第20号(89.05.10)

愛鳥週間にちなんで
    お酒の探鳥会入門?

お酒の探鳥会入門?

 徳川三代将軍家光のころ、地黄坊樽次が書いた『水鳥記』という酒合戦の本があります。酒という字を左右に分解すると、さんずいに酉。つまり酒のことを洒落て水鳥と書いたわけです。

 今回は、5月10日から始まる愛鳥週間にちなんで、私達がこよなく愛する水鳥を探鳥するための手引ともなる本のいくつかを紹介したいと思います。

 酒にはいろいろなタイプがあり、蔵人が良い酒を造ろうと努力している所の酒は、どれも皆、それぞれに美味しいものです。皆さんもこれらの本を参考にして、旅先などでその土地、その土地の美味しい料理と酒とを楽しんでください。

 なお、“酒”という呼び名は、本来日本人の民族の酒・清酒そのものだけのものですが、ここでは、ワインの本も紹介してみたいと思います。

 ※ここで紹介している本の価格は、私が購入したときのもので、現在の価格と若干違うかもしれません。

日本酒編

○『酒を楽しむ本』
著者/佐藤 信 出版社/講談社 価格/600円
あ「推計学がわりだした実戦的飲酒法」というサブタイトルを持つ本で、日本酒に限らず、いろいろな酒類のきき酒の方法や、その落とし穴を詳しく科 学的に解説してあります。初版発行が昭和39年とちょっと古いですが、お薦めの一冊です。

○『日本の酒 5000年』
著者/加藤百一 出版社/技報堂出版
価格/1, 900円
 日本における酒の歴史を縄文時代より明治維新まで詳しく解説してあります。その時代その時代で人々が酒とどのように係わってきたか、また酒造りの技術の進歩などに興味を持つ方へ。

○『日本の酒』
著者/坂口謹一郎 出版社/岩波書店
価格/430円
 酒の古典。酒について学ぼうとするとき、まず手にしたい一冊です。著者 は酒を愛することの深い醗酵学の大家。

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○『吟醸酒のはなし』
著者/秋山裕一・熊谷知栄子=共著
出版社/技報堂出版 価格/1, 500円
吟醸酒の製造工程や吟醸酵母の特徴まで載っていて、かなり専門的な本ですが、吟醸酒のことはこれ一冊読めば、ほとんど理解できます。
吟醸酒を呑む時、新たな喜びが生まれるかも。

○『日本酒のすべてがわかる本』
著者/穂積忠彦 出版社/健友館
価格/1, 500円
 日本酒について分かることはもちろんですが、酒造業界の内幕や、酒税法の問題点まで鋭くついた大変面白い本です。

○『呑みづくし酒づくし』第1巻・第2巻
酒学監修/穂積忠彦  原作/水沢 渓
作画/まきのこうじ
出版社/健友館  価格/670円
 ほんとうに良いお酒とは何かなど、お酒についてのあれこれを漫画で勉強できます。
全4巻で、第1巻は「幻のワイルド・ターキー篇」、第2巻は「居酒屋戦 争篇」、第3巻・第4巻はそれぞれ7月と10月に刊行の予定です。
 なかなか面白いですよ。

○『ポケットサイズ日本酒事典』
監修/穂積忠彦  編者/水沢渓・小松恒雄
出版社/健友館  価格/2, 000円
 全国の名酒を紹介。旅のお供に是非どうぞ。



ワイン編

○『プロのためのワインテースティング入門』
著者/M.ブロードベント  出版社/柴田書店
価格/1, 800円
 ワインのきき酒についての徹底した一冊。
 著者のマイケル・ブロードベントは良質稀少ワイン専門の国際的オークショニア(競売をおこなう人)として最もよく知られた人物です。それだけに ワインにたいする愛情と、そしてそのきき酒の知識と能力はまさに驚異に値します。
 多少、難しいかもしれませんが、是非読んでみてください。

○『カラー版ワイン全書』
著者/ヒュー・ジョンソン  出版社/角川書店
価格/19, 000円
 M.ブロードベント氏をしてこう言わしめている。「総合的かつ徹底的なもの。ワインについての記述を読んだり、産地を訪れる際に座右に置いてお く本として、非常に価値ある一冊である。驚くほどの情報が独創的な形で提供されている。私が砂漠にまでも持って行きたいと思うのは、正にこの一冊である。

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○『ポケット・ワイン・ブック』
著者/ヒュー・ジョンソン  出版社/鎌倉書房
価格/1, 700円
 世界のワインについて、銘柄ごとに解説。ワインの事典。



番外編

○『陶淵明伝』
著者/牟田哲二  出版社/勁草書房
価格/3, 000円
 今から約千六百年ほど昔に中国に生きた、私の最も敬愛する大詩人“陶淵 明”の伝記。
淵明の詩には句々酒ありといわれ、そこから放達洒脱の酒徒と言われてきました。しかし、牟田哲二さんの『陶淵明伝』は、それとは違う、苦悩しながらも必死に生きる人間“淵明”を見事に描いています。
 何度読んでも、その度に新たな感動に包まれる珠玉の一冊です。

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編集後記

 今回は、本の紹介に終始しましたが、如何だったでしょうか。知識は喜びと同時に力でもあります。紹介致しました本は、きっと皆様の酒人生をもっともっと豊かにしてくれるものと確信しております。また、皆様も面白い本をご存じでしたら、ぜひお知らせください。

 お酒を発明した偉大なるご先祖様に乾杯!

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E-mail:tomita@vega.ne.jp ->メール