第163号(2001.04.10)
日本酒Q&A
 このところの陽気で、ようやく雪の中から田んぼの畦が顔を出し始めました。空から見たら、白い紙に田の字を並べたように見えるんでしょうね。
 家の裏庭は、屋根から下ろした雪がまだ1メートルあまりも積もっています。桜が咲くときまでに消えるのでしょうか。
 さて、4月。今年小学校に入る近所の子供たちが入学式を待ちきれず真新しいランドセルを背負って家の周りを走り回っています。今回の富田通信は、長かった冬の気分に別れを告げて、うららかな春の陽ざしに心開いて、日本酒Q&Aと参りましょう! ・・・なんのこっちゃ。

日本酒度や酸度ってなに?

 よく瓶の裏ラベルなどに日本酒度や酸度というのが書いてありますね。あれはいったい何で、またそれらを見ることで何がわかるのでしょうか。まず、日本酒度から順に説明してみたいと思います。
 日本酒度とは一言でいえば、酒の中のエキス分の多い少ないを表す指標です。その測定には日本酒度浮ひょうという比重計を使います。
 酒の中のエキス分が多いと酒に浮かべた比重計はどうなると思いますか? 真水に沈む卵も濃い塩水には浮くように、比重計は浮き上がりますよね。反対にエキス分が少ないと比重計は沈みます。
 その時の比重計の目盛りを読むと、エキス分の多い時は浮き上がりますから目盛りはマイナスを示し、エキス分の少ない時は沈むのでプラスを示します。
 そして、酒のエキス分はほとんど糖分ですから、糖分の多い酒(甘い酒、濃い酒)はマイナスを示し、糖分の少ない酒(辛い酒、サラリとした酒)はプラスを示します。
 つまり、日本酒度+5の酒の方が日本酒度−2の酒よりも辛いということになります。日本酒度は酒の甘辛を知るための目安なのです。
 次に酸度ですが、これは、酒10mlを中和するに必要な1/10規定の水酸化ナトリウム溶液のml数を表わしています。
 日本酒の酸の主成分はコハク酸とリンゴ酸です。酸もまた、味覚の甘辛に影響を与えます。一般に日本酒度が同じの時は、酸度が大きいほど辛く感じます。
 以上見てきたように、日本酒度、酸度ともに日本酒の濃淡や甘辛を示す指標です。しかしそれはあくまで指標なのであって、酒そのものの味すべてを説明するものではありません。
 日本酒度と酸度の数字によって分かることは、その酒のごく、本当にごく大まかな傾向だけです。
 ですから、あまり日本酒度や酸度にとらわれることなく、あくまで自分の味覚を大事にお酒を楽しまれるのがいいかと思います。

日本酒は悪酔いするのでしょうか?
 今年の全国各地の成人式の映像がテレビで放映されてずいぶんと議論をよびましたが、なぜかそこで騒いでいる若者の手にはしっかりと一升瓶が握られていましたね。また、NHKテレビのニュース番組では、日本地図上に問題を起こした式場の場所が示され、そこにも一升瓶の絵が張り付けられていました。
 これは考えてみると不思議なことですよね。普段日本酒なんてほとんど飲まないにもかかわらずそういう場所では日本酒を手にする若者、各地の成人式場ではワインもビールも飲まれたはずなのに一升瓶の絵だけを張り付けるテレビ局。・・・いったいどういうことなのでしょう。
 えっ、話しが見えないって。失礼しました。実は、日本酒は悪酔いするという話しと上の話しは根っこがひとつじゃないかと思うんですよ。それはつまり、日本人がもっとも得意とするところの自国文化への自虐趣味です。
 日本酒が特に悪酔いするという医学的な根拠はまったくないそうです。悪酔いの原因は、体内でエチルアルコールが分解されてできたアセトアルデヒドが、神経系への刺激症状を起こし、平衡感覚の興奮を導き、それが電解質のアンバランスや脱水、虚脱感をまねくためといわれています。
 したがってどんな酒でも大量に飲めば、アセトアルデヒドがそれに応じて体内に増えるので、当然悪酔いの原因になります。
 よく焼酎は悪酔いしないという人がいますが、それも飲酒量の問題なのです。焼酎は水などで割って飲みますから多く飲んでいるようでもアルコールの量はそうでもありません。また、「酔い覚めが良い」などといわれているため、飲んでいる人も悪酔いしないという暗示にかかり、結果として悪酔いしないということもあるかもしれません。
 なにはともあれ、日本酒が他の酒と比べて特に悪酔いしやすいということはありません。もし、それでもあえて原因を探すとすれば、先に言ったように日本酒に対する、あるいは日本文化に対する心理的要因、すなわち自国文化に対する自虐趣味にあるのでしょう。異文化をありのままに見つめ、そのことによって自国文化の素晴らしさが分かったとき、美味しい日本酒に対する偏見も消えるんでしょうね。・・・乾杯!



 
商 品 紹 介
上喜元・吟醸『雄町50』
 上喜元さんは、会社名を酒田酒造株式会社といい、酒田市にある吟醸蔵です。もともとは、酒田の本間様御用達のお酒だけを造っていたそうです。この蔵の特徴はなんといっても造っている酒の種類がとても多いことです。なんと仕込みタンク一本ごとにすべて違う酒を仕込んでいるんですよ。
 この吟醸・雄町50はその名の通り、酒米・雄町を50%精米で仕込んだもので、酵母は熊本酵母を使い、味わいは、旨口の吟醸酒です。お薦めです。
                1.8L  3200円(税別)

上喜元・特別純米『雄町60』
 この酒は、雄町を60%精米、熊本酵母で仕込んだものですが、酸がなんとも強烈です。一口飲んだ後に何か無性に食べたくなる・・・そんなお酒です。酸がだんだん、まろやかになってくる秋口にかけてが楽しみな酒です。
                1.8L  2800円(税別)
 



山形県内生酒飲みくらべ頒布会

 山形県内の18の蔵元の生酒が楽しめる絶好の機会です!
キーンと冷やした生酒のおいしい5月から頒布開始です。

 頒布品:各月300ml×6本

5月
(山形正宗・千代寿・竹の露・清泉川・加茂川・一献)
6月
(出羽桜・銀嶺月山・東北泉・大山・東光・忍ぶ川)
7月
(六歌仙・霞城寿・初孫・花羽陽・東の麓・錦爛)

 会  費:1回 2,860円×3回

※価格は外税です。代金は毎月商品お届け時に頂きます。

 申込締切:平成13年4月20日

 申込方法:富田酒店までお申し込みください。

※商品は保冷箱に収納してお届けします。
※生酒ですので到着後は必ず冷蔵庫に入れて保存してください。
※発送の場合は、別途送料がかかりますのでご了承ください。




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