第4号(88.01.10)

昔から伝わるお酒の使い方

 正月だぁ、日本酒だぁ、てなもので日本酒に食傷ぎみの諸兄諸姉に、今回は趣を変えて日本酒の伝統的な利用法を、三十一文字(みそひともじ)で・・・
○炊き込みのごはんや茶めし炊く時は日本酒少々入れるのがコツ
○むかしからママの失敗メッコめしお酒ふりかけ今一度蒸
○材料にお酒をかけて炒めれば香りがしみて風味バツグン
○おしなべてかたいものには日本酒を肉でも人でもあたりやわらか
○冷やヤッコつけるしょうゆに盃のお酒落とせば深みこそます
○人はねれみそもねるほど味をますお酒はいればこのうえもなし
○たまさかのおこげごはんは日本酒と塩でにぎればおふくろの味
○みそ汁やすまし汁にも酒少々すきやきにもよし水たきにもよし
○燗ざまし残ったお酒はいそいそと煮ものの時に使うのがよし
○きんぴらや佃煮炒り煮するときはお酒かならず入れるとぞ知れ

○からすぎる塩辛たらこ直すにはお酒くぐらせ味はまろやか
○すべからく調理にお酒きかすこそわが家の味の秘伝とぞ知れ

(よみびとしらず)

酒に五味あり

 日本酒は辛口に限る、いや甘口が好きだ、などとよくお酒飲みが話題にしていますねぇ。

 昔からお酒には、甘・酸・苦・渋・辛の五味があり、この五味がほどよく調和しているものがよいお酒だと言われています。ちなみに、坂口謹一郎博士もその著「日本の酒」の中で、さわりなく水の如くに飲めるのが良い酒だと述べておられます。

 人にも五みがあるといって、そねみ・ねたみ・うらやみ・やっかみ・ひがみなどがあげられますが、この複雑な人間関係の哀歓のなかでこそ、日本酒の深い味わいが生きるともいえます。

参考文献
「お酒の楽しい利用法」「日本の酒」坂口謹一郎

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