第7号(88.04.10)

花より日本酒?

 四月。木々が、その蕾を若芽を大きく膨らませる季節。それ故の寂しさ、哀しさもちょっぴり感じさせる季節。

 なぁんて乙女チックな書き出しに始まりましたが、もうすぐ花見ですねぇ。花見といえば日本酒。そこで今回は、「ものの哀れ」を愛する人々に美味しい日本酒のはなしをひとつ。

日本酒の級別表示のはなし

清酒には特級、一級、二級などの級別があることは、ご存じだと思います。 ところでこの級別は、どのようにして決められるかご存じですか。

特級及び一級酒として売られている清酒は、大学の先生など、お酒の専門家を委員として各国税局ごとに設置されている酒類審議会というところの酒類審査に出品して、特級あるいは一級酒としてふさわしい品位、風格、香味を兼ねそなえていると認定されたものです。ちなみに特級とは、品質が優良であるもの。一級は、品質が佳良であるもの。二級は、特級及び一級に該当しないものとなっています。

ですから同じ蔵元の、普通の清酒の二級酒の方が一級酒よりもおいしいという説は、まちがいです。

 ただし、例外があります。それは先ほどの酒類審議会の級別審査に出品しない清酒は、すべて二級酒になるということ。そして出品する、しないは蔵元の自由であるということに起因します。

 つまり、灘や伏見の全国的に名の知れた大メーカーならいざしらず、地方の小さな蔵元では、いくら良い酒、すなわちコストのかかる酒を造っても、それを特級、一級にしたのでは、酒税の関係(一級、特級となるにつれ税率が高くなる)で値段が高くなってしまって販売しにくいという厳然たる事実や、良い酒をできる限り買い求めやすい価格で出そうという蔵元の心意気などのために、わざと二級酒として販売する場合があるということです。

 ですから、そのような酒は、かりにも「二級酒」などと品質劣等な感じをいだかせる呼び方はすべきではなく、むしろ「無鑑査酒」、「自由酒」とでも呼ぶべき酒なのです。

では、次に「無鑑査酒」の代表的な酒、「本醸造」「純米酒」「吟醸酒」についてお話ししましょう。

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※本醸造、純米酒、吟醸酒でも、もちろん蔵元の方針により審査を受けて特級 酒、一級酒として売られているものもある。

本醸造
 米と米麹と水により仕込まれたもろみの末期に香味を調整するために醸造用アルコール(原料米1tに対して120リットル以下)を添加して造ったものです。醸造用糖類は、使用されていません。

 純米酒の濃醇さを残しながら、味の軽快さを加味したものです。

純米酒

 米、米麹と水のみで造られたものです。米からくる味の濃醇さを強調したもので、味の濃いものが多いようです。

吟醸酒
 純米酒又は本醸造の規格に限られ、しかも精米歩合が60%以下の白米を使用したものに限り表示出来ることになっています。

 優れた吟醸酒は、果実のような芳香があり、味は淡麗でなめらか、すっきりした上品な風味を持った清酒です。

花見には、ぜひ「無鑑査酒」を

 春さればまづ咲く宿の梅の花独り見つつや春日暮さむ (山上憶良)

と、ひとり孤独に呑む酒も、仲間とワイワイやる酒も上記の「無鑑査酒」であれば、その楽しさ倍増することは、ぜったいです。

 爽やかな呑み口の本醸造、米からくる酒本来の味と香の純米酒、酒の芸術品と呼ぶにふさわしい吟醸酒。

 当店では、店主が絶対の自信を持ってお薦めする「無鑑査酒」を色々取り揃えてございます。ぜひ、お試しください。

 なお、お酒のつまみにでもと思いまして小生の最も敬愛する陶淵明の、「停雲」という詩の一節を下に記しましたので、合わせてご賞味いただければ幸いに存じます。 

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牟田哲二

陶淵明伝より

    かの昔をかたりたきものを 是非席をすすめて 日や月やゆきゆくと 人また言えるあり 自分の心をたのしませる ういういしい美しさをきそい 枝枝に花をつけ 東園の木は     首をなで永く立ちつくす よき友は遥かに遠く 春の濁り酒
 
独りして撫す
静かに東軒により 平地の道もとだえた あたりは一面に小暗く 降り煙むる季節の雨 深くもやいし動かぬ雲


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E-mail:tomita@vega.ne.jp ->メール