第138号(99.3.10)

DEWA33新酒発表会に参加して

 3月5日から6日にかけて新庄は冬将軍の断末魔のような強風が吹き荒れ、6日の明け方には最大瞬間風速が毎秒26mを越えました。幸い、その日の最低気温が0度と暖かかったため屋根にわずかに残っていた雪も解け、晴れた日中に雨垂れの音を聞くことはなくなりました。春の足音が確実に近づいています。
 先月の15日に山形県工業技術センターで純正山形酒・DEWA33(デワサンサン)の新酒発表会がありました。私もいってきましたので今回は、そのときの様子と今年の酒について皆さんにお知らせします。

DEWA33とは

 新酒発表会の様子の前に簡単にDEWA33について書いてみたいと思います。DEWA33とは、平成8年から発売され、酒の4大原料つまり米(出羽燦々)・麹菌(オリーゼ山形)・酵母(山形酵母)・水のすべてが山形オリジナルの純米吟醸酒です。できた酒は、審査会にかけられ、合格した酒だけがDEWA33と名乗ることができます。

(詳しくは富田通信第101号を参照のこと。バックナンバーあります)

新酒発表会の様子

 発表会は午後1時からということで、11時半に新庄を出発。1時に山形市にある会場に着くと、広い駐車場は蔵元や一般の参加者の車ですでにいっぱいでした。ようやくはずれの方に車を止めて中にはいると、知った顔がちらほら。あいさつと受付を済ませ、もらった資料に目をやると今年DEWA33を造る蔵元は45社で、そのうち30社の新酒が出品されていました。残りの15社は当日まで製造が間に合わなかったとのことです。
 きき酒会場にはいるとピーンと張りつめた空気と酒をすする音の中、テーブルの上にズラッと出品酒ときき猪口が並んでいます。人の列の後ろに並び順路通りに端からきき酒開始。
 全神経を目と鼻と口に集中して、きき猪口の中の酒の色を見、香りを嗅ぎ、口に入れ、そして吐き出します。まさに酒との真剣勝負。きき酒とは、こちらが酒を試すと同時に、こちらが酒とそれを造った蔵人たちに試されてもいるのです。すべてきき終えると、いつものことながら軽い脱力感と疲れを感じます。まあ、それがきき酒のひとつの魅力でもあるのですが・・・。

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 今年の発表会には蔵元や酒の流通業者、飲食店とおぼしき人たちの他に一般のお客様の姿も見受けられ、吟醸酒に対する関心が高まりつつあることを感じました。

今年の酒質について


 全体的に見れば、DEWA33の造りは今年で4年目に入り、各蔵ともだいぶ出羽燦々という酒米に慣れてきたためか、純米吟醸酒でありながら、香りの高い、すっきりとしたキレのある酒になっていました。それと特筆すべきは、酒に含まれる酸がとっても魅力的な味わいを持っているということです。なんて表現したらいいのか、心を浮き立たせ、ワクワクするような、そう、感動を呼び起こす酸なんですね。
 個々に見れば、抜群のキレと華やかさを持つ出羽桜、やさしい風味の栄光冨士、酸が少な目ながらバランスのよい松嶺の富士、甘みを感じさせる麓井、やや辛口の最上川など各蔵それぞれにしっかりと特徴を打ち出していました。  今年の酒の出来は、上々のようです。

DEWA33に参加する蔵元

 今年のDEWA33を製造する蔵元は以下の45の蔵元です。

霞城寿 羽陽男山 秀鳳
出羽桜 山形正宗 千代寿
澤正宗 あら玉 朝日川
銀嶺月山 六歌仙 高木酒造
最上川 花羽陽 初孫
上喜元 菊勇 清泉川
松嶺の富士 麓井 杉勇
東北泉 奥羽自慢 竹の露
やまと桜 鯉川 出羽の雪
栄光冨士 大山 白梅
小桜 忍ぶ川 加茂川
羽前桜川 香梅 東光
羽陽富久鶴 羽陽錦爛 福牡丹
樽平 白銀蔵王 米鶴
羽陽弁天 東の麓 一献


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当店扱いDEWA33

 当店では、以下のDEWA33を常時取りそろえております。また、他社のお酒もご用意できますのでおたずねください。


○麓井・DEWA33圓
          720ml ¥1,262
○最上川・北国浪漫DEWA33
          720ml ¥1,455
○松嶺の富士・秘めごとDEWA33
          720ml ¥1,456
○栄光冨士・古酒屋栄光冨士DEWA33             720ml ¥1,748
○出羽桜・出羽燦々誕生記念酒
          720ml ¥1,360
           1.8L ¥2,770  


鯉川・純米大吟醸生原酒「阿部亀治」

 漫画「夏子の酒」ですっかり有名になった幻の酒米「亀の尾」。その亀の尾の発見者である阿部亀治翁は山形県余目町の人です。阿部家では、現在でも「亀の尾」の原種保存のため、余目町にある先祖代々の田圃で栽培しております。  純米大吟醸生原酒「阿部亀治」は余目の鯉川酒造が阿部家より種籾を譲り受け、昭和56年から復活栽培した米で醸した酒です。
 たっぷりと味の乗った大変おいしいお酒です。去年の暮れは入荷量が少なかったこともあり、アッという間に売り切れてしまいご迷惑をおかけしました。今年は3月末に入荷の予定です。

    500ml 2,571円(税別)

山形県内生酒飲みくらべ頒布会

 山形県内の18の蔵元の生酒が楽しめる絶好の機会です!  キーンと冷やした生酒のおいしい5月から頒布開始です。

頒布品:各月300ml×6本
  5月(千代寿・小桜・初孫・山形正宗
      ・加茂川・花羽陽)
  6月(栄光冨士・東北泉・あら玉・錦爛
      ・出羽桜・六歌仙)
  7
月(米鶴・東光・銀嶺月山・上喜元・霞城寿
      ・竹の露)
会  費:1回2,860円×3回
 ※価格は外税です。代金は毎月商品お届け時に頂きます。
申込締切:平成11年4月20日(火)
申込方法:富田酒店までお申し込みください。
※商品は保冷箱に収納してお届けします。
※生酒ですので到着後は必ず冷蔵庫に入れて保存してください。
※発送の場合は、別途送料がかかりますのでご了承ください。


編 集 後 記

○2月11日に鶴岡市大山町で開かれた酒蔵祭に行って来ました。栄光冨士さんの蔵にお邪魔したら大勢の見学者で賑わっていました。ふと酒米のコーナーを見ると、造りの最中ということもあり人手が足りなくて説明者がいない。
 気がついたら栄光冨士さんのハッピを着て、見学者に酒米の説明をしていました。・・・ああ、ついつい調子に乗ってしまう自分がコワイ。乾杯!

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