第191号(2003.08.10)
クイズ! お酒ゼミナール
 今年の7月は最高気温が30度を超えた日は一日もありませんでした。8月に入りやっと夏らしい日が出てきましたが、この先どうですか・・・。
 足のギブスも7月中頃に外れ、包帯だけの足首固定になり、さっそく堤防に釣りに行ってきました。足を引きずりながらでしたが、35cmのクロダイを釣ることができました。8月初めにはその包帯も外され、「歩くことがリハビリだからどんなに痛くても足首が腫れても歩け」と医者に言われました。ラッキー! これで大いばりで釣りに行けるぞと思いきや、いままで固定されていた足首は、そう簡単には動いてくれませんでした。歩くたびに激痛が走り、とても釣りどころではありません。まあ、当分おとなしくしてましょう。
 さてと、気を取り直して、「クイズ! お酒ゼミナール」と参りましょう。

【問題1】日本酒の次の表示のうち、火入れしていないものはどれでしょう。
(1)生酒
(2)生詰
(3)生貯蔵酒

【問題2】タカラ純などに代表される甲類焼酎と、麦焼酎などの本格焼酎の違いの中で間違っているものはどれでしょう。
(1)蒸留方法が違う
(2)最高アルコール度数が違う
(3)原材料が違う

【問題3】吟醸酒の製法基準で決められていないものはなんでしょう。
(1)精米歩合は60%以下でなければならない
(2)原料米は最高品質のものを使わなければならない
(3)アルコールを添加する場合は白米重量の10%以下でなければならない

【問題4】日本酒で秘蔵酒、または秘蔵という表示がされている酒がありますが、何年以上熟成したものをいうのでしょう。
(1)3年以上
(2)5年以上
(3)7年以上


解答と解説・・・
【問題1】(1)
 普通、日本酒は火入れといわれる低温殺菌(65度で加熱殺菌)を2度行います。酒ができた春と、製品として瓶詰めするときです。
 瓶詰めのときの火入れを省いたものを生詰といい、酒ができたときの火入れを省いたものを生貯蔵酒といいます。いずれも火入れをしているので「生」ではありません。
 なぜこのようなまぎらわしい表示をするんでしょうか。憶測ですが、自社の酒がどこでどのように売られているか管理できない、従って、温度管理の難しい生酒を流通させることのできない超大手蔵が消費者が勝手に「生」と誤解してくれることを期待して考え出したんでしょうね。
 それが証拠に生貯蔵酒と聞けば、普通の感覚の持ち主なら春にできた酒を低温で貯蔵しておいて瓶詰めの時に火入れするものと考えますが、一部の大手蔵ではできた酒を間を置かず火入れ瓶詰めしたものを生貯蔵酒と呼んでるようです。彼らいわく、「1時間でも1日でも置けば貯蔵だから」だそうです。

【問題2】(3)
 現在の酒税法では甲類焼酎は「アルコール含有物を連続式蒸留機で蒸留したアルコール分36度未満・・・」、本格焼酎は「アルコール含有物を単式蒸留機で蒸留したアルコール分45度以下・・・」となっています。・・・以下の文章は両者とも同文です。
 つまり、両者に置いての原材料に関する規定は「アルコール含有物」となっているだけで、本格焼酎といえども原材料に関する規定はないのです。

【問題3】(2)
 吟醸酒は、品質競争の中で生まれてきた酒です。蔵人たちが技術の限りをつくして生み出したものです。
 ですから、「原料米は最高品質のものを使わなければならない」などということは、製法基準に書くまでもなく当たり前のことです。
 しかし、昨今の大手蔵の吟醸酒を飲んでみると、蔵の良心や造り手の心意気の感じられない酒の多いこと。彼らには、当たり前のこともきちんと文章にしてやらないとダメみたいですね。

【問題4】(2)



 
『富田通信 第1巻』完成!
 本を作るといってからもう4年・・・。ずいぶんとお待たせしましたが、やっと『富田通信 第1巻』ができました。
 昭和62年10月の第1号から平成8年1月の第100号までをまとめたものです。書いた自分がいうのも何ですが、想像していたよりはるかにいい出来映えです。お買い求め頂ければ幸いです。
    『富田通信 第1巻』 B5版 280頁   500円(税込み)
◎発送の場合は、本代の送金料も含めて、270円加算されます。郵便振替用紙を同封いたしますので、770円(送料込み)をお支払い下さい。
「富田通信」の刊行によせて
 同じお酒でも、飲むTPOによって味わいが変わります。
 飲みたいなぁと思っているところに、心を通いあえる友人がやってきて、雰囲気のいいお店に連れて行かれる。こんな願ったりかなったりの酒席で飲むときは、同じ酒でも味はひとしおです。
 月に一度、これと同じ雰囲気にしてくれるのが「富田通信」です。お酒屋さんのミニ新聞なのに、「酒を買っておくれ」と押しつけがないのがいい。そして、「おいしい話が載っている」のが楽しみです。その上、「いいたいことを、さりげない文体で書いてある」のが胸の支えをなで下ろしてくれるからです。
 それはミニというにふさわしい空間ですが、時空を越えて新庄の富田さんのお店にトリップしてくれるのです。
 さらにいいのは、富田さん本人と飲むより、心地がいいのです。なぜ? 富田さんと飲むと彼の方が先に酔ってしまうからです。
 富田通信が本になって、心地よい空間にいつでも浸れるのがうれしい。  
              幻の日本酒を飲む会・篠田次郎
 



……… 編 集 後 記 ………
○友人の山市君が勤める印刷会社(株)ソーゴーの全面的支援で1冊500円というほんとに信じられないくらいの価格で本にすることができました。紙面を借りてお礼申し上げます。とはいえ、一冊500円は原価。800冊すべて売り切ってチョン。売れ残り分はすべて赤字。このまま順調にいけば来年は200号。どうぞ皆さん、知り合いお誘い合わせの上、富田通信第1巻を買って下さい。



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