第154号(2000.07.10)
酒よもやま話
  梅雨、真っ只中だというのに新庄は、まるで梅雨明けしたかのような天気が続いています。日中の最高気温は連日平年を3〜4度も上回り、畑の土はもう灰のようになっています。あいにくと「雪ニモ夏ノ暑サニモマケヌ丈夫ナカラダ」を持っていない私は早くも夏バテ気味です。
 さて今回の富田通信は、久々に酒よもやま話と題して「酒飲みを励ます本」志賀貢著から書いてみましょう。

なぜトイレが近くなるのか
 酒の主成分はアルコールだが、このアルコールは、そのまますぐに、胃や腸から吸収される特徴を持っている。
 下戸と言われる人が、酒倉に入っただけで「酔っぱらったぁ」と言うのも本当のことである。
 これは、酒倉の空気中に混じっているアルコールが鼻から肺に入り、さらに肺胞を通って血液中に移るからなのだ。
 胃、腸からの吸収、血液を介しての全身の臓器、組織への分配といったシステムで、アルコールは全身にまわり、やがて体内に入ったアルコールの90%以上が酸化されて、炭酸ガスと水になる。残りの約5%が尿や呼気となって排泄される。
 それにしては、「ちょっと、オトイレへ」「自然が呼んでいる」などと、酒を飲むと、よくトイレに行きたくなる。とくにビールなどは、「飲んだのを、みんな出しちゃったみたいじゃないか」と言いたくなるほどだ。
 一説には、1リットルの水を飲んだだけでは400ccの尿が出るだけだが、ビールを1リットル飲むと、約1リットルの尿が出ると言われている。いわゆる利尿作用というものだが、アルコールの利尿作用は、腎臓の機能を高めるのとは、ちょっと違う。
 アルコールは、脳下垂体後葉から分泌される抗利尿ホルモンを抑えるのである。つまり、利尿を減らす働きのホルモンを抑える。たとえば、水利権を持つ上の段の庄屋の権力を弱めた結果、下の段の田にも水がうるおう、というのによく似ている。
 よく飲まれる方はお気づきだと思うが、この「ちょっとトイレ」は、どちらかと言えば飲み始めに多い。つまり、飲むうちに酔ううちに利尿作用は減退してくるのである。
 だから、女性をくどこうと思ったら、このことをよく知っておいたほうがいいだろう。せっかく、ムードのよくなったところで、「ちょっと失礼」とやられては、色気もなにもあったものではない。ともかく、利尿作用が減退するのを紳士然として待つことが“成功”の秘訣である。

 ・・・だそうだそうですよ。自信のある方はぜひお試しあれ。あたしにゃ、とてもとても。利尿作用が減退するころには睡魔が・・・。


飲みすぎる? それでも飲みたい!
 「今日は3杯でやめておこう」とか「絶対に6杯以上飲まないぞ」と思ってもそれ以上飲んでしまうことってよくありますよね。
 これは、最初に「6杯以上飲まないぞ」と決めた人間と、6杯まで飲んだ人間とが、時間が経つと、同じ人間ではなくなっているからなのである。簡単に言えば、しらふだった人間が、酔ってしまっている。酔った人間は、それこそ、「矢でも鉄砲でも持ってこい!」と上機嫌で、気も大きくなる。
 酔っていない時には自制する機能が働いても、酔ってしまってからでは、最初の約束など、どこかへ吹っ飛んでしまっている。これはアルコールが自制を司る大脳新皮質を最初にマヒさせるからである。
 ところで、お経など取り出して、しんきくさくて恐縮だが、『法華経』にはこんな意味の文句がある。
  初則人呑酒、次則酒呑酒、後則酒呑人
 はじめは酒が飲みたくて酒を飲むが、ある程度飲み進むと、飲んだ酒のためにさらに酒が飲みたくなり、最後には酒のために人が酔ってしまい乱れる、という意味である。
 また、茶道家として名高い千利休もこんな言葉をのこしている。「一杯は人が酒を飲み、二杯は酒が酒を飲み、三杯は酒が人を飲む」と。まったく同じ意味である。
 飲んべえの先人たちも、皆、悩みながら飲み続けてきたわけである。
 しかし、酒のためには、幸いにして、日本という国はじっくりと味わうには、まことに都合がよくできている。春夏秋冬という豊かな気候の変化があって、春には桜や青葉、夏には暑気払い、秋の月見、冬の雪見と、酒の肴にはこと欠かない。心で飲むのに、ピッタリなのである。
 「死んで千杯よりも生前の一杯」とも言うではありませんか。飲みすぎに心を配りながらも、一杯そして一杯、また一杯と、味わって酒を飲もうではありませんか。・・・乾杯!




 
商 品 紹 介
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……… 編 集 後 記 ………
○今、中庭の池端の軒先にキセキレイが今年3度目の巣を作り、卵を抱いています。最初は4月中頃、2度目が5月下旬、そして今回です。いったい我が家のどこが気に入ったのか分かりませんが、池のほとりを長い尾を上下させながら、餌を探して我が物顔に歩き回っています。おかげでキセキレイの生態にずいぶんと詳しくなりましたよ。



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