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さかほがい(酒寿) 周りの山々はまだまだ冬の装いですが、里は田圃の雪もすっかり消え、裏庭のスズランも寝ぼけまなこで地面から顔を出し始めました。本格的な春はもうそこまでやってきています。 ところで、春と言えば花見、花見と言えば酒盛りですよねぇ。満開の桜、散りいく桜の下での酒宴、・・・なんとも風情があります。もっとも私の場合、風情を楽しんでいるのはほんの一時で、すぐに桜のことなど忘れて飲み呆けてしまうのですが・・・。 今回の富田通信はこの酒宴の昔言葉である「さかほがい」について、『酒おもしろ語典』坂倉又吉著より書いてみましょう。 さかほがい さかほがいという言葉は『古事記』等に出てきます。 「さかほがい」とは、酒宴を開いて祝うことなのですが、それを分析すると、さか・ほがいであり、「さか」はいわずと知れた酒なのですが、「ほがい」はことほぐなどという「寿ぐ(ほぐ)」が延びて「寿ふ(ほがふ)」となったその名詞形で、祝、祝いごとという意味です。 もっとも古事記でのさかほがいは「酒寿」でなく「酒楽」となっています。これは、祝宴のとき楽を奏し歌うからだとされています。 『古事記』中つ巻・六 仲哀天皇の項に、「酒楽(さかほがい)の歌曲」というのがありますが、これは神功皇后が角鹿(敦賀)より還って来られた太子(ひつぎのみこ)を迎え、「待酒を醸みて献り」し祝宴におよみになった歌の この御酒(みき)は わが御酒ならず 酒(くし)の長(かみ) 常世(とこよ)にいます (中略) 献(まつ)り来し御酒ぞ 乾(あ)さずをせ ささ とあるに対し、武内宿弥が、太子に代わって答えて歌った歌(これを分かり易く現代語訳にしますと) この酒を造った人は、その太鼓を臼に使って、 歌いながら造ったのか、舞いながら造ったのか、 このお酒の、不思議に楽しいことでございますことよ。 という、この二つの対歌を称していうのでありますが、ここのところは「神功紀」の中にも出ていまして「以寿(さかほがいしたまふ)干太子」とあります。 そのほか、さかほがいなる古語を捜してみますと『万葉集』の中にもあって、巻第六中の湯原王打酒(さかほがい)の歌に 焼太刀の稜(かど)打放ち丈夫(ますらお)の 寿(ほ)ぐ豊(とよ)み酒(き)に吾れ酔ひにけり とありますのは、「刀の刃を抜き放って、ますらおが祝うよい酒に我は酔った」という意なのでありますが、この場合、さかほがいの歌を「酒を打つ歌」と書いたのは、酒造の寿詞(ほぎごと)には丈夫が勇ましく太刀を抜き放って舞ったものだからと思われます。また、さかほがいを『新猿楽記』等では、「酒祝」と書きましたが、意味は同じです。岐阜県の高山線沿線に坂祝(さかほぎ)というところがあるのは、この酒祝からきたものであろうといわれています。 いや〜、日本人は遙か昔から酒宴を開いて祝っていたんですねえ。桜を見ると妙に心が浮き立つのも無理のないことですね。・・・乾杯! |
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○3月20日、県の工業技術センターで行なわれた山形県清酒鑑評会一般公開に行って来ました。出品酒は山形県のほか青森、秋田、岩手、宮城、福島、新潟のものも含めて168点。すべてをきき酒してきましたが、県ごとに香味に違いがあるのが興味深かったです。おそらく県ごとの使用酵母の違いによるところが大きいと思うのですが。総体的に言って今年の山形の酒は全体的に出来がいいと思います。4月の東北鑑評会、5月の全国鑑評会が今から楽しみです。 ○3月下旬、富田通信ホームページの引っ越しをしたのですが、いやその準備の大変だったこと! なにせ、一号ごとにメールアドレスが書いてあるんですよ。メールアドレスも変わったものですから、その訂正にずいぶんと時間をとられました。一号ごとに訂正しては、保存のくり返し。友達に話したら「そんなのすべて訂正してからまとめて保存すりゃいいんじゃないか。簡単だよ」っていわれました。確かにそうしたいのは山々なんですが、なにせ私のおんぼろパソコンはそんなに頭が良くないらしくって、すぐに固まっちまうんですよ。やはり、持ち主に似るのかなぁ・・・。 ○4月始め、好天に誘われて、海の堤防に釣りに行ってきました。まだまだ水温が低く、釣れないことは承知なのですが、ひょっとしてということもあるし。・・・結果は、ひょっとしてはありませんでした。桜が咲いたら行くぞ〜! |
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