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日本酒Q&A 健康編U 今年の記録的な暖かさは4月になってからも衰えを見せず、この3日には新庄の最高気温が21度を超えました。田圃の雪もすっかり消え、土手にはツクシやフキノトウが暖かな春の陽を浴びて背伸びをしています。桜の開花宣言を聞くのも、もうじきでしょう。 ところで、4月といえば新たな出会いやお花見などで酒を飲む機会が増えますよね。えっ、誰です? おまえの場合は4月といわず年がら年中理由を付けて飲んでるじゃないかなんて言ってるのは。・・・まあ、私の場合はさておき、今回は富田通信114号以来の日本酒Q&A健康編を日本酒造組合中央会刊行の「日本酒読本」よりご紹介いたしましょう。 「お酒は百薬の長」っていいますが、どういう意味なのでしょうか? 適度なお酒は血液循環を良くし、食欲を増進させます。心の抑制が取れるので、なによりも精神的なストレスの解消になるし、コミュニケーションの手段にもなります。百歳以上の健康な長寿者の約6割は、毎日適量のお酒をたしなんでいるそうです。このように、まさに「お酒は百薬の長」といってよいでしょう。私は日本酒がおいしい時は体調もいい時。だから「お酒は私の健康のバロメーター」でもあります。 ただし、目安が必要です。そこでアルコール健康医学協会では「適正飲酒の勧め」をアピールしています。『酒は微酔、花は半開』というように、お酒はほろ酔いくらいが気分もいいし、健康の面からもいい。具体的には、1日の量が日本酒なら2合、ビール中ビン2本、ウイスキーはダブルの2杯まで。そうすれば、いつまでもおいしくお酒が楽しめます。(回答者 斎藤茂太先生) 「日本酒は善玉コレステロールを増やす」って聞きましたが? 心臓の動脈硬化は、血清総コレステロールが高くなると促進されます。ところで、総コレステロールにはいわゆる善玉コレステロール(HDLコレステロール)と悪玉コレステロール(LDLコレステロール)の2種類があります。このうち、善玉コレステロールには、血管や組織に溜まったコレステロールを肝臓に逆輸送して処理するという働きがあります。つまり、総コレステロールが高くても、善玉のほうが多ければ動脈硬化になりにくい、ということです。 そしてご質問のように、適量のお酒を飲むと、この善玉コレステロールが増えるという効果が現われます。心筋梗塞の主な発生原因は、高血圧と高コレステロール血症で、お酒は悪影響しないというのが現在の常識です。むしろ、ふだんからお酒を飲んでいる人のほうが心筋梗塞にかかりにくい、というデータが多数あります。血圧との関係なら、お酒よりはむしろ塩分の取りすぎと肥満に気をつけましょう。(回答者 渡辺孝先生) お相撲さんの肌がきれいなのは、日本酒を飲むからかしら? 高砂部屋の力士を対象に、飲んだお酒の種類によって、体の表面温度がどのように変化するかをサーモグラフィーで調べてみました。そうすると、日本酒を飲んだ時には、他のアルコールを飲んだ時よりも長時間、体表温が2度ほど高い状態が続くことがわかりました。体表温が高いということは、皮膚の表面の血液循環が良くなるということですから、その状態が長く続けば、栄養分も体全体に十分に行き届きます。 「皮膚は内臓の鏡」です。こうしてふだんから日本酒を飲んでいるお相撲さんは、肌にツヤ、輝きが出てくるんです。これは特に日本酒を温めなくとも、常温でも同じ効果が得られました。冷え性にも良いし、女性にもお薦めしましょう。考えてみれば、お米には農耕民族の魂が宿っていて、日本酒はそのエキスなわけですから、体に良いのは当然のことです。長年力士の体を治してきましたが、日本酒を擦り込むと気が吹き込まれ、痛んだ体も蘇ります。これも日本酒のおかげだと思います。(回答者 林盈六先生) 「老人病、ボケの防止に日本酒が効く」というのは本当ですか? 老いとは、抹消循環が悪くなることと定義されます。年とともに血管がだんだんと硬く細くなり、詰まりやすくなってくるわけですが、体内に日本酒が入ると、心臓の働きを活発にし、血液の循環が良くなります。さらには血液を固まりにくくする働きを持つウロキナーゼを増やし、逆に固まりやすくするトロポキサンチンA2を減らすという効果が認められています。また血管にたまった悪玉コレステロールを除去してくれるHDLコレステロールを増やしてくれるなど、日本酒は血管の若さを保つためにとても有効です。 結局、長寿の医学とは血管の医学で、血管をいつまでも若く保つようにすることなんです。また、人間の脳細胞は130億個ありますが、20歳を過ぎるとどんどん減っていきます。ボケの防止には、脳細胞を少しでも減らさないようにすることが重要ですが、ここでも、日本酒は脳の血管の血のめぐりを良くすることで、プラスに働きます。またストレスを解消し、心の若さを保てるのも、お酒の大きな効用です。(回答者 松木康夫先生) |
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○3月27日に山形県工業技術センターで行なわれた山形県新酒鑑評会の一般公開に行って来ました。今年は会場が3部屋あって、出品点数も130点あまりありました。きき酒の順番待ちの列に並ぶと、吟醸酒の芳香とともにピリピリとした緊張感に包まれます。聞くところによると今年は原料米の山田錦が溶け、仕込みや貯蔵管理に大変苦労したそうですが、出品酒の出来は上々のようでした。これから、県の審査結果を基に、5月に開かれる全国新酒鑑評会に向けて各蔵元とも出品酒の選択に心を砕く日々が続くと思います。 |
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