第207号（2004.12.10）
エ〜、お笑いを一席
　今年は、噴火、大雨による大洪水、たび重なる台風の襲来、さらには大地震と、まさに天災のオンパレードで大変な年でしたね。被災された皆さんには心からお見舞い申し上げます。
　さて、今年最後の富田通信は、せめて明るく行きましょう！　てことで、『定本 艶笑落語（全）』小島貞二編より、艶っぽいお笑いをお届けします。

爺(じじ)と婆(ばば)
　え〜、旅に出て道に迷うてなァ、こまるもので、ようやく一軒の百姓家にたどりついた。爺ィと婆ァがおりまして、田舎の人ァ親切ですから、「そりゃァ、おこまりでございましょう。こんなところでよかったら」てんで、ひと晩厄介になることになりました。
　夜になりまして、ふすま越しに、爺さんと、婆さんの声がきこえて参ります。
爺「なァ婆さんや、客人は寝たろうか」
婆「もう、明かりが消えてかなりになります。とっくにお寝(やす)みでしょう」
爺「そうかい、じゃァ、ゆうべの仕残しをしようか」
婆「そうだねえ・・・」
　これをきいておりました旅人ァ、
「ははァ、爺ィ婆ァといったって夫婦もんだ。年ィ取っても随分と達者な人があるってことだ。きっと、若い日のことを思い出しながら、おっぱじめるんだろう・・・」
　と、ふすまのところへにじり寄って、きき耳を立てます。
婆「さァ、おまえさん、あてがわっしゃい」
爺「じゃァいいかい・・・。ウ、あー、外れちゃった」
婆「だめだョ、もっとこォ、ねじるようにして、はめなきゃァ・・・」
爺「そんなこといったって、穴がひろがっちゃって・・・」
婆「長年使ってりゃァ、ひろくもなるョ」
爺「おまえのほうから、よくつかまえて、グィとはめるようにしておくれよ」
婆「しようがないねえ。いいかい、そらッ・・・いけない、また、外れたョ・・・」
　客ァ、思わずふすまを、少うしあけて、ヒョイとのぞくてえと、二人ァこたつ櫓(やぐら)の、つくろいをしていた・・・なんてえおはなしがございます。これもそんな、長い間人間をやっていらっしゃるご夫婦で、
婆「なんて、寒い晩でしょうねえ」
爺「ほンに、こりゃァ、雪になるなア・・・」
婆「こんなときは、早仕舞いにして、もう寝ましょうヨ」
爺「ウン、でも寝る前に、熱燗でキューッと一杯、飲(や)りたいもんだなァ」
婆「そのキューッと一杯が、かならず二本、三本となるんですから、酒飲みはこまりますョ。一滴も飲めないあたしの身にもなってくださいヨ。そのかわりにネ、布団の中で、ゆっくりとあたためてあげますヨ。久しぶりに・・・」
爺「じゃァ、そうしようか」
　てんで、しばらくたって、
爺「ダメだよ。婆さん、おまえの体ァ氷のようだ。これじゃァ、大事なモノまで、かじかんだままだ」
婆「こまったねえ。じゃァ、どうしたらいいんだろうねえ」
爺「一本つけとくれよ、熱いのを！」
婆「あたしは飲めないんだから・・・」
爺「だからさァ、私はここで、こうして布団の中で飲んでいるよ。ホカホカとあったまる間、おまえさんは焚き火でもして、そこンとこをあたためたら、どうだい」
婆「じゃァ、そうしましょうか・・・」
　てんで、またしばらくたって、
婆「お爺ィさアん、熱くなったよォ」
爺「そうかい、そいつァありがたい。じゃァ、もう一本もらおう」


商　品　紹　介　
出羽桜『酉ボトル』
　来年は酉年ということもあって、五年間低温熟成した本醸造原酒（枯山水の原酒の五年古酒）を、イタリア製のベネチアボトルに詰めました。このボトル、サイズが57mm×375mm（直径×高さ）とかなりスマートで、ビンの背面には来年の干支である「尾長鶏の浮き出し」が施されています。
　酒の素晴らしさは言うまでもありませんが、化粧箱付きの素敵なボトルは贈り物にも最適です。
　なお、生産本数がわずかで、当店の入荷量は６０本ですので、お早めにお買い求めください。
　内容　日本酒度：＋２　酸度：１.７　度数：１９〜２０％
　　　　掛米：美山錦　麹米：雪化粧　精米歩合：５５％　酵母：小川酵母
　　　　　　五年大古酒 低温熟成原酒　350ml　１５００円(税込)
出羽桜・純米吟醸『雄町』
　酒造好適米「雄町」は、1859年に岡山市雄町で発見されました。大粒で心白(米の中心部の真っ白いデンプン質)が大きく、最高の酒米と称されました。
　生まれながら優れた酒米の特性を持つため、各地で新品種開発の交配種として使用され、「山田錦」「出羽燦々」など現存する酒米の半数以上にその血統が流れています。まさに、現代の日本酒を築き上げた酒米の原種です。
　米の栽培、酒の仕込みは共に困難を極めますが、できあがる酒は独特の優しい味わいに満ちています。冬までゆっくりと大切に熟成させてきた、まろやかな「雄町」独特の味わいをぜひお試しください。
　内容　日本酒度：＋５　酸度：１.６　度数：１６.７％
　　　　原料米：雄町(岡山県産)　精米歩合：５０％　酵母：山形酵母
　　　　　　　　　　　　　　　　　　1.8Ｌ　３５００円(税込)
　　　　　　　　　　　　　　　　　　720ml　１７５０円(税込)
上喜元『純米にごり酒』
　今年もまた、大好評の搾りたて純米にごり酒が入荷しました。今年は山形県の酒造好適米「出羽燦々」を55％まで精米して造りました。
　注意：酵母が生きていますので栓を開けるときには強く振らないでください。お酒が噴きこぼれます。また、必ず冷蔵庫で保管してください。
　　　　　　　　　　　　　　　　　　720ml　１２３５円(税込)


………　編　集　後　記　………
○いままで使っていた500円のパソコンのキーボードが壊れたため、思い切って東プレの「Realforce 106」を買いました。このキーボード、うたい文句が「指に合わせキー荷重を変えた変荷重仕様」とあるだけあって、力の弱い小指への負担が少なく、長時間打っていても今までよりかなり楽です。でも、肝心要の書くべき内容がなかなか出てきません。アアァ、誰か、さわるだけですらすらとネタが出てくる・・・、そんなキーボードを作ってくれないかなぁ。
○なんだかんだ言いながらも、今年もどうにか富田通信を書き続けることができました。これも皆さんのお陰です。有り難うございました。皆さん、どうぞよいお年をお迎え下さい。
　杉の葉のつるしてみるや濁酒　　　一茶


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