特集:生酒 今回の富田通信は、生酒のあれこれを書いてみたいと思います。 |
生酒とは 酒の場合の“生”もそれと同じ意味で使われています。もっとも、酒を焼いたりはしませんが。 皆さんご存じのように、酒は、酵母をはじめとしてさまざまな微生物が働いて造られます。別の言い方をすれば、酒を造るということは、酒造りに有用な微生物を管理・育成することである、ということが出来ます。 ところで、酒が出来てからもこれら微生物がつくった酵素は残っていて、でんぷんなどをブドウ糖にまで分解したりして、酒質をどんどん変化させます。 ですから、普通の酒は、それらを防ぐために、一度、新酒を65℃前後に加熱し、殺菌をするとともに、酵素の働きも止めます。それを「火入れ」といいます。そしてこの火入れは、ビン詰めのときにもおこないます。(熱酒ビン詰めといって、65℃前後に加熱、殺菌してからビンに詰める) |
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生酒とは、これら火入れを一切おこなわないで出荷される酒をいいます。したがって、生酒は、低温で管理・貯蔵しなければなりません。 しかし、その一方で、低温管理さえしっかりやれば、かなりの長期間、貯蔵でき(富田酒店の低温貯蔵庫では、2年半のものもあり、まだ貯蔵継続中)、しかも、その風味は口当たりのよい、のどを滑るようなものとなります。 生酒・生詰・生貯蔵酒 この早口ことばを思わせる文字を、皆さんはご覧になったことがありますか。酒屋で売られている生酒のラベルをよく見ると、これらの文字のいずれか、書いてあります。これらの混同しやすい言葉を誰が何のために思いついたのかは知りませんが、以下に説明したいと思います。 ○生酒…… 生とか本生とかも書く。火入れを一切しない酒で、低温で管理しなければならない。本当の生。 ○生詰…… 新酒の時期に一度、火入れして貯蔵し、ビンに詰めるとき火入れをしない酒。一度、火入れした酒をなんで生と呼ぶのか、頭の悪い小生には、かいもく不明。常温で管理ができる。 ○生貯蔵酒…… 新酒の時期に火入れをしないで低温貯蔵し、ビンに詰めるとき、火入れをした酒。常温で管理ができる。 |
このように、生と書いてあっても、生詰、生貯蔵酒は、本当の意味での生では、ありませんので、くれぐれも御用心!
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