今年は、気温の変化があまりにも大きい春です。4月21日まで雪が舞っていたかと思えば、その後の初夏を思わせる陽気でゴールデンウィーク後半には、桜が散り始めました。そして5月5日の冷たい雨以来、また冬に逆戻り。日中の最高気温は10度を切り、箪笥に仕舞いこんだセーターを引っ張り出して着ております。この分では、真夏に雪が降るかも・・・エヘヘ。 さて、今回の富田通信は、前回ご紹介した米を蒸すためのコシキに関連して、興味深いお話が秋山裕一(元醸造試験所所長)著「酒づくりのはなし」に載っていましたので抜粋してみました。 これまでの説明で、15分は必要である(実際にコシキで米を蒸す場合、15分蒸せば米の芯はなくなります)、ということはお分かり頂けたことと思う。 さて、むらしさえ適当であればうまい御飯がいただける、などといったら大目玉を食うであろう。水加減だの、保温、おひつに移しかえる理だのいろいろとある。そのなかでもう一つノウハウ、秘法がある。 |
白米が乾燥してくると、わずか1〜2パーセントの水分の減少でも、水に浸けたときに水をたくさん吸うようになる。これは、酒米の性質の項で書いたとおりである(白米水分が1パーセント増減すると、吸水率は3パーセントの幅に増幅されて減増します。つまり、米の水分が多ければ水をあまり吸わないし、逆に水分が少なければ多く水を吸います)。要するに、米が乾燥してくると細胞壁がもろくなって、水に出会ったときにひび割れがし、このすき間に水が入り込む。この水分は、よい蒸米を調整しようとするときには大切な問題になるが、炊くときには、さして影響はないものと思われる。それは、御飯炊きは白米1に対して水1.
2くらいと、ほぼ一定量の水を入れて炊き上げてしまうからである。 | |
白米の水分と吸水の関係を明らかにし、これを酒づくりのためのよい蒸米づくりに応用したのは、私どもが初めてと自負していた。それならば白米の水分調整機を考えようということになって、機械屋さんをあたっていると、なんと調質装置と称する大型の装置が存在していたのである。なお驚いたことには、金沢の大きなおしずし屋さんのすし米は、水分調整して納入されていることを聞きつけた。 早速この工場を訪問して見学したが、今日の米の調湿に用いる加湿機を用いて、毎日、何石という米を調湿して炊いているではないか。装置そのものは簡単であったが、これもコロンブスの卵である。歯ごたえのある、しかもお酢を混ぜたりしても腰のある御飯を炊く試験を、いろいろと苦心を重ねながら繰り返した松任町の米屋さんの主人の発明だという。 |
お酒に限らず、何でも美味しいものをつくるというのは、大変なことなんですねぇ・・・乾杯。
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