もういくつ寝るとお正月 屠 蘇 酒 |
『和漢三才図会』にも、これを造るのは赤朮、桂心、防風その他の九種類の薬草をまぜ、三角の赤い絹の袋に収め、大晦日の夜井戸の底に沈め、元日に取り出して酒の中につけ、熱すること数時、家を挙げて東に向かい、若き者より飲み始めれば、一世、病なしとあります。また同書には「屠蘇酒を飲むや、七種粥を啜るや、共に是れ中華の風なり……」とあります。いずれにしても、元日にこれを飲めば一年中その家の人は病にかからぬということでありましょう。 日本に入ったのは平安朝、嵯峨天皇の弘仁二年宮中で用いられたのが始めといわれています。 関東の風習としては屠蘇用には必ずみりんを用いますが、地方によっては清酒、また熊本では赤酒、鹿児島では地酒を用いるというふうに、多少違っています。 また、中国で生まれた屠蘇酒ですが、現在では中国には残っておらず、日本だけの風習となっています。 | |
さて屠蘇の処方ですが、実にさまざまでありまして、十幾通りの処方が伝えられています。『本草綱目』(『和漢三才図会』も同じ)は、「セキジュツ・ケイシン各七銭五分、ボウフウ一両、バッカク五銭、ショクシュク・キッコウ・ダイオウ各五銭七分、ウズ二銭五分、アズキ十四粒、(ただし一両は十匁、一銭は約一匁)、『本朝食鑑』「サンショウ・キッコウ・バッカク・ダイオウ各五分、セキジュツ・ケイシン各七分半、ボウフウ一銭、赤アズキ十四粒」とあり、前者は中国式、後者は日本のもので中国の処方からウズを省いているのが特色です。 この薬草中、セキジュツは強壮除熱、発汗を止め、ケイシンは肉桂あるいは桂皮で、主成分は芳香のあるシンナミック・アルデハイド、風味剤、健胃剤として用いられます。ボウフウは風邪、痛風に効き神経衰弱によい。バッカクは風邪によく利尿剤、ショクシュクは山椒の実、健胃強壮剤、キッコウはききょうの根、サポニンを含み、咳を止め、風邪薬。ダイオウは健胃、下剤両用。ウズはとりかぶとの根で毒性のあるアルカロイド、アコニチンを含む、少量の場合は麻酔薬とし、強壮剤として効果はあるが量をこすと毒になります。そんなことでわが国の処方という『本朝食鑑』ではウズを除いてあるのでしょう。 現在市販されている屠蘇用の漢方は、屠蘇散(薬局で売っています。 |
一袋、だいたい200円ぐらいです。)といって三角のガーゼの袋に入れてあります。
| |||
|
| ||||||||||||||||||||||||||||||