葉が見頃となりました。
 去年と違って台風も少なかったためか、裏庭の柿も支えをしてやらないと枝が折れるほどに実がなりました。
 親父がこの前、実をもいでいましたが全部で段ボール箱11箱ほどにもなりました。たった59粒しか実らなかった去年とは大違いです。
 さて、今回の富田通信ですが、以前、吟醸酒研究家の篠田次郎さんからお聞きしたとっても面白い話しを紹介しましょう。

1粒30ミリリットル
 「一粒三百メートル」のグリコのキャッチフレーズの話しではありません。籾一粒から30ミリリットルの吟醸酒ができるというお話しです。
 春、田植えの時、田んぼに一粒の籾から生えた苗を一本植えます。この苗は、だんだん育って6〜7本に分けつします。茎が分かれて6〜7本になるということです。
 それぞれの茎は、シベの先に稲穂を実らせます。稲穂は、茎一本当たりに100粒から150粒の実を実らせます。
 つまり、一粒の籾は、苗代、田植え、成長のプロセスを経て、1000粒の実を実らせるのです。一世代で1000倍になるというのは、たいへん生産性が高いそうです。
 それが収穫され、乾燥されて玄米になります。
 さて、この玄米、酒づくり用の玄米(酒造好適米)だと飯米よりちょっと大きくて、1000粒の重さは約26グラムあります。
 では、この玄米を酒づくりに持ち込みましょう。酒をつくるとき、玄米を精米します。
 皆さんがご飯として召し上がるお米は、表面を10パーセントほど削りますが、酒にする場合は、最低でも25パーセント、吟醸酒をつくるときは50パーセント、つまり半分に削ります。
 もっと削る場合もありますが、ここでは50パーセント精米した白米で吟醸酒を仕込む場合を考えてみます。
 玄米の重量が26グラムありましたから、50パーセントの白米の重量は13グラムになります。だいぶ減りました。
 では、この白米13グラムで酒を仕込むとどのぐらいの吟醸酒ができるでしょう。
 精米歩合50パーセントの白米13グラムから、純米吟醸酒が30ミリリットルできます。
 毎晩の晩酌が1合の方、この人のお酒は、春、6粒の種籾だったのです。2合のお酒は12粒から、3合なら18粒から、やがてお酒になるというお話しでした。

 いや、さすがに吟醸酒が大好きな篠田さんならではの話しですね。普通、なかなか吟醸酒を飲みながら、このグラスに入った吟醸酒は何粒の種籾からできるんだろうなんて考えませんものね。
 種籾を手にとって、やがてできる吟醸酒を想像しながら顔をほころばせている篠田さんのお顔が目に浮かんできます。・・・乾杯!




商  品  紹  介
出羽桜 純米吟醸 『雄 町』
 売り切れでご迷惑をお掛けしていた純米吟醸『雄町』が入荷します。
 雄町独特のふくよかな味わいが低温熟成によってさらに磨きがかかりました。年一回の入荷ですので品切れの際はご容赦ください。
 11月下旬入荷予定
 内容 精米歩合:50% 度数:16〜17% 酸度:1.6 酒度:+5
                    1.8L 3500円
                     720ml  1750円
出羽桜 干支ボトル 350ml
   五年大古酒 低温熟成原酒
 去年好評だった干支ボトルが今年も発売されます。今年のイタリア製ベネチアンボトルには「戌の浮き出し」が施されています。
 中のお酒は『枯山水』の五年低温熟成原酒が詰められています。化粧箱付きの素敵なボトルは贈り物にも最適です。
 11月下旬入荷予定
 内容 精米歩合55% 度数:19〜20% 酸度:1.7 酒度:+2
                     350ml 1500円
鯉川 純米大吟醸生原酒 『阿部亀治』
 阿部亀治翁は明治26年に「亀の尾」を発見・育種した人物で山形県余目の人です。余目の酒蔵である鯉川は、昭和56年、亀治翁の曾孫の阿部喜一氏から原種籾を譲り受け昔ながらの米づくりで作付けを増やしてきました。
 この純米大吟醸原酒『阿部亀治』はその亀の尾を使って仕込んだとっても美味しいお酒です。
 内容 精米歩合:40% 度数:17〜18% 酸度:2.1 酒度:+3
                    1.8L 5880円
上喜元 『もち米四段 お燗純米』
 酒造好適米「出羽燦々」をベースに全体の5%をもち米四段として投入しました。(出羽燦々95% でわのもち5%)
 もったるい感じがなく冷やしても常温でも、もちろんお燗にすればさらに良しの蔵元いち押しの酒です。
 内容 精米歩合:55% 度数:15.2% 酸度:1.6 酒度:+1.3
                    1.8L 2100円



……… 編 集 後 記 ………
○10月はじめ、「あの〜、こんど町で生涯学習推進大会があるんですけど、講師を引き受けてもらえませんか」と最上町の教育委員会の方が訪ねてきました。講演時間は1時間、演題は『楽しく、健康にいい上手なお酒の飲み方』だそうです。
 その時は、まだ時間もたっぷりあるし、まあ、ゆっくり考えればいいやってなもので、いつもの安請け合いで即座に「いいですよ」と返事をしてしまったんですが、残すところあと10日あまり。。。
 ちょっと緊張もしますが、それよりも、こんどはどんな出会いが待っているのかと思うと何だかワクワクしてきます。
○先週、別に重いものを持ったわけでもないのに、腰を痛めてしまいました。あぐらはかけないし、靴下を履くのさえやっとの有様。おまけに子供に「お父さんも歳だね」と言われて、ちょっとカチンときて「お前だって腰が痛くなるときぐらいあるだろう」と言い返してしまいました。カチンときたのはきっと本当のことを言われたせいなんでしょうね。やはり歳のせいなんでしょうかね。
 と、ここまで書いて、最近釣りに行ってないことにハタと気づきました。釣り日誌を見てみたら、なんと10月は一日の釣行もありません。ムム、もしかしたら歳のせいではなく、釣りに行かなかったせいかも。こうなったら腰痛の原因を探るためにも釣りに行かなければ・・・。エヘヘ

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