第92号(95.05.10)


愛鳥週間にちなんで
   お酒の探鳥会入門・パートII

 桜が散り、ゴールデン・ウイークが終わり、静かな昼下がり、淡い水色の青空の中に柔らかな色合の若葉が風にそよいでいます。新庄は一年中で一番爽やかな季節をむかえております。

 さて、徳川三代将軍家光のころ、地黄坊樽次が書いた『水鳥記』という酒合戦の本があります。酒という字を左右に分解すると、さんずいに酉。つまり酒のことを洒落て水鳥と書いたわけです。

 今回は、5月10日から始まる愛鳥週間にちなんで、私達がこよなく愛する水鳥を探鳥するための手引ともなる本のいくつかを富田通信20号に引き続き紹介したいと思います。

 なお、ここで紹介している本の価格は、私が購入したときのもので、現在の価格と若干違うかもしれません。

○『吟醸酒の来た道』

  著者/篠田次郎  出版社/実業之日本社
  価格/1,800円

 『吟醸酒誕生』の続編ともいうべきこの本は、吟醸酒が生まれるに到った技術的側面も詳しく書かれてあって、非常に面白い本です。まだ途中までしか読んでいませんが吟醸酒に興味のある方には是非お薦めします。


○『吟醸酒誕生』
  著者/篠田次郎  出版社/実業之日本社
  価格/1,500円

 「頂点に挑んだ男たち」のサブタイトルからも分かるように、吟醸酒に挑んだ人々のロマンをうたった本です。

○『日本の酒づくり』
  著者/篠田次郎  出版社/中公新書
  価格/490円

 著者の篠田次郎氏の本業は建築家。篠田氏は、酒蔵を多数設計されております。この本はそうした経験をもとに、建築家の目から見た酒づくりが書かれていて実に新鮮な感動があります。昭和56年の発行ですが、驚くべきことに、吟醸古酒の話までも出てきます。

○『最新吟醸酒』

  著者/篠田次郎  出版社/鎌倉書房
  価格/1,800円

 昭和62年発行のこの本が吟醸酒ブームに火を着けました。思い起こせば富田通信を書き始めた年です。

○『酒の神様・野白先生』

 出版/野白先生謝恩刊行会  価格/2,500円
 この本は、吟醸酒の誕生に多大の影響を与えた、そして吟醸酵母として名高い熊本酵母(協会9号酵母)の発見者でもある野白金一先生の伝記です。

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○『日本酒ルネッサンス』
  
著者/小泉武夫  出版社/中公新書
  価格/660円

 この本は、口噛みの酒と言われた古代の酒から吟醸酒までの歩みを綴った日本酒史ともいうべき本です。さらには、日本の酒造りと飲酒文化までにも話が及んでいます。

○『日本酒』
 
 著者/秋山裕一  出版社/岩波新書
  価格/580円

 著者の秋山氏は醸造試験所長を務められた方で醸造の権威です。本の内容はかなり高度なことにまで及んでいますが、分かりやすい本です。

○『酒つくり自由化宣言』

  著者/穂積忠彦・笹野好太郎  出版社/農文協
  価格/1,600円

○『趣味の酒つくり』
  
著者/笹野好太郎  出版社/農文協
  価格/1,300円

 現在、自分で酒を造ることは違反ですが、上の2冊の本は「酒造りの自由を我等の手に」というかなり刺激的な本。実際に酒を造るかどうかは別問題として、酒について詳しくなること請け合いです。


○『アルコール依存症に関する12章』
 
 著者/斎藤学編  出版社/有斐閣新書
  価格/600円

○『酒と健康』
  
著者/高須俊明  出版社/岩波新書
  価格/520円

○『酒飲みの心理学』
 
 著者/中村希明  出版社/講談社
  価格/600円

○『酒飲みのための科学』
  
著者/加藤伸勝  出版社/講談社
  価格/600円

  酒は百薬の長といわれますが、場合によっては毒にもなります。上記の4冊の本は、お酒の危険性を書いた本です。お酒は本来人生を豊かにする飲み物です。決してウサをはらす道具ではありません。お酒が可愛そうです。心にウサが溜まった時は、酒に逃げず、自分の心と向かい合いましょう。

 それでは、乾杯!

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『山形の吟醸酒を楽しむ会』のお知らせ

 代々受け継がれてきた杜氏達が秘技をつくし、時をかけて育てた、各蔵元の個性が香る秘蔵の逸品、みちのく山形の「吟醸酒」県内26銘柄勢揃い。

日時:6月9日(金)午後6時30分
会場:山形メトロポリタンホテル4F
会費:お一人様5,000円
定員:200名(先着順)
特典:参加者より抽選の上、50名様に『大吟醸』プレゼント。

●お申し込み方法/ハガキに住所、氏名、年齢、性別、職業、郵便番号を明記し、ご応募ください。
●先着順200名様に郵便振込用紙をお送りいたしますので、参加料5,000円を平成7年5月25日までにご送金ください。受領書と入場券を発送いたします。
●宛先/〒990山形県山形市緑町1-7-46
山形県酒造組合連合会
    「山形の吟醸酒を楽しむ会」係
●会の問い合わせは山形県酒造組合連合会
     TEL0236-41-4050まで
●主催/山形吟醸酒推進協議会
 協賛/紅花の山形路観光キャンペーン

※参加銘柄/
一献・東の麓・羽陽辨天・米鶴・樽平・羽陽錦爛・東光・加茂川・秀鳳・山形正宗・出羽桜・羽陽男山・霞城寿・朝日川・あら玉・銀嶺月山・澤正宗・千代寿・最上川・六歌仙・奥羽自慢・竹の露・栄光冨士・亀の井・清泉川・初孫、以上26社


平成7年 東北新酒鑑評会優等賞受賞蔵
 去る4月18日、東北新酒鑑評会の一般公開が仙台で開かれました。以下に山形県の優等賞受賞銘柄をお知らせいたします。
〔吟醸酒の部〕
寿久蔵・羽陽男山・出羽桜・澤正宗紅葉盛・あら玉・花羽陽・初孫・松嶺の富士・栄冠菊勇・蔵古流・大山・一献醸心・羽陽辨天
〔純米酒の部〕
銀嶺月山





編集後記
 雪融けによる川の増水もおさまり始め、池に流れ込む水の音に、あちらこちらのきらめく川の様子が頭に浮かんで心が騒ぎます。一刻も早く富田通信を書きあげて、ヤマメ釣りに出掛けましょう。

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