第167号(2001.08.10)
クイズ! お酒ゼミナール

 残暑お見舞い申し上げます。
 いや〜、毎日暑いですね。・・・と例年だったら書くんでしょうけど、8月に入ってからの新庄は涼しいというより肌寒い日が続いています。現に今も長袖シャツに長ズボンという服装で熱いお茶をすすりながら富田通信を書いています。天気予報では10日頃から残暑厳しい日が続くようになるとかいってますが期待しましょう。
 さて、子どもたちは夏休み、夏休みといえば宿題、ってなわけでもないんですが、富田通信も「クイズ! お酒ゼミナール」と参りましょう。



【問題1】世界中のどんな酒であれ、酒の主成分であるアルコールを作り出す微生物は何でしょう?

 (1)麹菌
 (2)酵母
 (3)乳酸菌

【問題2】沖縄の焼酎「泡盛」には「仕次ぎ法」と呼ばれるものがありますが、これは何を作る方法でしょうか?

 (1)超古酒を作る方法
 (2)泡盛を仕込む甕(かめ)を作る方法
 (3)泡盛のもろみを作る方法

【問題3】次の酒のうち、薬として発売されたものは何でしょう。

 (1)ラム
 (2)テキーラ
 (3)ジン

【問題4】吟醸酒を作るときに「種切りの秘術」といわれる技術がありますがどんなときに用いられる技術でしょうか?

 (1)麹を作るとき
 (2)酒母を作るとき
 (3)もろみを搾るとき


解答と解説・・・
【問題1】(2)
 世の中のどんな酒であれ、酵母がいなければ酒になりません。酵母は糖分を食べて、アルコールを作ることによってエネルギーを得て、繁殖します。
 自然界において酵母は糖分のあるところに集まります。例えばヤマブドウの果実の表皮にくっついて、実が熟して中の甘い液体が漏れだしてくるのを待っています。あの表皮に白っぽい粉のように付いているのが酵母です。ですから皆さん、くれぐれもヤマブドウはよく洗って表皮の白っぽいやつをきれいに取ってからジュースにしてくださいね。でないと発酵して密造になってしまいますから。

【問題2】(1)
 「仕次ぎ法」とは泡盛の伝統的な熟成法です。その方法を説明しましょう。
 まず「親酒」としてアルコール分が40度くらいで好みの種類の壺入り焼酎(3〜5升入り)を購入して、家の適当なところに安置します。
 次の年に同種類の焼酎を購入し、「二番手」としてそれも安置します。同様にその翌年に「三番手」を購入し、安置します。
 三番手を用意して1年後には「親酒」は3年間熟成されたことになり、立派な古酒になります。その間、自然に蒸発したり、飲んだりして減りますが、減った分は必ず、親酒には二番手から、二番手には三番手からというように順次補充していきます。
 これを親から子へ、子から孫へというように子々孫々、毎年増やしていけば「百年古酒」が誕生するわけです。
 戦前の沖縄では「百年古酒」が存在し、来客の身分に応じて年代別の古酒を出したそうですが、残念ながら戦争で「百年古酒」はすべて破壊されてしまったそうです。

【問題3】(3)
 ジンを初めて創り出したのは、1660年、オランダのライデン医科大学のシルヴィウス教授です。
 彼は杜松(ねず)の実の精油に利尿作用があることに着目し、スピリッツに杜松の実を加え再蒸留したものを利尿、風邪、健胃の薬として発売しました。
 ところが杜松の実のさわやかな香りが評判を呼び、薬としてではなく酒として飲まれるようになりました。

【問題4】(1)  以下の文章は富田通信86号より
 「種切り」とは、蒸米の上に麹菌の胞子を振り掛けることをいいますが、吟醸酒用の麹を造る時には普通の酒よりもかなり少なく、蒸米1粒につき胞子を1〜2個載せるんだそうです。
 たとえると、地球上にびっしり敷き詰めた野球のグランドに、一球場につき1個だけボールが載るように、スペースシャトルからボールをバーッとばらまくんだそうです。・・・おそるべし「種切りの秘術」。
 とても人間技とは思えません。それを平然とやってのける蔵人とはどんな人達なんでしょう。
 麹に限らず、精米から酒になるまでの各工程にこのような名人技がみられます。酒造りとは、そういう世界なんです。
 まさに、酒は「できる」ものではなく、「つくる」ものなのですねぇ! そして、いい酒を造りたいという意気込みがさらなる秘術を造り上げていくのでしょう。
 蔵元に、蔵人に、そして彼らが造り上げた素晴らしい酒に乾杯!




編 集 後 記
○先月号で「次回の富田通信でうまくいけばクロダイの釣果が報告できるかもしれません」と書きましたが、うまくいきすぎて肘を痛めてしまったというお粗末な話しをご報告します。
 7月18日、酒田の堤防でヘチ釣りを始めたのですが、この日はクロダイの活性が高いのか次々と当たりが来たんです。竿を出していた2時間ほどの間に当たりが8回、内、掛け損ない3回、ハリス切れ2回、ゲットしたのが42cm、35cm、26cmの3匹というものでした。
 クロダイを釣ることにまだあまり慣れていない私は、クロダイの強烈な引きにうまく対処することができず、リールをゆるめることを忘れ、力の限りに竿を握りしめてしまったんですよ。その結果、おそらく50cmを超えていたであろうクロダイには糸を切られ、おまけに肘を痛めてしまったんです。
 大物が掛かったら無理に逆らわず、引いたら糸をゆるめ、引くのを止めたら糸を巻き、右に行ったら右へ行き、左へ行ったら左に行く、けっしてクロダイと喧嘩してはならない・・・頭では分かっているんですが、体がいうことを聞かない。大物に対して余裕を持ってやりとりできるようになるのはいつの事やら。ほんとにこの釣りは奥が深い! 早く肘を治して釣りに行かねば!!


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