第66号(93.03.10)


白酒・甘酒

 いよいよ3月、春間近。陽春とはよくいったもので、春の兆しは陽の光の中に始まります。それにしても、今年の冬は暖かかった。凍結防止に水道の元栓を止めて寝ることは皆無でしたし、雪も降っては消え、降っては消えして、屋根の雪おろしも一度も無し、実に楽な冬でした。

 3月といえば、雛まつりですね。新庄は月遅れの4月3日にやる家が多いようですが・・・。そこで今回の富田通信は雛まつりには付きものの白酒と、ついでに甘酒について書いてみたいと思います。

白 酒

 桃の節句におひなさまの前に供えられる、白く濁った、甘く、粘りけのある酒のことを白酒(しろざけ)ということは、ご存じだと思います。

 もっとも同じ白酒と書いても、「白酒・黒酒」とならべると、「しろき・くろき」と読み、これは、宮中や神社の神事に用いられる全然別の酒になります。

念のため………。

 白酒(しろざけ)は、焼酎1に対し、蒸米1.4、こうじ米0.4の割合で混ぜ、約一ヵ月たって熟成したものを石臼でひいて米粒を細かく砕いて製品にしたもので、成分分析によれば、アルコール分9度、エキス分57〜59度、濾過した液の糖分は約48度で、非常に甘い酒です。


 白酒の土台は、以上のように焼酎ですので味淋(みりん)と同じように焼酎ができてからのち(織田・豊臣時代)に生まれた酒かというとそうではなく、清酒やどぶろくを土台にしてそれよりずっと昔から白酒がありました。『碧山目録』(応仁2年・1469年)のなかにも出ていますので、戦国時代以前からあったことが分かります。

 もっともずっと昔は、白酒でなく「練酒」(ねりざけ)と称していて、筑前の博多産が有名でした。練酒・白酒は、古来濃密で、粒が細かくなめらかなのを上品としていますが、歌舞伎十八番の“助六”、常盤津“乗合船”などに登場する白酒売りが山川と記したうちわを持っているのは、「山川」「初霜」などの銘柄が特に良品としてもてはやされたからです。山川の名の由来は、山間の流水が白く濁り、この酒の色がそれに似ていることから京都油小路の白酒醸造元の酒店が命名したといわれています。

 また、長唄に“白酒売り”というのがありますが、これが作られた天明5年(1785年)頃、この商売がはでな風俗とともに江戸町民に親しまれたことを物語っています。

甘 酒

 白酒とちょっと似たものに「甘酒」(あまざけ)があります。これは古来「一夜酒」または「なめ酒」ともいいます。

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 酒とはいいますがアルコールをほとんど含んでいませんし、目的からして酔うためのものではなく、甘味料の少ない昔では、庶民的な飲み物でありました。今でも、ときには家庭で造り、あるいは寒くなると店でも売っていますから、その原料はこうじとご飯であることはご存じのことと思います。
 なお、酒粕を鍋で煮溶かして砂糖をいれてもおいしい甘酒ができます。

 日本書紀に、応神天皇の19年(228年)吉野より献上したとありますが、それよりずっと前、コノハナサクヤヒメの天甜酒以来、甘酒は米の酒の歴史とともにあったといえましょう。

 余談になりますが、落語の中に出てくる甘酒の話を紹介して結びとします。

甘酒屋「(売り声)あまいィ、甘酒ェーッ」
客「おい、甘酒屋ァ・・・おい」
甘「へえ」
客「あついかい?」
甘「へえ、熱うございます」
客「日陰を通ンねえ・・・」

 こいつォこう・・・見ていて、われわれ同様・・・というような人間が、“うまいこと言やアがンなア。えッ、甘酒屋、アツいかい? アツウござんす、日陰を通ンねえ・・・か。こいつアうめえなあ。よし、おれもやってみようかナ、ひとつ・・・”
 ッてンでナ、


甘酒屋「(売り声)あまい、甘酒やアッ」
男「甘酒屋ァ・・・」
甘「へえ」
男「アツいかい?」
甘「飲みごろですよオ」
男「じゃァ・・・一ぱいくれやい」
なンにもならない………


……… 商 品 紹 介 ………

最上川・しぼりたて本醸造新酒
 新庄酒造さんのしぼりたて本醸造酒。今年は、去年の酒より数段おいしく なりました。そのことを岸社長さんに話したところ、麹室(こうじむろ)を 改良したとの事。早速蔵に遊びにいって、麹室を見せていただきました。室 の中では、3人の蔵人が麹の切り返し作業をやっていましたが、室の中はほ どよく乾燥していました。
 今年の最上川は期待できそうです。

500ml   600円

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朝日町ワイン・アイスエッセンス

 晩秋の侯、完熟しきった糖度の高い葡萄を凍結。凍ったままの葡萄をプレ スし、葡萄から浸み出る濃厚で香り高い葡萄のエッセンスだけを、厳寒の冬 自然の寒気の中でゆるやかに醗酵させました。

  柔らかく芳醇な「極寒の葡萄の雫」アイスエッセンス、限定販売です。

極甘口 白・ロゼ 各720ml 2,000円


鈴蘭酒造より価格改定のお知らせ

 鈴蘭酒造(岩手県)さんから、「酒米値上がりのため4月1日より1.8Lで200円程度、上げさせてください」との連絡が入りました。

 詳しい価格はまだ分かりませんが、当店扱いの特別純米自然酒『北リアスからの風』も4月から上がりますので、よろしくお願いいたします。

 なお、『北リアスからの風』の現在の価格は1.8Lで2,500円です。

…… 編集後記 ……


○保育所にいっている長男が風邪をひいて、続いて長女にうつり、次男にうつり、ついには、丈夫だけがとりえの女房まで風邪で寝込んでしまい、私が御飯の支度をする羽目に・・・。女房に「鬼の霍乱だな」と憎まれ口をたたいたら「お父さんには鬼も寄りつかないんじゃない?」だと・・・ハァ。

○もういーくつ寝ると解禁日・・・てなわけで4月1日は半年間じっと待ちに待った渓流釣りの解禁日なのであります。店に来る釣り好きのお客さんとの話もはずむ今日この頃です。

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