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堤防のヘチ釣り 11月に入り、「山岳部では雨が雪に変わるでしょう」という天気予報を聞くようになりました。新庄では「杢蔵山(もくぞうさん)に3回雪が降ると里にも降る」という言い伝えがあります。今年の初雪ももう間もなくかもしれません。 さて、各酒蔵では酒の仕込が始まりましたが、私はといえば、本格的な厳しい冬がやってきて、それに新酒が出荷されれば、もう釣りもしていられないってんで、最後の追い込みとばかりに精を出しております。・・・エヘへ。 そこで、今回の富田通信は私がいまやっている堤防のヘチ釣りをご紹介しましょう。 ヘチ釣りとは ヘチ釣り・・・、奇妙な名前ですね。あまり聞いたことがないかもしれませんが堤防の壁際を釣る釣りです。「ヘチ」とは「辺地」つまり堤防の壁のことです。 広い海を前にして何でわざわざ足下を釣らなけりゃならないんだと不思議に思いませんか? 理由があるんですよ。その理由とは魚がとにかく釣れるんですよ。それもこちらの腕前に比例して釣れるようになるんです。これから、順を追って説明します。 ヘチ釣りが釣れるわけ もし、皆さんが魚だったらどんなところに住みますか? もちろんエサが豊富で隠れやすいところですよね。堤防の壁はまさにこの条件を備えているのです。壁には貝類や海藻などが付着し、その中にカニやイソメなど魚のエサになるものが住み着きます。それに貝類や海藻などがいっぱい付着した壁際は身を隠すには絶好の場所になります。 もちろんこれらのことは海の底にもいえることなのですが、堤防の壁際にはもう一つ、海の底にはない大きな特徴があります。それは底に較べて水の中に溶け込んでいる酸素の量が多いということです。堤防と波がぶつかることによって空気中の酸素が溶け込むのです。酸素が多いと魚の活性が上がります。つまり活発にエサを取るようになるのです。よく、雨が降ると魚が釣れるというのは水中の酸素含有量が増えるからです。 どうです。堤防の足下、つまり壁際が釣りの第一級のポイントだということがおわかりいただけましたか? ヘチ釣りの仕掛けと面白さ ヘチ釣りは2.5m前後のヘチ竿とタイコリール、道糸、ハリス、針それにガン玉(重り)という必要最低限の道具立てで魚を釣ります。 釣り方は針につけたエサを堤防の壁に付着していた貝、カニ、イソメなどがふわふわと水中を漂いながら落下していくように、演出して落としてやるだけというきわめて単純なものです。 しかし、この単純さこそがヘチ釣りの醍醐味であり面白さなのです。道具立てが単純であればあるほど、釣り方が単純であればあるほど、釣り人の技術、感性、感覚、経験、推理といったものが釣りに占める割合が大きくなります。つまり、腕が上がれば上がるほどより高次の楽しみが得られるのです。 酒の肴 堤防の釣りの楽しみのひとつは多くの人と話せるということですね。なにせ堤防上にはたくさんの釣り人がいますから。 私はその中でも毎日竿を出しているような地元のお年寄りと話をするのが大好きです。釣り情報なども聞けますし、それに何より美味しい魚の食べ方を教えてくれるんですよ。 彼らから聞いて実際にやってみて美味しかった料理をご紹介します。 ○味噌粕漬け 1.魚の頭をとって、背開きにする 2.軽く塩をふって身をしめる 3.味噌と酒粕を同量混ぜ、それに漬け込む 4.2〜3日で食べ頃になるから焼いて食べる ○唐揚げ 1.魚を3枚におろす 2.口に触らないようにハモ料理みたいに血合い骨を包丁で細かく切る 3.小麦粉をつけて唐揚げにする 4.塩かレモンをしぼってふりかけて食べる 刺身や焼き魚もいいですが、20〜30cmの魚を釣ったときには上の方法をぜひ試してみてください。吟醸酒が進むこと請け合いですよ。・・・乾杯! |
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○吟醸酒研究機構の堀井秀治さんが中心となって長年進めていた全国新酒鑑評会の全記録がついに完成しました。もうほとんど残っていないと思われていた記録を探し当て、まとめ上げた執念と熱意には本当に頭が下がります。日本が世界に誇るべき吟醸酒のバックボーンができました。・・・乾杯!! |
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