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「酒仙」と「酒豪」 秋・・・、家の周りや野山が、赤やら黄色やらオレンジ色やらの暖かい色に静かに包まれる季節ですね。むしょうに人恋しくなるのは、その色のせいなのでしょうか。それともその色のはかなさ、短さを知っているからなのでしょうか。・・・今、私の大好きな中島みゆきさんの「心守歌」を聴いています。 さて、秋といえば食欲の秋、お酒が一段と美味しくなる季節でもあります。今回の富田通信は、酒仙と酒豪と題して、お酒飲みのふたつのタイプについて「酒おもしろ語典」坂倉又吉著より、ご紹介します。 「酒仙」と「酒豪」 酒の仙人を「酒仙」、酒の豪傑を「酒豪」といいます。そして「仙人」とは、世間を離れて山中に住み、不老不死、神変自在の法を心得ているという想像上の人で、「豪傑」とは、武勇の衆にすぐれた人であります。 したがって、酒仙も酒豪も酒がいける人ということには変わりませんが、いけると言ってもそのいける具合が違いますし、言葉から感ずるニュアンスも違うようです。 そこで、ふと詩人酒徒・高木市之助氏が酒飲みに対しまことに含蓄ある忠告をしておられたことを思い出します。曰く 「酒は愛すべきもので、戦うものではない」 なるほど、そういわれてみると、「酒に負けない」「酒に負ける」「酒に強い」「酒に弱い」などという言葉は、たしかに酒を相手に戦う言葉であります。 しかし、我々何も酒を敵として飲んだことはないはずで、酒との勝ち負けなど考えるのがおかしいわけです。 しかり、「酒は愛すべきもの」に違いありません。そこで、改めて「酒仙」と「酒豪」を較べてみましょう。 「酒豪」というのは、黒田節の歌にもあるように、酒に対して、一歩も遅れをとらないという人、またいくら飲んでもひとつも崩れないという人で、いわば酒とのたたかいに負けない人と言ってよいようです。 これに対し「酒仙」というのは、常に酒を愛し、酒を友にし、大酒を飲んで世事に関しない人。そして不老不死かどうかはしれないけれども、時には洗濯女の白い脛を見て、雲の上から落ちるような失敗もやらかす人ですから、酒と聞いたら戦うどころかどだいはじめから目がなく、いや目を細くする人をいいます。 さて皆さんはどちらに肩を持ちますか? ここまでの話によりますと、多分酒仙支持者の方が多いのではないのでしょうか? 酒仙はそのように酒とともに忘我の境に入って泰然とし、居住まいなどの崩れるのはもちろん、ときには妻子も商売も忘れかねないというだらしなさがあります。でなければ「仙」の一字が生きてきません。日本での酒仙の代表選手は小原庄助さんでしょう。 たしかに愛すべきは酒仙です。だが今、一度お尋ねします。あなたはどちらを支持しますか? あなたご自身、あるいはあなたのご主人がどちらであることを好みますか? ウーン、難しい質問ですね。私の場合、仕事で、あるいはつき合いで飲まなければならないときは酒豪にあこがれ、吟醸酒を一人であるいは仲間と楽しく飲むときには酒仙に親近感を抱きます。 もっとも、日本一の槍を飲み取るほどに酒に強くもなく、またすべてに執着しないで飲み続けるほどの潔さも持ち合わせていない私にしてみれば、酒仙、酒豪、どちらも遠い存在でどちらかを支持するなんて、おそれ多くてとてもとても・・・。 ちなみに「酒おもしろ語典」によると、小原庄助さんのお墓は福島県白河市の皇徳寺にあるそうです。 その墓の表面には「米汁呑了居士之墓」とあり、その横下に「会津塗師久五郎」「安政五年六月十四日」、そして裏面に 朝によし 昼はなほよし 晩によし 飯前飯後 其の間もよし と刻まれているそうです。 一説によりますと、会津の塗師であった庄助さんは晩年左前になり、転々として当時白河に住んでいた絵描きの羅漢山人を訪ねてきました。山人は文晁の弟子で名も通った人ですが、呑兵衛としても有名な人だけに、この二人肝胆相照らす仲となり、毎日大いに飲んでいましたが、庄助さんは頓死しましたので山人がこの寺に葬り、徳利の形をした墓標、それに盃を逆さにしたのを上にのせた形の墓を作ったのが、この墓だそうです。 その後十年、慶応二年に山人も死に、隣り合わせにその墓もたてられています。 いや〜、この世だけじゃ足らずに、あの世までも一緒に飲み続けるとは、・・・まさに「酒は愛すべきもの」ですね。乾杯! |
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○裏庭に植えたヘチマでたわしを作ろうと思って、作り方をインターネットで調べていたら、ヘチマの語源がわかりました。糸瓜と書いてヘチマ。本来は「いとうり」と言うのが正しいのだそうです。じゃ、なぜヘチマになったか。いとうりと言っているうちに「い」がとれ「と瓜」となり、「と」はいろは歌の「へ」と「ち」の間にあるから「へちま」と洒落たんだそうです。ちなみに奥方のことを「山の神」というのも、いろは歌で「おく」が「やま」の上(かみ)にあるからだそうですよ。言葉は面白いですね。 |
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