第203号(2004.08.10)
クイズ! お酒ゼミナール
 7月10日に降り始めた雨は12日間も降り続き、新庄周辺でも堤防の決壊や土砂崩れによる交通の寸断など多くの被害をもたらしました。
 7月22日の梅雨明けと同時に今度は連日の真夏日。週間天気予報では今後一週間も真夏日が続くとか。・・・なんなんでしょうねぇ、今年の天気は!
 8月24、25、26日の新庄祭りの連夜の山車作りとも相まって、すっかりバテております。
 とはいっても、この暑さは稲には良いようで、郊外の田んぼを見渡したら、いつの間にやらぞっくりと穂が出そろってました。このままいけば今年は豊作まちがいなしです。
 さてと、暑さですっかり溶けてしまった脳みそをキーンと冷やした吟醸酒で呼び覚まして、今回の富田通信は久方ぶりに「クイズ! お酒ゼミナール」といってみましょう。


【問題1】日本酒は「三段仕込み」で造られますが、この「三段仕込み」とはなんでしょうか?
  1. もろみを三回に分けて仕込む方法
  2. 酒母に米、アルコール、醸造用糖類を三回に分けて加える方法
  3. 三階で米をみがき、二階で発酵させ、一階で酒をしぼる酒蔵の構造のこと

【問題2】日本酒に使われる麹菌は、どれでしょうか?
  1. 白麹菌
  2. 黄麹菌
  3. 黒麹菌

【問題3】次にあげた本格焼酎の主な産地はどこでしょう?
 (イ)麦焼酎          (A)熊本
 (ロ)泡盛           (B)鹿児島
 (ハ)米焼酎          (C)沖縄
 (ニ)黒糖焼酎         (D)壱岐・大分
 (ホ)芋焼酎          (E)奄美

【問題4】本格焼酎に白色の綿状の沈殿物が生じることがありますが、その理由は何でしょうか?
  1. 腐敗したためである
  2. 冷所に置いていたため脂肪分が沈殿した
  3. 原料の繊維質である
  4. ろ過不足による沈殿物である
  5. 製造過程での異物混入

【問題5】ビールを造るときのホップの役割は何でしょうか。正しいものを選んで下さい。
  1. ビールに特有の芳香と爽快な苦味を与える
  2. ビールの泡立ちをよくする
  3. ビールを茶色く着色するのに使用する
  4. 日本酒の麹と同じ役割をする
  5. ビールが腐るのを予防する
  6. ビールの過剰なタンパク質を沈殿させ清澄にするのに使用する



解答と解説・・・
 暑い中、クイズ挑戦、お疲れさまでした。それでは、解答と解説です。

【問題1】1
 日本酒は開け放たれた空間の中で、優秀な酵母だけを選択的に増殖させるという非常に優れた製造方法を持っています。
 その一つがこの三段仕込みです。最初に物量の小さな酒母を造り、そこで優良酵母を大量に増殖させ、その後、蒸し米、麹、水を初添(はつぞえ)、仲添(なかぞえ)、留添(とめぞえ)と倍々に仕込量を増やして、酵母の密度が一気に少なくなるのを防いで、雑菌の侵入を阻むのです。

【問題2】2
 酒蔵で、実際に麹を見たことのある人は、麹は白かったと思うかもしれませんが、日本酒の麹は黄麹です。仕込みに使う麹が白いのは実は菌糸の状態のためです。成長して胞子をつけるようになると黄緑色になります。
 ちなみに、白麹、黒麹は本格焼酎用の麹で、大量にクエン酸を生成します。

【問題3】(イ)──(D)   (ロ)── (C)   (ハ)───(A)
     (ニ)──(E)   (ホ)── (B)
 ご覧のように、本格焼酎の生産地は暖かい地方です。冷却技術の無かった昔、温暖な地方で日本酒を仕込もうとするともろみが腐敗して酒になりませんでした。そこで、白麹、黒麹などのクエン酸を大量に作る麹を使い、酸によってもろみの腐敗を防ぎ、それを蒸留することにより、焼酎を造ったのです。

【問題4】2
 本格焼酎は、簡素な単式蒸留器での蒸留のため、蒸留酒の中でも特に香味成分の種類や含量が多いので、温度の高いところに長く放置すると酸化、成分間の化学変化などが起こり、酒質が変化します。
 一方、極端な冷所に置くと白色の綿状沈殿が生じることがあります。この沈殿は焼酎に含まれている脂肪分です。脂肪分ですから、そのまま飲んでも問題はありません。もっとも焼酎の製造元では、このようなクレームがないよう、仕上げろ過の段階で十分低温に冷却してから精製しているそうです。

【問題5】1、2、5、6



商 品 紹 介 
栄光冨士 本醸造雫とり『花より根』
栄光冨士 本醸造雫とり『花より根』
 雫とりとは、もろみを搾るとき、酒袋に入れて吊るし、圧力を掛けないで酒をしたたらせる方法で、通常は品評会出品用の大吟醸に使われます。
 江戸時代、庄内藩治世の鶴岡では「沈潜の風」が尊ばれていました。沈潜の風とは、例えれば地上で咲き誇る花よりも、地面の下でそれを支える根っ子を尊重する気風です。
 栄光冨士さんは、その気風を酒に写し酒名を『花より根』として、敢えて大吟醸にしか使わない搾りの方法を本醸造に使いました。
 風味は香り、味ともに、控えめで上品、それでいながらしっかりとした芯があり、さながら藤沢周平さんの小説に出てくる女性のようです。
 ただ、残念なことに、この搾りの方法は手間がかかるために出荷本数がごくわずかしかありませんので、品切れの時にはご容赦ください。
  内容  原料米:美山錦  精米歩合:60%  日本酒度:+0.5
      酸度:1.0  アルコール度数:14.8%
                          1.8L 2625円(税込)



E-mail:tomita@vega.ne.jp ->メール