11月25日の昼から降り出して、翌朝までに10センチほど積もった初雪も、今はありません。降ったり、消えたりを繰り返しながら、今月下旬には根雪になるのでしょう。 屋根や野にうっすらと積もった雪・・・。1月、2月の屋根から下ろした雪で窓の外が雪の壁になる前の、雪がまだ綺麗だと思えるこの季節に雪見酒と洒落こみませんか? トマトやキュウリやイチゴが一年中店頭に並び、すっかり旬という感覚がうすれてしまった今日この頃ですが、今まさに旬の、音もなく降り積もる雪を肴に酒を呑むのも一興かと思います。 そこで、今回の富田通信は「雪見酒」について、『酒おもしろ語典』より抜粋して書いてみました。 酒と雪月花のうち、花見酒は今なお(いや、ますます)盛んですが、雪見酒となると、この頃ではよほどの粋人でなければやっておられないようです。 しかし昔は……… この雪見ということは平安朝時代にすでにあったようで、紫式部(973〜1014?)に香炉峰の雪の逸話があり、また同じ頃の白河院の雪見というのが『十訓抄』に出ております。 |
また江戸情趣豊かな時代には「雪見に出たか山谷舟」と、雪見酒は粋な遊びとされていました。とり分け江戸の雪見に船はつきもので、雪見に使う猪牙船(ちょきぶね)の船宿は、今の待合と料理店を一緒にしたようなものでありました。 |
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さて、現代の皆様方、たまたま降った雪の夜などは、別に舟を浮かばせなくとも、また車を走らせなくても、一つお家庭の置炬燵で差し向かいで、ガラス障子越しの雪見酒などいかがでしょう。
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