第107(96.08.10)


祭りと酒

 残暑お見舞い申し上げます。

 7月下旬のうだるような暑さも8月に入って少し衰えをみせ始めました。日中の日差しの強さは相変わらずながらも、朝晩や日陰の中にこっそりと秋が忍び込んでいるようです。皆様はお元気でお過ごしでしょうか。

 私はといえば、今年もまた8月24・25・26日の新庄祭りの山車作りに連夜励んでおります。(新庄祭りの山車は各町内毎に出し、全て各町内の若連の手作りで、今年は21台の山車が市内を練り歩きます)。

 今年の我が町内の出し物は『白髭沼竜神伝説』の一場面。物語の内容は「昔、新庄のとなり村の鮭川というところに竜が住むという白髭沼(しらひげぬま)と呼ばれる沼が有りました。この沼は日照りが続いてもまたいくら田圃に水を引いても、竜神のお蔭で全く水が減らないという不思議な沼でした。

迷信嫌いの新庄2代藩主の香雲寺様は、そんな馬鹿なことがある筈はない、竜神などいるものかってんで、人々を集め沼の水を汲み出し始めました。ところがいくら汲んでも水は減りません。それでも一週間、十日と汲み続けているとさすがに水位が少しずつ減り始めました。それを見て満足した殿様が城に戻ろうとしたその時、沼の水面を割って竜神が現れ、殿様に襲いかかりました。


 危うく難を逃れた殿様は神社を建て、竜神を祀ったということです。」というもので、私はその竜神を作っております。
 前置きが長くなりましたが、祭りには酒がつきものですよね。現に私も毎晩、山車作り作業の終了後、仲間とワイワイ酒を飲んでおります。酒盛りも祭りの一部なのかもしれません。
 でもどうして祭りには酒がつきものなのでしょう。今回の富田通信では、その事について考えてみましょう。

 古い言葉で酒のことをみき(御酒)といいます。み(御)は文字通り尊称で、き(酒)が酒のことです。酒(き)という言葉は万葉集の中にも出てきますし、また今でも宮中で白酒(しろき)・黒酒(くろき)という酒が神事に使われています。
 では何故、酒のことを「き」と言うようになったかというと、諸説いろいろあるのですが、その中の一つに「奇」からきたのではないかとの説があります。つまり酒を飲むと心も体もふわふわして、何とも不思議だ、奇妙だという訳です。

 大昔の人は、アルコールという物質の存在を知りませんでしたから、この不思議な感覚を人間を超えたもの、神との接触と考えました。

 そこで天変地異などを起こす神の怒りを鎮めるために、神に酒を上げてお祈りをし、その後その酒を神の前から下げて、皆で飲んで神との交流をはかったのです。

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 私は、この神との交流をはかることこそが祭りの原形ではないかと思っております。それが証拠に私の知る限り、日本の伝統的な祭りは全て宗教的意味合を持っています。お供えなどをして神霊を慰めることを祭ると書くことからも分かると思います。
 ですから、祭りには酒がつきものなのではなく、神に酒を捧げそれを飲んで神と一体化することこそが祭りだったのです。
 今でも、一部の神事で、酒を神に上げ、それを下げて御神酒(おみき)として飲むのはその名残なのでしょう。

 科学が進歩した現在、神の存在は忘れさられたようにみえますが、祭りが持つ非日常性こそ、我々が遠い祖先から受け継いだ神の記憶なのかもしれません。・・・乾杯。




編 集 後 記

 8月に入り、北の高気圧に覆われて朝晩の新庄は秋の様な気候になっています。10日頃からまた暑さが戻るそうですが・・・。

 ところで皆さんは、すすき前線なるものをご存じですか? 春を告げる「さくら前線」があるように、秋を告げるのに「すすき前線」があります。この、すすき前線の出発地が新庄なのです。つまり、日本の秋は新庄から生まれるのです。スゴイですねぇ・・・。線路ぎわのすすきの穂が風になびいて、秋を送り出す準備を始めています






…… 商 品 紹 介 ……

出羽桜『大吟醸セット』
 日本屈指の吟醸蔵・出羽桜酒造さんの大吟醸の詰め合わせ。華やかな吟醸香と淡麗な味わいは、お薦めの一品です。

300ml×5本  4,200円

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出羽桜『吟醸・一耕セット』
 このセットのために特別に詰めた吟醸酒と、軽い味わいながら口中で豊かに広がる香味で好評の純米酒・一耕の詰め合わせです。
 吟醸酒は冷やして、一耕は冷や又はぬる燗でお召し上がり下さい。

720ml×2本  3,200円

初孫『峰の雪渓セット』
 高山植物の鳥海フスマの絵をラベルにあしらった、その名のように、すっきりとフルーティーな美山錦100パーセントの吟醸酒のセットです。

300ml×5本  3,500円

初孫『浜辺の詩(うた)』
 日本有数の穀倉地帯、酒どころ酒田にある酒蔵。砂丘地の良水で、丹念に醸しあげた純米酒と本醸造のセットです。 日本海の浜辺にたたずむ時のおおらかな解放感に満たされる味わい。涼しい旨さを、キリッと冷やしてお楽しみ下さい。

 720ml×2本  2,500円

中島みゆきベストアルバムCD
『大吟醸』 ポニーキャニオン 3,000円

 私の大好きな中島みゆきさんが、なんと『大吟醸』というタイトルのCDを出しました。新聞で見て早速買ってきました。CDに入っている『大吟醸』と書かれた縦書きと横書きのステッカーを、店の大吟醸が入っている冷蔵庫にペタリと貼って、みゆきさんのCDを流して毎日楽しんでおります。

 このCDには、「空と君のあいだに」「時代」「ファイト!」など14曲が収められています。

 大吟醸には中島みゆきがよく似合う・・・なぁ〜んちゃって。

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