第13号(88.10.10)

ワイン入門(ドイツワインの巻)

ドイツワイン

 ドイツのワインは生産量も消費量もフランスの約8分の1に過ぎませんが、その白ワインはフランスの最高級品に比べて、少しの遜色もないほど優れています。ことに良年の高級白ワインの糖分と酸味のバランスの完全さは、まさに偉大な芸術品とさえいえます。

 そこで今回は、少しでもドイツワインを楽しんでいただくために、ドイツワインのあれこれを質問形式で書いてみたいと思います。

○フランスワインとドイツワインの一番の違いは何ですか
 非常に難しい質問ですが、あえて言えばフランス人は食事をより楽しむためにワインをつくり、ドイツ人はワインそのもののためにワインをつくるということだと思います。つまりドイツの高級ワインには食事と一緒に、という概念は無いのです。事実、どんなによい料理でもドイツの高級ワインの味を損なってしまいます。

 ですから、ドイツの高級ワインは単独で味わったほうが、よりベターだと思います。

○ドイツワインといえば白ですが、赤やロゼは無いのでしょうか。

 ドイツワインにも赤やロゼは有ります。しかしドイツでは全生産量の85%が白で、残り15%が赤とロゼなのです。しかも白と違い赤やロゼは、フランスや他の国の赤やロゼと比べて特に優れているとは言いがたいので、そのほどんどが国内消費されて輸出に回らないのです。

○ドイツワインの瓶の色は茶と緑がありますが、なにか意味があるのでしょうか。

 ドイツワインはラインとモーゼルに大別することが出来ますが、ラインワインは茶色、モーゼルワインは緑色と決められています。

 その味の特徴は、モーゼルワインは微かに発泡性を持ったものが多く、適度な果実の酸味とあいまって、非常にフルーティで爽やかなワインです。またラインワインはモーゼルに比べれば、爽やかさは欠けますが、厚みのあるワインが多いようです。

○ドイツワインを買う時の品質の順位を教えてください。

 ドイツのワイン法による品質分類は、収穫時のぶどうの完熟度を基準にしてつくられています。つぎに非常に簡単にではありますが、ドイツワインの品質順位を書いてみたいと思います。

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1)アイスヴァイン Eiswein

 天候の偉大なる偶然により出来るワインで、ベーレンアウスレーゼ以上の  糖度を持つ。鋭い感じの、濃縮された非常な甘口で、珍品。永久に寿命を保つ。

2)トロッケンベーレンアウスレーゼ Trockenbeerenauslese

 強烈な甘口で芳香のあるワイン。アルコール分が低いことが多い。

3)ベーレンアウスレーゼ Beerenauslese

 非常な甘口で、通常アルコール分が強い。強烈なワインで、飛び切り上等なものになりうる。

4)アウスレーゼ Auslese

 より甘口で、場合によってはシュペートレーゼよりもアルコール分は強い。蜂蜜のような風味を持つことが多く、強烈で寿命の長いワイン。

5)シュペートレーゼ Sp tlese

 カビネットよりアルコール分、甘味が強い場合が多い。コクがある。

6)カビネット Kabinett

 はっきりとした個性を持ち、辛口または辛口を感じさせる、加糖なしの天然ワイン。

7)クヴァリテーツヴァイン Qualit tswein

 アルコール分を増すために加糖をするが、品質保持のためのテストをされ、はっきりとした地域とぶどう品種の性格をもった辛口または甘口を感じさせるワイン。

8)ターフェルヴァイン Tafelwein

  甘口を感じさせる軽いワインで、特性はない。

※概してドイツワインは、世界で最北端の栽培地域のひとつであることから、暖かさと日光の不足を補うために糖分の添加が必要です。糖分添加を必要としないくらい十分に熟したぶどうからつくられる例外的なワインが、クヴァリテーツヴァイン・ミット・プレディカートQualit tswein mit Pr dikat(称号つき高級ワインの意。略号クー・エム・ペーQmP)として別格扱いをされます。

上記の1)〜6)までがQmPとなります。

※紙数の関係で説明不足になってしまいましたが、ここに書いてあることや、それ以外でも疑問に思うことがございましたら、お気軽に編集者(富田富男)のほうまでお申し出ください。出来うるかぎりお答え致します。

−2−

柿のしぶ抜きの方法(富田酒店の場合)

 1.柿を密閉できる大きさのナイロン袋を用意する。

 2.ナイロン袋の底に新聞紙を2〜3枚、敷く。

 3.柿をナイロン袋の中に入れる。
 4.35度の焼酎を柿の上に、かける。
  (柿20コに対して焼酎200mlの割合)
 5.ナイロン袋を密閉する。
 6.じっと2週間、がまんする。
 7.柿のしぶ抜き終了。

 この方法は、柿のへたに焼酎をつける方法に比べ、非常に楽です。またしぶの抜けぐあいも変わらないように思えます。ぜひ一度ためしてみて下さい。

 なお、ナイロン袋の底に新聞紙を敷くのは、底にたまった焼酎を吸い取るためです。


─── お知らせ ─────

(財)出羽桜美術館開館記念
「李朝工芸の美」同時展示「高麗・李朝の酒器」

 このほど、当店と懇意にしていただいている鰹o羽桜酒造の仲野清次郎氏が(財)出羽桜美術館を開くことになりました。その開館記念として、氏が昭和28年頃より収拾した朝鮮半島李朝の生活に使われていた器の展示をおこないます。

「暮らしの中で人々とともに生きた器からは、温もりと息づかいまでもが、聞こえてくるようだ。」と氏はおっしゃいます。

 ぜひ一度、蔵見学とも併せてご覧になってください。なお、美術館は氏の旧宅を改造したもので、出羽桜酒造のとなりです。

期 日:1988年10月17日(月)
       〜1989年 2月28日(火)
入館料:一般 400円、高・大生 250円、
    小・中生 150円
    団体(20名以上) 各50円割引
開 館:AM10:00 〜PM5:00
休 館:月曜日(祝祭日の場合は翌日)
    年末年始(12月26日〜 1月5日)
住 所:〒994 山形県天童市一日町1−4−1
    TEL 0236(54)5050

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E-mail:tomita@vega.ne.jp ->メール