第51号(91.12.10)

深説「酒池肉林」

 この前お正月を迎えたばかりと思っていたのに、もう師走。歳を重ねる毎に一年が短くなっていくような気がします・・・。外ではスパイクタイヤを着けた車がかまびすしい音をたてて通り過ぎていきます。今朝方から、雪がちらほら舞っていますが、まだ積もってはいません。
 ところで12月ともなれば、忘年会真盛り。富田通信もちょっとハメをはずして(誰です? いつもタガがゆるんでるなんて言っているのは)「酒池肉林」といってみますか。(参考文献:酒おもしろ語典)

深説「酒池肉林」

 酒でも、いきなりハイペースで飲み始めると悪酔いしますので、はやる心を抑えて普段使われている「酒池肉林」の意味から始めましょう。

 この熟語は中国の史記の殷記の中に出てくる言葉から出来たものです。

  以酒為池   懸肉為

 「酒池肉林(しゅち・にくりん)で長夜の宴を張るなどということは社用でもなければとても出来ない芸当だよ」などと使われます。

 酒の池、肉の林で、飲み放題、 食い放題の形容です。徹夜の豪 遊を、中国式の大袈裟な形容をしたのではなくて、本当に酒の 池、肉の林を作ったという歴史的事実に基づいた話からきています。

中国の歴史で、暴君の見本として、夏(か)の桀(けつ)王、殷(いん)の紂(ちう)王の二人が挙げられ、これを合わせて桀紂(けつちう)と言います。この二人が共に酒池肉林を実演しました。

 また『広辞苑』で「酒池肉林」を引いても、豪奢をきわめた酒宴、とでています。

 さて、少し酔いもまわったところでいよいよ、深説のほうに話を進めましょう。「酒池肉林」とは、前記のとおり、飲み放題、食い放題のことなのですが、なおもその史実を調べでみますと、肉林という言葉の中には、その語感の如く、さらに淫らな意味も感じられるのであります。

 実は、前に書いた殷記の言葉には続きがあるのです。

 以酒為池  懸肉為

 使男女裸相逐其間  為長夜之飲

 『広辞苑』、その他では、ゴシック体の部分が省略されていますが、ここでは、その部分についてもさらに触れてみることにいたしましょう。

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 桀王は酒の池とご馳走の林を造って、その中へ三千人の男女を裸にして入れ、自らは愛妾、末喜(まっき)と共に高楼に登り、酒を汲みながらこの歴史に残る形容に絶した一大淫劇を見て楽しんだのです。まず、合図の一の太鼓が鳴ると、裸の男女は先を争い酒の池の中へ首を突っ込み大いに飲むことによって、王に忠節を尽くすのです。次なる二の太鼓は恐るべき盛典の合図、酔った裸の男女が、ご満悦の王と愛妾の眼前で世にもすさまじき野合をはじめるのであります。

(あ〜、そんな暴君に仕えてみたいなぁ〜・・・。かあちゃん、ゴメン。)

これによって夏の国、439年の歴史は桀王を最後に幕を閉じ(紀元前1766)後世に「酒池肉林」なる熟語を残すことになるのです。

 ところが、次の王朝殷(紀元前1766〜1122)の滅亡もまた奇しくも、最後の帝紂王の酒池肉林にあったとのことですが、この紂の場合は、酒粕で堤防を築き、その中に酒をたたえ、なおその中に数百人の女を裸にして放ち、今でいうストリップ・ダンスをさせながら、連日連夜酒宴を続けたというのですから、この場合の肉林とは女体の林ということになるかもしれません。そしてついに月日を忘れてしまったというのですから、これは長夜の宴どころではありません。

 なお、紂王をしてこのようなことをさせた妖美人姐己(だっき)は「ひとたびウインクすれば城を傾け、二度目に秋波をみせれば国を傾ける。略して「傾城の美女」なる名言を後世に残しましたが、桀といわず紂といわず、恐るべきは酒より女と申せましょう。

 世の女性の皆様、ごめんなさい。あ〜、酒が怖い・・・エヘ。



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……… 編集後記 ………
 今年最後の富田通信。出来の悪い頭を絞り、ネタ探しに喘ぎながらも、なんとか続けることができました。それでは皆様、良いお年をお迎えください。

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