この詩は月を礼讃するのに擬人法を用いるなど、その構想の大きいことは、中国の月見の詩の中の雄ともいえましょう。
また李白に続いての賛美家は蘇東坡(1036〜1101)であり、かの「赤壁の賦」は、つまり「観月舟遊」の詩であります。
これらの観月の習慣がやがて日本にも伝わって来て、月暦八月十五夜と、九月十三夜に月見の宴が行なわれ、しかもそれには必ず酒が伴うようになったのであります。
上杉不識庵謙信(1530〜1578)は、春日山上の陣中に観月の宴をはったとのことでありますが、その夜彼が酒興に乗って詠った即興詩「九月十三夜」は
霜は軍営に満ちて秋気清し |
数行の過雁月三更 |
越山并(あわ)せ得たり能州の景 |
遮(さもあらばあれ)莫家郷の遠征を思はんは |
これは今日なお宴席などに朗吟され、彼をして文武双絶の名将とうたわれるゆえんとなっています。
そのように日本には酒にちなむ観月詩や、観月歌句が多く残されているのは、月見の本山中国よりも、酒との親しみが多いからでありましょう。それに、大空の月を肴にするということは、雪や花以上に雄大ではありませんか。それゆえに、月見は花見ほどの賑やかさはもとよりなく、雪見よりもなお落着いたものになるのでありましょう。 |
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…… 編集後記 …… |
毎年のことながら、新庄祭の一ヵ月にもわたる連夜の山車作りですっかり夏バテ。ただただ体力と気力の回復を待って、日がな一日ボケーっとしております。 |
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