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酒造年度ってなに? 3月・・・。長い間、雪に苦しめられてきた身には、何とも心地よい響きです。まだまだ雪の日はあるでしょうし、田圃も40数センチの雪に封じられてはいますが、それでももうあの辛くて危険な、屋根の雪下ろしの心配はないのです。 この開放感、この安堵感があるからこそ、毎年の冬に耐えられるのかもしれませんね。 ところで、3月から4月といえば、年度の変わりですよね。日本酒の世界にも酒造年度というのがあるのをご存じですか? 今回の富田通信はこの酒造年度についてと、去年の山形県日本酒学校で聞いた篠田次郎氏のおもしろい話を書いてみましょう。 酒造年度ってなに? この前、お客さんから「この大吟醸、平成13酒造年度って書いてあるから2年古酒だね?」って聞かれました。「いや、この酒は去年の酒です」と答えると「今年は平成15年だよ。2年古酒じゃない」っていうんですよ。 確かに15−13=2には違いないのですが、正解は1年古酒なのです。なぜこんな答えになるのかといいますと、じつは1月から12月までを1年とする暦と酒造年度ではズレがあるからです。 酒造年度は7月1日から翌年の6月30日までを1年として数えます。つまり、平成13酒造年度というのは平成13年7月1日から平成14年6月30日までなのです。ちなみに今搾られている大吟醸は平成14酒造年度の酒ということになります。 日本酒は、四季醸造(一年中酒を仕込んでいる蔵)のごく一部の大手を除いて、たいがい10月から、長いところで翌年の5月にかけて造られます。1月から12月までを1年とする暦の年度や、4月から翌年の3月までを1年とする会計年度では、酒造りの期間が年度をまたいでしまい、都合が悪いのです。おそらくこのような理由から7月から翌年の6月までを1年とした酒造年度が決められたのではないでしょうか。 現在、この酒造年度を使用している酒類は清酒のほかに、しょうちゅう乙類、みりん、果実酒があります。 また、この酒造年度はBYとも書かれます。これはBrewery Yearの略です。平成14BYとは平成14酒造年度のことです。 一粒の籾(もみ)からどれくらいの吟醸酒ができるでしょう? 去年の9月、山形市の文翔館で日本酒学校の公開講座がありました。講師は篠田次郎氏。そのお話の中で、一粒の籾からどれくらいの吟醸酒ができるかという、非常に興味深い話がありましたので紹介しましょう。 『いったい皆さんは、春に植えた一粒の籾からどれくらいの吟醸酒ができると思いますか? 一粒の籾から芽を出した苗は、成長するにつれ、6〜7本に分けつします。つまり、茎が6〜7本に分かれます。茎の先にはそれぞれ稲穂が稔ります。一本の茎の稲穂には100粒から150粒の実がなるそうです。そうすると一粒の籾が稔りの秋には、だいたい1000粒になります。なんと1000倍になるのですね。一世代で1000倍というのは大変に生産性の高い植物だそうです。それが収穫され、乾燥され、脱穀されて玄米になります。 酒の仕込みに使う酒造好適米というのは大粒で玄米の重さが1000粒あたり26g以上ある米です。いま、仮に米の重さを1000粒26gとしましょう。 さて、精米歩合が50%の吟醸酒を造ってみましょう。精米歩合というのは重量比ですから、精米歩合が50%ということは26gの半分、つまり13gまで削るということになります。 余談になりますが、なぜ、ここまで精米するのでしょうか? それは、米の表皮に近い部分ほど、脂肪やミネラル、それにタンパク質が多く含まれているからです。そしてそれらは、酒の風味を悪くしてしまうからです。鑑評会に出品する酒には、7割近く削った白米を使う場合もあります。 話をもどしましょう。この1000粒あたり13gまで削った白米からは30ミリリットルの純米吟醸酒ができます。 皆さんは晩酌をどれくらいなされますか? 毎晩の晩酌が1合の方、この人のお酒は、春、6粒の種籾だったのです。2合のお酒は12粒から、3合なら18粒から、やがてお酒になるというお話でございます。』 つーことは、毎日2合飲むとして12粒、一年だと12×365で4380粒。そうか、約4400粒用意すればいいんだな。えっ?、そんなもんじゃ足りないだろって? ・・・と、とりあえず乾杯! |
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○げんきんなもので、雪の心配がなくなると、無性に釣りの虫が騒ぎ出します。海釣りのシーズンはまだまだ先とは分かっていても、釣り竿を引っ張り出しては、ニヤニヤしている今日この頃です。 |
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